体が動くうちにしておくべきこと

面倒な「死後の手続き」に必要な備えとは 手続きの方法と注意ポイント

お金・資産

この記事をシェアしよう

死後の手続きでトラブルを避けるには、どんな手続きがあるのかを理解し、事前に準備をしておくことが大切です。自分だけで対応するのは大変なので、親族や専門家のサポートを受けながら、優先順位をつけて手続きを進めましょう。

この記事の監修

大西 勝士

フリーランスの金融ライター。会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て、2017年10月より現職。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数のメディアで執筆しています。

家族が死亡した場合、遺族はやらなければならないことがたくさんあります。大切な人が亡くなるのはつらく悲しい出来事ですが、精神的な負担を感じながらも手続きを進めなくてはなりません。

死後の手続きには、期限があるものや専門知識が必要なものもあります。トラブルを避けるには、どんなことに注意すればよいでしょうか。

今回は、家族が亡くなったときに必要な手続きや注意点について解説します。

死後に必要な手続きにはどんなものがあるのか

死後に必要な手続きは、大きく以下の5つに分けられます。

  • 葬儀の手配
  • 公的手続き
  • 税金関係
  • 遺産相続
  • その他

家族が亡くなったら、まずは葬儀の手配をしなくてはなりません。また、並行して自治体への届出など公的手続きを進めます。その他に税金関係の手続きや遺産相続、故人が利用していたサービスの解約なども必要です。期限が設けられているものもあるので、必要な手続きを理解し、優先順位をつけて取り組むことが大切です。

葬儀関係の手続き

葬儀関係の手続きの流れは以下のとおりです。

1.死亡診断書(または死体検案書)の受け取り

家族が亡くなったら、病院で医師から「死亡診断書」を受け取ります。事故死や突然死などの場合は検死が必要になるため、死亡診断書ではなく「死体検案書」になります。

2.「死亡届」の提出と「火葬許可証」の受け取り

死亡届は、死亡を知った日から7日以内に自治体の窓口へ提出します。死亡届を提出する際は「死亡診断書」が必要です。届出に基づいて「火葬許可証」が交付されます。

3.葬祭業者との打ち合わせ

上記と並行して、葬祭業者と葬儀の打ち合わせを進めましょう。「死亡届」や「火葬許可証」の提出は、葬祭業者に代行してもらうことも可能です。

公的手続き

家族が亡くなったら、なるべく早く以下の公的手続きを行う必要があります。

年金の受給停止、未支給年金・死亡一時金の請求

死亡すると年金を受ける権利がなくなるので、受給停止の手続きが必要です。年金事務所で「受給権者死亡届」を提出しましょう。
亡くなった人に支給すべき年金(未支給年金)がある場合、一定範囲の遺族は未支給年金の請求が可能です。また、国民年金の第1号被保険者として保険料を36月以上納め、老齢基礎年金・障害基礎年金を受け取ることなく亡くなった場合、一定範囲の遺族は死亡一時金を請求できます。

世帯主の変更

世帯主が亡くなったときは、世帯主変更の手続きが必要です。ひとり暮らしだった場合や二人世帯で自動的に世帯主が決まる場合など、自治体によっては届出が不要なケースもあります。

各種健康保険被保険者証の返還、葬祭費・埋葬料の請求

亡くなった人が国民健康保険や後期高齢者医療保険に加入していた場合、死亡届を提出すれば基本的に届出は不要です。ただし、自治体へ被保険者証を返還する必要があります。会社員で健康保険に加入していた場合は事業主が手続きを行うため、勤務先に連絡しましょう。
亡くなった人が国民健康保険の被保険者なら「葬祭費」、健康保険の場合は「埋葬料」が支給されます。

葬祭費・埋葬料を請求する際は、申請書のほかに喪主の本人確認書類や葬儀費用の領収書などが必要です。葬儀費用の負担を減らすためにも自治体や健康保険組合などで忘れずに手続きを行いましょう。

介護保険被保険者証の返還

65歳以上の人が亡くなった場合は、介護保険に関する手続きが必要です。自治体の窓口に「介護保険被保険者証」を返還しましょう。
高額介護サービス費の支払いを受けており、亡くなった後も口座への振込がある場合は、振込先口座を相続人の口座に変更する手続きが必要です。

税金関係の手続き

亡くなった人の職業や所有財産の状況によっては税金関係の手続きが必要です。具体的には以下の2つです。

所得税の準確定申告

自営業者で確定申告が必要な人が年の中途で亡くなった場合は、相続人が代わりに1年間の所得金額と税額を計算して確定申告をしなくてはなりません。この手続きを「所得税の準確定申告」といいます。

