「給付金があります」 コロナに乗じた詐欺やトラブルにご注意!

お金・資産

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身に覚えのない電話やメール、郵送物が届いたときは、必ず誰かに相談しましょう。情報を共有しあい、誰もが詐欺被害にあわないようにすることが大切です。

この記事の監修

清水 沙矢香

2002年京都大学理学部卒業後、TBS報道局で社会部記者、経済部記者、CSニュース番組のプロデューサーなどを務める。ライターに転向後は、取材経験や各種統計の分析を元に幅広い視座からのオピニオンを関連企業に寄稿。
趣味はサックス演奏。自らのユニットを率いてライブ活動を行う。
Twitter:@M6Sayaka

新型コロナウイルスワクチンの接種や治療薬、給付金手続きなどを利用した詐欺やトラブルが相次いでいます。
なかには省庁や研究所に似せたメールアドレスを使い、公的機関をよそおって消費者に近づくものがあるほか、コロナに乗じて投資に勧誘するなど、その手口は多岐にわたっています。

コロナに関する情報は誰もが知りたいものです。こうした人々の不安を利用した悪質な詐欺の手口に騙されないよう事例を確認し、あらかじめ対処方法を身につけておきましょう。

「ワクチン摂取の優先順位を上げます」には要注意!

まずは、ワクチンや給付金に関する事例からお話ししましょう。多様な手口がありますが、次のような立場をよそおう電話やメールに対し、消費者庁は注意を促しています。

●●になりすまして だます!

  • 「市役所です」
  • 「●●省の者です」
  • 「市役所の委託を受けまして」
  • 「テレビ局のアンケートです」
  • 「NGO団体の者ですが」

もっともらしい理由をつけて だます!

  • 「●万円払えば優先的に接種でき、お金は後で返金されます」
  • 「ワクチン接種に必要なので、口座情報を教えてください」
  • 「医療従事者向けのワクチンが余ったので、●万円払えば接種できます」

引用:「新型コロナワクチン詐欺に御注意ください」消費者庁リーフレット

ワクチンの接種に関しては、お金のやりとりを求めるものは必ず疑う必要があります。ワクチンの接種は無料です。市区町村から届いた接種券以外のものは信用してはいけません。

3回目の接種が話題になっていますが、決定したとしても電話やメールで案内することは、まずあり得ません。

また、「家族の人数を教えて欲しい」「自宅は借家か持ち家か」など個人情報を聞き出そうとするものもあります。「家族の人数くらい......」と思ってしまうかもしれませんが、こうした情報はのちに別の詐欺に利用されます。絶対に答えないようにしましょう。

コロナ下で「金を買えばもうかる」?

新型コロナウイルスと金融商品は直接関係のないように見えます。しかし、詐欺師とはもっともらしい話をいくつでもでっち上げるものです。
国民生活センターに相談が寄せられた悪質な事例としてこのようなものがあります。

突然自宅を訪問してきた業者から、「新型コロナウイルスの影響で中国の経済がガタガタになっている。金の相場が上がることは間違いない。今申し込めば、高騰する前の金額で金を買う枠が当たるかもしれないから、すぐに申し込んだ方が良い」と勧誘された。

引用:「新型コロナウイルスに便乗した悪質商法にご注意!(速報)」国民生活センター

不況の時に貴金属が値上がりすることは、これまでもありましたが、それは結果論であって、事前に「必ず高騰する」とは断言できません。
もっとも通常の金融機関であれば、どんな金融商品についても「絶対に値上がりする」とは口にしません。なぜなら相場に100%はあり得ないからです。

このほかには、こうした内容も寄せられているようです。

大手製薬会社名で証券コード等が記載された書類が届いたが、関係ないと思い放置していた。ところが後日、自宅にその会社を名乗って「ご契約ありがとうございます」と電話があり、対応したところ、「2,000万円分の社債を購入したことになっている」と言われた。この会社の社債を購入した覚えは全くなく、「知らない」と言って電話を切ったが、不審だ。届いた書類をよくみると、新型コロナウイルス治療薬について記載がある。

引用:「これまでに寄せられた新型コロナウイルス関連の消費者トラブル」国民生活センター

この事例では、「身に覚えのない契約を結んだことにされている」という点で明らかに詐欺だと気づきますが、このような金融商品への関連づけとしては、発展形として「新型コロナウイルスの治療薬を開発している会社の株の優先予約券がある。必ず値上がりするから買わないか」といったうたい文句も出てくるかもしれません。こちらのほうがもっともらしく、注意が必要になりそうです。

