増築するなら知っておきたい「建ぺい率」 ルールや調べ方を解説します

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家の増築など、現状の住宅の面積を広げる場合には、建ぺい率を確認しなければなりません。自分の土地だからといって建築物の規模を好きに決めてよい、というわけにはいかないからです。用途地域が指定されている地域では建築物の用途制限だけでなく、建築物の建て方のルールが定められています。

今回は建て方のルールのひとつである「建ぺい率」について解説します。ご自宅の増築・新築を考えている方はぜひ、参考にしてくださいね。

建ぺい率とは

建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合をさします。敷地内に一定割合以上の空地を確保することにより、建築物の日照、通風、防火、避難等を確保するのが目的です。
建ぺい率と容積率は、過密な建築による環境の悪化や火災の延焼防止を防ぐために必要な法律として制定されています。都市計画によって地域ごとに上限が決められており、これを超過する建物を建てることは法令違反です。

都市計画区域内においては、用途地域の種別、建築物の構造などにより、その最高限度が制限されています。
都市における住居、商業、工業といった土地利用は、似かよったもので集まっていると、効率的な経済活動、社会活動を行えるだけでなく、それぞれに合った環境が守られます。しかし、違う種類の土地利用が混ざっていると、生活環境や業務にマイナス影響が出てきます。そこで都市計画では都市を「住宅地」「商業地」「工業地」などいくつかの種類に区分して「用途地域」として定めています。この用途地域は12種類あり、それぞれの地域に合った建築ルールが定められています。

国土交通省「みんなで進めるまちづくりの話」より転載

以下は都市計画制度における「容積率・建ぺい率」の制限の一覧表です。住居専用地域ほど建ぺい率が低くなり、スペースに余裕を持たせて建築することになります。

国土交通省資料「都市計画制度|P6 容積率・建蔽率の制限」を基に作表

建ぺい率の調べ方

建ぺい率や容積率など用途地域に関することは、建築する建物の所在地にある市区町村役場の都市計画課に問い合わせると調べてもらえます。電話または窓口で対応しているほか、近年では建ぺい率などが記載された「都市計画図」をウェブサイトで閲覧できる自治体も増えてきました。
そのひとつが神戸市の「神戸市情報マップ」です。トップページから「都市計画情報」をクリックし、次のページで「用途地域」を選択して進めていくと用途地域が色別に分類された地図が表示されます。

建ぺい率の計算方法

建ぺい率の計算はそれほど難しくはありません。下記の公式に当てはめるだけで、すぐに調べられます。

建ぺい率 = 建築面積 ÷ 敷地面積 × 100

数字を入力すれば、建ぺい率を計算してくれるこちらのサイトも便利です。

先述のとおり、建ぺい率は用途地域に応じて制限があり、建てられる建築物の建築面積が決まります。たとえば、敷地面積が100平方メートル、建ぺい率が50%の場合、1階は50平方メートルまで建築できることになります。

なお、建築面積とは建築物を真上から見たときに建築物の壁または柱の中心線で囲まれた部分の面積をいいます。建物のひさしや軒などが中心線から1メートル以上突出している場合は、その先端から1メートルを引いた残りの部分を建築面積に算入します。

ちなみに改正建築基準法が令和元年6月25日から全面施行され、建ぺい率が緩和されています。これは、密集市街地等の整備改善に向けた規制の合理化が目的のひとつであり、「防火地域」や「準防火地域」にある延焼防止性能の高い建築物の建ぺい率を10%緩和するとともに、技術的基準を新たに整備しています。(※)

国土交通省「建築基準法の一部を改正する法律案の概要|P3 密集市街地等における安全性の確保」の情報を基に作図

まとめ

今回は建築物の建ぺい率について詳しく解説しました。

建ぺい率は都市計画区域内の土地をその利用目的によって区分し、建築物などに対するルールを決め、土地の合理的な利用を図るために必要なものです。人が多く住む住宅専用地域などでは快適に暮らせる環境づくりのため、建ぺい率は低めに設定されています。この建ぺい率を超える建築物を建てた場合は違反とみなされ行政指導を受け、自らの費用と責任で直さなければなりません。
増築や新築をする際は、建ぺい率をきちんと確かめてから建てるようにしましょう。

※「令和2年度平均年収と学歴調査

※国土交通省「改正建築基準法が6月25日から全面施行されます」
https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000789.html