50代からのがん保険は高い? 加入はどうする? 現役FPはこう考える

お金・資産

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もしもがんに罹患してしまったら、気持ちが落ち込み気力を失ってしまうかもしれません。このようなときに役立つのががん保険やがん特約です。「いくらまでなら保険料を出せるのか」「どのようなときにお金を受け取りたいのか」をよく整理して、加入を検討することが大切です。

この記事の監修

FPかぴ

フリーランスのライターとして活動中。
得意分野は保険と保険に関わる社会保障制度について。
自身でも「FPかぴさんのお金のはなし」というブログを運営中。
複数のメディアでコラムを執筆する1児の母。FP上位資格のAFP取得済み。

生涯で2人に1人が罹患すると言われている「がん」(※1)は、年齢が上がるほど罹患しやすくなることが分かっており、長生きするほど罹患リスクの上がる(※2)ことが知られています。自分の周りにも罹患者がいる、という方もいるのではないでしょうか。

保険は病気や死亡のリスクが上がると、料金が高くなる仕組みです。がんもまた年齢と罹患リスクが比例する病気であり、年齢が上がるにつれ保険料が高くなります。

筆者は保険ショップに勤務する保険系FPですが、70代・80代の方ががん保険に新規加入することはほぼありません。保険料が高すぎたり、加入年齢の上限を超えたりしてしまうことがその理由です。

問題は50代~60代の方です。周囲に罹患者が増えるため危機感があり、保険料も高いけれど払えないわけでもない金額になるため、多くの方が悩まれている印象があります。

そこで今回は50代からのがん保険をテーマに、「保険料が高くて加入を迷っている」「そもそもがん保険に加入する必要があるの?」「がん保険に変わるものがないのか知りたい」といった疑問をお持ちの方に答えていきたいと思います。

なぜがん保険は独立しているのか

ところで、がん保険はなぜ独立して存在しているのか、医療保険にはなぜがん専用の特約があるのかをご存じでしょうか? これは、「がんはお金がかかるタイミングが他の病気とずれているから」です。たとえば、くも膜下出血で倒れ救急車で運ばれた場合にはすぐに手術を必要とし、その後は入院するという流れになります。このときに活躍するのが「入院・手術」を基本保障とする医療保険です。
医療保険はさまざまな病気に対応しており、もちろんがんも保障範囲に入ります。しかし、がんは入院や手術をする前に、放射線治療やホルモン治療など通院治療が始まるケースがあります。この場合、「入院・手術」はしないので、医療保険からお金を受け取ることができません。つまり、がんは入院や手術をする前にお金がかかることがある病気なのです。
こうした理由から、がん保険には「がんと診断されたら100万円」というような診断一時金を受け取るタイプが多く存在します。他にも長い通院治療をカバーするような通院特約等もあるのが特徴です。医療保険で保障できない範囲をカバーする必要があるため、がん保険やがん特約が存在しているのです。

保険料が高くてもがん保険に加入する必要はある?

お客様から「保険料が高いのですが、がん保険に加入する必要がありますか?」と問われたら、筆者は「考え方による」と答えています。そのポイントは主に2点です。

「いくらまでなら保険料を捻出できますか?」

2人にひとりががんになるリスクを抱えているとはいえ、ならない方も半分います。がん保険は掛け捨ての商品が多く、そうではない商品は保険料が高額になります。がんだけのためにいくら捻出できるか、上限を決めておくと加入可否の判断がつきやすくなります。

「どんな時にお金を受け取りたいですか?」

「がん治療で毛が抜けてしまったから、ウィッグを購入したい」「純粋に治療費をまかないたい」「死亡保障もつけておきたい」など、保険料の使い道は人によってさまざまな希望が出てくるでしょう。保険はお金を受け取ることが目的なので、ご自身がどのような時に備えたいのかを考えておかないと、結論がブレることがあります。ご自身の希望をまとめておくと、スムーズに結論が出やすくなるのでオススメです。
がん保険を検討する50代以降の方は、どうしても保険料が高くなるため、保障の範囲と保険料のバランスが非常に重要です。加入するかどうか悩んでしまったら、ぜひ一度立ち止まって考えてみてください。

