雨の日も安心! 暮らしを豊かにするサンルームの魅力とリフォームでの注意点

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夫婦共働きが一般化している現在の住まいでは、日々の家事の負担を軽減し、効率よく行うことが大切になってきています。なかでも多くの時間が割かれる家事のひとつである洗濯を効率よく行う方法として、サンルームをつくることが考えられます。
今回は、サンルームの魅力やリフォームにおける注意点について解説していきます。

日々の洗濯の負担を軽減できるサンルーム

内閣府男女共同参画局の調査によると、平成29年現在、全国の共働き世帯は1188万世帯と報告されています。会社員の夫と専業主婦の妻からなる世帯数が641万世帯であることを踏まえると、夫婦共働きはすでに一般化しており、お互いが働くなかで子育てや家事を行う忙しい家庭が多いことがわかります。

内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書(概要版)平成30年版|共働き世帯数の推移

また、共働き世帯は専業主婦の世帯と比較して育児・家事に費やす時間が短く、忙しいなかで効率よく家事を行える住まいの必要性がわかります。

内閣府男女共同参画局「平成28年社会生活基本調査|6歳未満の子どもをもつ妻・夫の家事関連時間、仕事等時間」の情報を基に作図

日々の家事を軽減するひとつの手段として、サンルームを住まいに取り入れる方法が考えられます。

サンルームとは、壁や天井をガラスやポリカーボネートなどの光を透過する材料で囲み、日光を屋内に取り入れた明るく開放的な空間のことです。屋根もあるため、天候に左右されずさまざまな使い方ができます。

「雨の日は、リビングなどの居室に洗濯物を干す」「洗濯自体を行わない」。そんなご家庭もあることでしょう。本来、くつろぎの場所であるリビングに洗濯物を干すと生活感が出てしまったり、雨の日が続き洗濯物が溜まると家事により負荷がかかったりすることも考えられます。そんなときにサンルームがあると、天候に左右されず、また生活感をリビングに持ち込まずに洗濯物が干せ、家事のみならず生活自体を快適にできるのです。

サンルームの魅力

サンルームは、取り入れる場所によってさまざまな使い方が想定できます。ここではいくつかのシチュエーションを紹介します。

雨の日や花粉対策にもなる洗濯物干しスペース

サンルームは日光を取り入れた暖かなスペースとなるので、雨の日だけでなく毎日の洗濯物干しスペースとして活用できます。また、日光を取り入れながら閉め切ることができるので、花粉症の方でも花粉を気にすることなく洗濯物を干すことができます。

引用)住友林業のリフォーム「戸建てリフォーム

間取りにおいては脱衣所から近い場所に配置することでコンパクトな家事動線となり、忙しい共働き家庭でも使いやすい住まいになります。

緑を楽しむガーデンスペース

日光の入る明るく開放的な空間を利用して、植物を育てる室内のガーデンスペースをつくることもできます。天候に左右されず緑を楽しむ場所として、住まいのなかのカフェスペースとしての利用も楽しめます。

引用)住友林業のリフォーム「リフォーム事例

ダイニングやリビングの延長としてのスペース

セカンドダイニングやセカンドリビングといった、くつろぎの場所の延長としても利用できます。室内にいながら、明るい屋外のように気持ち良い風を感じながら食事や読書を楽しめます。

引用)住友林業のリフォーム「リフォーム事例

室内を快適にする温度調整スペース

リビングやダイニングなど多くの時間を過ごす場所に隣接して設置することで、室内の温度を調整するスペースとしても活用できます。
かつての日本の住まいにおいて居間に縁側が隣接していたように、リビングと屋外とのあいだにワンクッションとなるサンルームがあれば、そこが断熱層として機能します。これによりリビングは外気の影響を受けづらくなり、エアコンも効きやすい快適な居住空間になります。

サンルームを設置する際の注意点

さまざまな魅力のあるサンルームですが、目的によって仕様や場所を十分に検討することが大切です。また、既存の住まいに増築してサンルームを設置する場合は、建築基準法の確認も必要になってきます。
ここでは、リフォームによりサンルームを設置する場合に気を付けたい注意点を解説します。

確認申請の有無や建ぺい率・容積率の確認が必要

住まいの建つ地域やサンルームの大きさによっては、増築時に確認申請が必要となる場合があります。
まず、住まいが都市部にあり、「防火地域」または「準防火地域」に指定されている場合は、増築を行うための確認申請が必要です。住まいがこれらの指定地域に当てはまらず、かつ増築部分の面積が10㎡以内であれば確認申請は不要ですが、10㎡を超えると確認申請が必要になります。
また、サンルームを増築した場合、住まいの建築面積、延床面積が増えることになりますので、各地域で定められている建ぺい率や容積率をオーバーしていないかどうかの確認も必要です。
いずれの場合も、建築基準法による法的な制約を守れているかどうか、リフォームを依頼する建築士などの専門家に確認をすることが大切です。

増築の場合は接続部の防水に注意する

既存の住まいに対してサンルームを後付けで増築する場合は、既存部分と増築するサンルームとの接続部分の雨仕舞に十分に注意して施工してもらうことが大切です。接続部分の防水の検討が不十分なまま施工を行うと雨漏りが起こることも考えられるからです。建築士や施工業者に既存の住まいの状況をしっかりと確認してもらい、後日、不具合が起こらないように気を付けてもらう必要があります。

地域性や目的を考慮して仕様を決めることが大切

サンルームを取り入れる場合は、その地域性や目的に配慮して仕様を決めましょう。十分に検討しないと、夏は暑すぎたり冬は寒すぎたりと、結果として使うことができない場所になることも考えられます。
たとえば、リビングに隣接する温度調整の場としてもサンルームを使用したい場合、住まいが寒冷地であれば冬の断熱をメインに考えることが必要です。サンルームには断熱性能の高いガラスを使用することで、サンルームを断熱層として機能させつつ、日光を取り込むことでリビングに光を届けることができます。
逆に夏の暑さが厳しい地域であれば、サンルームには遮熱性能のあるガラスを使用し、カーテンやロールスクリーンなどの日除けもできる仕様とすることが大切です。加えて、リビングとサンルームの間を仕切る建具には、十分な気密性能を持つ製品を使用することで、リビングの冷気を逃さず、冷房が効きやすい環境とすることができます。

まとめ

"日光浴を楽しむ部屋"のようなイメージもあるサンルームですが、設置する場所や隣接する部屋により、さまざまな使い方ができます。

共働きが一般化し、家事を効率化したい家庭が増えている現在において、サンルームは日々の洗濯の負担を非常に軽くしてくれるため、新築住宅においても取り入れる例が多く見られるようになっています。

サンルームは個別に設計・施工されることもありますが、各メーカーが既製品としてさまざまなタイプを販売しており、リフォームにおいても比較的気軽に設置できるようになっています。ただし、既製品を検討する場合も、設置場所や地域性を考慮して仕様を決めることが大切です。

家事の効率化の場、食事・読書を楽しむ場、そして緑を楽しむ場など、あらゆる活用ができるサンルーム。住まいに取り入れることで、より快適で豊かな暮らしを実現できることでしょう。