一戸建てはねらわれやすい! 空き巣対策で気をつける防犯のポイント

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警察庁の調べでは、住宅を対象とした侵入窃盗の被害件数は令和元年中、2万8,936件に及んでいます。これは一日あたりに換算すると約79件発生していることになり、多くの住宅が被害にあっていることがわかります。(※1) 日中、留守がちで帰宅時間も遅いご家庭にとっては心配ごとのひとつといえるでしょう。

今回は「空き巣の被害にあわないための家づくり」について解説します。ご自身やご家族の安全と大切な財産を守れる、安心の住まいを実現しましょう。

侵入窃盗の半数は住宅での被害

「侵入犯罪」とは住宅などの建物に侵入して行われる犯罪のことです。凶器でおびやかしながら金品を強奪する「侵入強盗」と、金品を盗む「侵入窃盗」および「住居侵入」を指しています。
代表的なものは、一般住宅を狙う「空き巣」「忍込み(しのびこみ)」「居空き(いあき)」の3つの手口です。令和元年度に発生した侵入窃盗の約1/3を「空き巣」被害が占めています。(※2)

万が一、鉢合わせになったときは居直り強盗に豹変する場合もあります。防犯にはくれぐれも気をつけましょう。

警察庁「住まいる防犯110番|侵入犯罪とは?」より転載

下図は令和元年度における侵入窃盗の発生場所を示しています。こちらによると、侵入される住宅の形態は「一戸建住宅」が43.9%ともっとも多く、次いで「一般事務所」が13.1%、「3階建以下の共同住宅」が10.7%という結果になっています。このように、低層階の住宅は侵入しやすく「空き巣にねらわれやすい建物」といえます。

警察庁「住まいる防犯110番|侵入窃盗データ」より転載

ねらわれやすい家の特徴

空き巣にねらわれやすい家にはどのような特徴があるのでしょうか? ここでは、「空き巣の侵入の仕方」や「侵入されやすい家の特徴」について、詳しく解説します。

1.施錠してもガラス破りで侵入される

警察庁の資料によると、侵入犯罪の手口は、「一戸建住宅」「共同住宅(3階建以下)」「共同住宅(4階建以上)」ともに「無締り(鍵の掛け忘れ)」での被害が最多です。このように、ちょっとした気の緩みによる空き巣被害が後を絶ちません。

警察庁「住まいる防犯110番|手口で見る侵入犯罪の脅威」より転載

次に多いのは 「ガラス破り」による被害です。外壁と違って破壊しやすいガラス窓は、侵入経路として空き巣にねらわれやすい場所といえるでしょう。実はマンションの高層階でも同じ傾向がみられており、少しも油断はできません。

2.空き巣が好む家の特徴【戸建て・マンション別】

泥棒の目的は、誰にも姿を見られることなく建物に侵入し、金品を盗みだすことです。そのため、侵入するのに時間がかかる家や住宅密集地など人の目の多いエリアにある家は、泥棒にとってリスクが高く、居住者にとって被害にあう確率が低いといえます。

このように、空き巣被害に遭わないためには、泥棒の心理を知っておくことが重要です。
ここでは、空き巣が好む家の特徴を一戸建てとマンションに分けてご紹介していきましょう。

一戸建て

一戸建ては、空き巣にもっともねらわれやすい住宅形態です。低層階のため侵入がしやすく逃走が簡単だからです。特にねらわれやすいのが、周囲の視界を遮る造りの住宅です。たとえば、「高い塀やボリュームのある生け垣に囲まれている」「ベランダの見通しの悪い」「家と家との間に狭い通路がある」「家の裏側が川や雑木林になっている」など、死角のある家は、泥棒が身を隠すのにちょうどよかったり、周囲の目が届かなかったりするため注意が必要です。
こうした住宅の場合は、死角となる場所にセンサーライトや監視カメラを設置するのも得策です。歩くと大きな音がする「防犯砂利」も活用できるでしょう。