しかし、どのような話であっても、まずは基本に戻って考えてみましょう。「必ず値上がりする」「必ず儲かる」というキーワードは、まず詐欺だと疑いましょう。そして、メールや電話、直接訪問でのこうした勧誘は、その場で応じないようにしましょう。名刺を渡されると、なんだかそれらしく感じるかもしれませんが、適当な住所を書いているだけで会社は存在しないということは多々あります。また、連絡先が携帯電話だけになっているものも疑う必要があります。会社がなくても対応できるようにしているからです。

詐欺事件の検挙例として大量の携帯電話が押収されているのをテレビニュースで見たことはありませんか? ひとつの携帯電話番号が詐欺だとバレると、新たな番号を使って詐欺を続けるのが詐欺グループの常套手段なのです。

公的機関に似たメールアドレスを利用した詐欺

厚生労働省は、「新型コロナウイルスを題材とした攻撃メール」について注意喚起をしています。
詐欺メールはあらゆる人に多く送信されていますが、メールアドレスを見て「おかしい」と気づく人は、さほど多くはありません。しかし、下記のような手口があることを知っておきましょう。

厚生労働省を騙るフィッシングサイトが確認されましたのでご注意ください。
フィッシングサイトのURLは、次のとおりです(「.」を「。」に変更しています。)。

 例:nlhw[。]go[。]jp[。]●●●●[。] xyz
  nlhw[。]go[。]jp[。]●●●●[。]shop

ただし、上記以外のドメイン、URLも使われている可能性がありますのでご注意ください。

引用:「新型コロナウイルスを題材とした攻撃メールについて」厚生労働省

これは、公的機関に似せたメールアドレスを取得しているケースです。

まず、厚生労働省のアカウントは「mhlw.go.jp」です。上記の注意を見ると「nlhw」となっており、非常に紛らわしい文字列です。また、「go.jp」の「go」はGovernmentの「go」を示しており、政府機関が保有するものです。しかし、その後に文字列が続く紛らわしいドメイン名が続いていることをお判りいただけるでしょうか。こうしたドメインを取得し、それらしく似せる手口が横行しています。

ただ、これらの詐欺メールには共通点があります。「ファイルを開かせたり他のサイトに誘導したりする」というものです。メールに添付ファイルがあったり、他のサイトへのURLの記載があったとしても、すぐに反応しないようにしましょう。実際、こうしたことに対し、「おかしい」と気づける人もいますが、悪質なのは誘導先が本物のウェブサイト(ここでいう厚生労働省)の画面とそっくりであることです。こうなると見分けるのは困難です。

この場合は、訪問したウェブサイトのドメインの末尾が「go.jp」であることを必ず確認しましょう。たとえば、「go.jp.●●●.●●.jp」のように、末尾の文字列が長く続くものはニセモノです。

冷静に考えると......

攻撃的に紛らわしいメールをランダムに送りつけてくる詐欺の手口は、一度は下火になったものの最近また増えています。

ただここで一度、冷静に考えてみましょう。
そもそも省庁や公的機関が、個人のメールアドレスを全部知っていることはありえません。ひとりで複数のメールアドレスを使う人が多い時代ですから、日本人の持つメールアドレスの数は億単位にあると考えられます。そのリストを精査して必要な個人を特定し、情報を送信する......想像するだけで、とてつもない手間と労力がかかります。それなら郵送のほうがはるかに確実ですし、実際の住所のほうが少ない数で済むはずです。住民票にメールアドレスが記載されることなどもありません。これらのメールはどれだけ送信元のアドレスが類似していても、ランダムに送りつけられていると考えるほうが合理的です。

また、コロナ下の生活ではさまざまな手続きが、なるべく「対面しないで済む」形を取るようになりました。それを利用して、キャッシュカードを自宅ポストに入れるよう指示し、盗み取る手段の詐欺も増えている旨、新聞でも報道されています。

詐欺師が考えつく手段は無限です。この記事を読んでいるあいだにも、新たな手口は生まれています。いたちごっこは終わらないのです。

身に覚えのない電話やメール、郵送物が届いたときは、必ず誰かに相談しましょう。官公庁ではなく、身近な人でも構いません。情報を共有しあい、誰もが詐欺被害にあわないようにすることが大切です。