準確定申告は、相続開始を知った日から4カ月以内に申告・納税を行います。相続人が申告するのが難しい場合は、税理士に依頼することを検討しましょう。

相続税の申告

亡くなった人から財産を取得すると、相続税がかかることがあります。基礎控除額を超える遺産を取得する場合は、相続税の申告が必要です。基礎控除額の計算式は以下のとおりです。

相続税の基礎控除額=3,000万円 +(600万円×法定相続人の数)

たとえば、両親と子2人の4人家族で父親が亡くなった場合、法定相続人は配偶者(母親)と子2人の計3人で、基礎控除額は4,800万円(3,000万円+600万円×3人)となります。もし遺産の合計額が4,800万円を超える場合は、相続税の申告をしなくてはなりません。
相続税の申告は、相続開始を知った日の翌日から10カ月目の日までに行います。自身で申告をするのが難しい場合は、税理士に依頼することを検討しましょう。

相続関係の手続き

家族が亡くなったら、故人が残した財産をどのように分割するのかを相続人同士で話し合い、必要な手続きを行います。状況によって異なりますが、基本的には以下の手順で手続きを進めます。

1.遺言書の有無を確認する

まずは遺言書が残されていないかを確認しましょう。遺言書がある場合は、遺言書の内容に基づいて遺産を分割しなくてはなりません。公正証書遺言であれば、公証役場で遺言書の有無を確認できます。

2.相続人や相続財産を調べる

次に、相続人や相続財産を調べます。誰が相続人で、どんな財産を残しているかを明確にしておかないと、遺産分割協議や相続税の申告ができません。預貯金だけでなく有価証券や不動産、死亡保険金なども確認し、必要に応じて残高証明書を発行してもらいましょう。

3.遺産分割協議を行う

相続人と相続財産が明らかになったら、遺産分割協議で財産の分け方を決めます。

4.相続財産の名義変更

話し合いがまとまったら「遺産分割協議書」を作成し、相続財産の名義変更を行いましょう。預貯金や有価証券は金融機関(銀行、証券会社)で、不動産は法務局で手続きができます。

その他の手続き

その他の手続きとして、故人が生前に利用していたサービスの解約なども必要です。具体的には以下のとおりです。

  • 公共料金の名義変更
  • クレジットカード、携帯電話などの解約
  • パスポートの失効
  • 運転免許証の返納

公共料金なら自治体の窓口、クレジットカードなどは提供元の会社で対応してもらえます。それぞれの窓口に連絡をして、なるべく早く手続きを行いましょう。

トラブル回避のために準備しておくべきこと

ここまで確認してきたように、家族が亡くなったときにやるべきことはたくさんあります。トラブルを回避するには、以下のような準備に取り組むことが大切です。

両親が元気なうちに親族で話し合う

できれば両親が元気なうちに葬儀や相続などについて親族で話し合い、万一のときには協力できる体制を整えておきましょう。

遺言書やエンディングノートを書いてもらう

遺言書やエンディングノート(財産目録)を書いてもらえば、相続でもめるリスクが減り、相続財産の調査やサービスの解約などもスムーズに行えます。

相談できる専門家を探しておく

準確定申告や相続税の申告、不動産の名義変更などは、専門知識がない個人では対応が難しいかもしれません。弁護士や税理士などの専門家を探しておくと、いざという時に相談できるので安心です。

死後の手続きを誰かに代行してもらうことは可能?

死亡届の提出や葬儀については、葬祭業者のサポートを受けられます。しかし、事業者から言われるがまま進めると、葬儀費用が予想以上にかさむおそれがあります。何かを提案されたら必ず費用を確認し、トラブルにならないように注意が必要です。

税金・相続関係の手続きなら弁護士や税理士、司法書士などの専門家に代行してもらえます。専門知識を要するので専門家に依頼したほうが安心といえます。費用が発生するので、見積もりをとってから依頼しましょう。

最近では、入院時の身元保証や葬儀、死後事務などを支援する民間サービスもあります。「どうしても忙しくて対応しきれない」「頼れる親族がいない」といった場合に便利です。業者によってサービスや料金に違いがあるので、利用は慎重に判断しましょう。

まとめ

死後の手続きでトラブルを避けるには、どんな手続きがあるのかを理解し、事前に準備をしておくことが大切です。自分だけで対応するのは大変なので、親族や専門家のサポートを受けながら、優先順位をつけて手続きを進めましょう。