家事のこれからを考える

利用の広がる「宅食」サービス メリット・デメリットを徹底分析

暮らし・住まい

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「宅食サービス」とは、カタログやインターネットから受けた注文をもとに調理済みの食品を家庭に配達するサービスです。宅食サービスを上手く活用することで、こころと身体を休ませる日を設け、家族でゆっくり食卓を囲むことも大切です。

この記事の監修

矢口ミカ

複数のメディアで執筆中です。宅建の資格を活かし、家族が所有する投資用不動産の入居者管理もしています。住まいに関する資格である整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級も取得済みです。趣味は整理収納と料理。

「毎日の食事づくりが面倒......」
「疲れていて料理をする気になれない」
「高齢になるにつれて食事づくりが億劫になってきた......」

こうした事情があったとしても、家族の食事を用意しないわけにはいきません。単身の方は調理が面倒だからといって年中コンビニ弁当を食べていては飽きてしまうでしょう。また、高齢になるにつれて食事の支度が困難になってしまう方も少なくありません。

今回は食事づくりを外部のサービスに依頼できる「宅食(たくしょく)」について解説します。毎日の食事づくりに疲れてしまった方、困難になってきた方は、「宅食」という選択肢について考えてみませんか。

宅食を取り巻く状況

「宅食サービス」とは、カタログやインターネットから受けた注文をもとに調理済みの食品を家庭に配達するサービスです。単身世帯や高齢者世帯、共働き世帯の増加などにより将来的にニーズは高まっていくことが見込まれています。近年では専門事業者以外にも、コンビニやスーパーをはじめとした多くの企業が宅食事業に参入しています。

宅食では、ほぼ完成した料理(加工食品)が、冷凍・冷蔵または保温された状態で届けられるので、利用者は電子レンジや湯煎で温めるだけで食べられます。管理栄養士によるバランスの良いメニューの提供を売りにしているサービス提供者も多く、塩分やカロリーに配慮した食事を自宅まで届けてくれます。
保温タイプは車で直接宅配できるエリアに限られますが、冷凍や冷蔵タイプは遠隔地への配送も可能です。配送頻度は利用者が自由に選べる点も使い勝手のよいところです。

食の外部化は調理の外部化を意味します。近年、調理する場所や調理をする主体は家庭内だけではありません。
「食の外部化」が進んでいる背景には、「世帯構成の変化」「生活スタイルの変化・多様化」「利便性提供型の食料供給システムの展開」の3つの変化が大きく影響しています。単身世帯、共働き世帯、高齢者世帯は年々増加しており、少子化や核家族化等にともなう世帯人員の減少は進む一方です。

共働き世帯も右肩上がりに増え続けています(※)。2017年には1,188万世帯となっています。その反面、専業主婦世帯は641万世帯と共働き世帯の約2分の1に過ぎません。これからも働く女性は増えていくといえるでしょう。

生活スタイルも大きく変化し、多様化が進んでいます「自らの価値観によって、多様なライフスタイルの選択が可能な社会」が構築されつつあり、自分にとって生きやすい選択が可能になってきています。
こうした背景もあり、利便性の高い食料供給システムの展開もまた目覚ましく、利用者が簡単に利用できる冷凍(調理)食品が幅広く提供されています。

農林水産省「平成27年度 食育白書(平成28年5月17日公表)|第6節 食品関連事業者等による食育推進:農林水産省 図表-64 外食率と食の外部化率の推移」の情報を基に作図

宅食のメリット・デメリット

宅食を利用すると調理の負担がなくなるなどメリットが多いものですが、その一方で金銭的な負担が大きくなるなどのデメリットも考えられます。このほかには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

1.メリット

宅配食は管理栄養士がメニューを考えるので、塩分やカロリー、栄養などバランスの良い食事を食べられるのが大きなメリットです。高齢者の場合は身体状況に応じて食材をやわらかくするなど、食べやすい工夫もしてくれます。
保温タイプの食事は原則、指定した日時に配達されるので食事の時間も不規則になりません。冷蔵や冷凍食品は調理や買い物の手間・時間をかけることなく、届いたらレンジで温めてすぐに食べられます。ひとり暮らしの高齢の親がいる場合、遠方にいても食事の提供と安否確認ができるので安心です。

2.デメリット

サービスを依頼した事業者によっては、味が口に合わない場合があるかもしれません。さらには、メニューが少ない、いつも似たような料理が届く、注文や受け取りに手間がかかるなどが考えられます。
実際、農林水産省の調査によると、宅食サービスに関する要望としてもっとも多いのは、「味が良くない(味の改善)」です。味付けの好みは千差万別なため、すべての利用者に満足してもらえる味を提供するのは難しい実情があると考えられます。また、「メニューが少ない(多くしてほしい)」というニーズも一定数あり、毎日のように食べている人には、飽きのくるときが訪れるのかもしれません。

農林水産省「高齢者向け食品・食事提供サービス等実態調査事業報告書|P.67 図表 IV-14 配食サービスに対する利用者のニーズ・要望」を基に作図

この調査は、高齢者を対象としたものになりますが、働き盛りの世代の人にとってはお子さんをはじめとする家族のニーズをくみ取りながらの利用になるので、テイクアウト品を購入して自宅で食べる「中食(なかしょく)」もうまく利用しながら、家計への負担、ご自身の負担をなるべくかけない方法を考える必要がありそうです。

宅食業者を選ぶ際のポイント

実際、宅食業者を選ぶにあたって、どのような点を考慮するとよいのでしょう。そのポイントを3つにまとめました。

1.利用システムが使いやすい

宅食サービスを選ぶにあたって、まず重視したいのは、利用システム(配達方法、注文方法、支払い方法)です。注文方法が簡単であり、配達方法にも負担がなく、支払いも面倒なく済ませられるものが望ましいでしょう。また、不在時には「置き配」しておいてもらえる、支払いは毎月クレジットカードから引き落とされるなど、使い勝手の良い事業者を選ぶとよいでしょう。

2.安心・安全なおいしい食事を提供

味のおいしさも外したくないポイントです。いくら安価でも好みの食材や味付けではない食事では満足感を得られません。食事は人生における大きな喜びのひとつです。おいしいお弁当を届けてくれる事業者を選びましょう。安全な食材を使用しているかも確認するとよいでしょう。

3.値段が手ごろ

家計の予算に合った値段でないと長く続けることはできません。宅食は1食600円前後で提供している事業者が多いようです。この金額をベースに、どのくらいの頻度で注文するのかを考えると毎月の利用額も一定となり、無理なく利用できるでしょう。
なお、事業者によっては宅配料の扱いが異なるため、事前にきちんと確認することが大切です。宅配料込みの事業者なら、プラスアルファの負担がかかりません。

まとめ

今回は、毎日の料理を負担に感じている人の助けになる「宅食サービス」について解説しました。

共働きで夫婦忙しくしているご家庭にとっては、「料理をするのが体力的につらい」「買い物や調理をする時間が取れない」など、切実な問題を抱えているかもしれません。時間のないなか、慌てて調理をするため、栄養バランスを考えるところまで気が回らないこともあるでしょう。また、シニア世代にとっては、長時間キッチンに立つのがつらいという体力面での不安も考えられます。毎日欠かさず用意しなくてはならない食事ですが、このように家庭の状況によっては「したくても、ままならない」場合があるものです。

宅食サービスを上手く活用することで、こころと身体を休ませる日を設け、家族でゆっくり食卓を囲むことも大切です。