「がん特約」には思わぬ落とし穴がある

「加入保険の数が多いと面倒なので、一本化したい」というご希望をお持ちの方もいらっしゃると思います。その点、医療保険にもがん専用の特約が多数存在するので、一本化したければがん専用の特約を付加すればOKです。しかし、この特約の必要性については、しっかりと考える必要があるでしょう。

保険は時代とともに商品が変化しています。なぜなら医療技術の向上や、かかりやすい病気に変化があるからです。すると、時代に合わない「10年前に加入した医療保険」などは見直しが必要になることがあります。 ここで注意したいのは、「医療保険を見直すと、がん特約も同時に消滅する」ことです。
「見直し」とは加入中の保険を解約して新しい保険に加入することですが、加入時の年齢で保険料が計算されるため保険料が高くなる場合があります。
がんは前述したように高齢になるほどリスクが上がる病気です。医療保険だけならまだしも、がん特約を付けると急に保険料が跳ね上がってしまうことが考えられます。「医療保険を見直したらがん特約が消滅してしまったので、新規で加入したい」となっても、保険料が高くて諦めざるを得ないこともあります。
医療保険にがん特約をつける前に、「将来見直しは必要になるのか」「見直す場合のがん保障をどうするのか」を考えてから加入しましょう。

「がん保険はいらない」という方へ

「がんになるか分からないのに、がん保険なんてもったいない」「医療保険に加入しているし、がんの保障は必要ない」と考える方もいらっしゃるかと思います。もちろん、これもひとつの考え方です。入院や手術の前にかかるお金は自分で捻出し、入院や手術となった時に医療保険からお金を受け取ればいいからです。また、日本には「高額療養費制度」もあるため、高くなりすぎた治療費は国が保障してくれることもあります。しかし、ここでもいくつかの注意点があるので、ポイントだけは押さえておきましょう。

先進医療特約のススメ

「先進医療」とは厚生労働省が認可した「高度の医療技術を用いた療養」のことです。先進医療は、従来の保険適用治療よりも高度な技術を用いるため、治療効果が高かったり副作用が少なく済んだりなど、メリットが多い治療です。その代わり、治療費全額が自己負担のため健康保険は使えませんし、「高額療養費制度」も利用できません。つまり、先進医療は治療費が非常に高額になるのです。
この先進医療の利用で代表的なのが「がん」です。がんでは多くの場合、「重粒子線治療」や「陽子線治療」と呼ばれる治療が適用されます。その際にかかる費用の目安は下記のとおりです。

厚生労働省「令和元年6月30日時点における先進医療Aに係る費用 令和元年度実績報告(平成30年7月1日~令和元年6月30日)」を参考に筆者作成

このように1回でもかなりの金額が必要になることが分かります。しかし、先進医療を利用する可能性はあまり高くありません。大抵の場合は保険適用治療で済むからです。ただ、あなたやあなたのご家族ががんで苦しい思いをしていると「お金で命が買えるなら先進医療を試してみよう」と思うこともあるかもしれません。このようなときに使えるのが、医療保険の「先進医療特約」です。これをつけていれば、「先進医療2000万円までなら保障可能」「別途一時金あり」など、高額な治療費をしっかりとカバーできます。
がん保険加入やがん特約付加を検討されていない方も、医療保険に「先進医療特約」を付加することを強くオススメします。

まとめ

もしもがんに罹患してしまったら、気持ちが落ち込み気力を失ってしまうかもしれません。そこに追い打ちをかけるようにお金の心配が絡んできます。このようなときに役立つのががん保険やがん特約です。ただし、掛け捨ての商品が多く、がんにならない場合も保険料は戻ってこないことがほとんどです。特に50代からのがん保険は高額なので、悩むこともあると思います。
「いくらまでなら保険料を出せるのか」「どのようなときにお金を受け取りたいのか」をよく整理して、加入を検討することが大切です。

※1 国立がん研究センター がん情報サービス「がんの基礎知識 がんという病気について 1.がんについて知っておきたいこと

※2 国立がん研究センター がん情報サービス「グラフデータベース 男女別 全部位 年齢階級別 罹患率(全国推計値)2015年