加えて、日中は誰もいない、帰宅時間が遅いなど、不在時間の長い家も気を付けたいものです。留守が何日も続く場合は、郵便や新聞などの配達を止めておいたほうが無難です。洗濯物も干したままで出かけることはやめましょう。帰宅時間がいつも遅い家は、室内の照明をつけてから外出する、タイマーを使って照明をつけ、在宅しているように見せかけるのも効果的です。

マンション

空き巣の被害にあったマンションには、共通点があると言われています。そのひとつが、「低階層」です。戸建て同様、1、2階の部屋は侵入がしやすいため、注意が必要です。また、「管理人が常駐していない」「小規模なマンション」も、人の目が少ないことからねらわれやすくなっています。
なお、階層のあるマンションでは、高層階ほどねらわれやすいとされています。一般的にマンションは上の階ほど高所得者が住んでいる、と思われているためです。一度屋上に上がり、ロープを伝ってベランダに下りて侵入する方法もあるため、最上階でも油断はできません。外出時にはしっかり施錠することが必要です。

被害にあわないための家づくり

大切なマイホームに泥棒を侵入させないためには、「防犯性の高い家づくり」が欠かせません。
ここでは、戸建て住宅におすすめの防犯対策をまとめました。防犯性能の高い建物部品であることを認証した「CPマーク」付きの窓ガラスやドアは防犯性が高く、おすすめです。

▼戸建て住宅の防犯対策

重点場所

防犯内容

ディンプルキーを使用し補助錠をつける

クレセント錠

暗証番号付きなど、解錠に時間がかかるものを選ぶ

勝手口

センサーライトや音砂利、防犯カメラを設置する

窓ガラス/ドア

CPマーク付きの製品を選ぶ

雨戸/シャッター

鍵が上下2カ所ついているものを選ぶ

室内

人体検知センサー付きの防犯カメラを設置する

垣根

表からの死角を作らない。トゲのある低木がおすすめ

脚立など、上階への足場となるものは置かない。音砂利やセンサーライトの設置も効果的

その他

暗くなると自動でつく照明やラジオ、録画機能がついたカメラ付きインターホンがおすすめ

泥棒に入られないための予防策

1.防犯意識を高く持つ

泥棒にねらわれやすい家やマンションには、「見通しが悪い」などの残念な特徴があります。
大切なのは防犯意識を高く持つことです。以下の項目をクリアすると、空き巣被害を格段に防げるようになります。

  • 短時間の外出でも必ず施錠する
  • 玄関の周囲(新聞受けや植木鉢)にカギを隠さない
  • ひとつのドアにカギを複数付ける
  • (賃貸住宅の場合)入居時にカギを交換してもらう
  • 窓ガラスに防犯フィルムを貼る
  • センサーライトや監視カメラを設置する

2.5分以内に侵入できない家は諦めやすい

侵入者の心理と行動にも着目してみましょう。警察庁によると、空き巣に侵入されるかどうかは「5分が分かれ目」とのことです。侵入するのに5分以上かかりそうな住宅の場合は約7割が、10分以上かかる場合は侵入者のほとんどが諦めるようです。つまり「侵入に時間をかけさせる」ということが、空き巣が入りにくい家の特徴といえます。
玄関のドアをツーロックにしたり、ピッキングができないディンプルキーなど防犯性の高い製品を使用したりするなど、家の防犯性能を高め自衛しましょう。

警察庁ウェブサイト「住まいる防犯110番|侵入者プロファイリング~心理と行動3」より転載

まとめ

今回は、「空き巣の被害にあわないための家づくり」について解説しました。
近年では単なる空き巣ではなく、留守宅に潜んで家主が帰宅するのを待ち伏せし、キャッシュカードを奪って暗証番号を聞き出し現金を引き出す例など、悪質な犯罪は絶えることがありません。

財産だけでなく大切なご家族やご自身を守るためにも、日頃から「空き巣が入りにくい家づくり」を念頭に、防犯製品の導入や防犯リフォームを検討してみてはいかがでしょうか。

※「令和2年度平均年収と学歴調査

※1・2 警察庁ウェブサイト「住まいる防犯110番