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教育資金の平均額は? 贈与の上限額は? 正しいデータを知って上手に備えよう

お金・資産

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大学の教育資金はまとまったお金が必要ですが、子どもが小さいうちなら準備に時間をかけられます。大学進学まで時間がなく、教育資金を自力で準備するのが難しい場合は、奨学金の活用や祖父母の贈与などを検討しましょう。

この記事の監修

大西 勝士

フリーランスの金融ライター。会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て、2017年10月より現職。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数のメディアで執筆しています。

子どもを大学まで行かせるとなると、入学金や授業料などでまとまったお金がかかります。早めの準備が大事ですが、ほかの人はどうしているのか気になる人も多いのではないでしょうか。

まずは、大学の教育資金がいくら必要かを把握することから始めましょう。そのうえで、教育資金をどのように準備するかを検討することが大切です。

今回は、大学の教育資金の金額や準備方法、自力で準備できない場合の選択肢について解説します。

大学入学までに準備しておきたい金額は?

総務省の資料によると、幼稚園から高校までの学習費総額の平均額は以下のとおりです。

幼稚園

小学校

中学校

高校

合計

公立

約65万円

約192万円

約146万円

約137万円

約540万円

私立

約158万円

約959万円

約421万円

約290万円

約1,828万円

文部科学省報道発表資料「平成30年度子供の学習費調査の結果について」を基に筆者作成

この「学習費」には学校教育費と給食費のほかに、学校外活動費(参考書の購入費、通信教育・学習塾の授業料など)も含まれています。幼稚園から高校まで、すべて私立の場合は約1,828万円です。すべて公立に通うよりも3倍以上の教育費がかかります。

また、大学の教育費(平均額)に関しては、日本政策金融公庫がその調査結果を以下のように公表しています。

入学費用

在学費用

合計

国公立

約77万円

約460万円

約537万円

私立文系

約95万円

約608万円

約703万円

私立理系

約94万円

約768万円

約862万円

日本政策金融公庫「令和2年度 教育費負担の実態調査結果|P7 (3)高校入学から大学卒業までにかける教育費用」を基に筆者作成

なお、入学費用や在学費用には、それぞれ以下の費用が含まれています。

  • 入学費用:受験費用、入学金、入学時に払った寄附金など
  • 在学費用:授業料、通学費、教材費など

大学も私立のほうが教育費は高く、国公立に比べると数百万円の差があります。

大学進学をきっかけにひとり暮らしを始める場合は、仕送りやアパートの敷金・礼金、家財道具の購入費なども必要です。自宅外通学者への仕送り額の平均は年90万円(月7.5万円)です。また、自宅外通学を始めるための費用の平均額は約39万円です。ひとり暮らしの場合は、教育費とは別に4年間で約400万円かかることになります。(※1)

これらの調査結果を踏まえると、高校までの教育費を払いながら大学進学までに600~900万円を準備しなくてはなりません。ひとり暮らしをする場合は、4年間で1,000~1,300万円のお金が必要です。

教育資金を準備する方法

大学までの教育資金としていくら必要なのかは確認できましたが、どのように準備すればよいのでしょうか。

まだ子どもが小さければ、準備に十分な時間をかけられます。また、資金が必要になるタイミングが決まっているため、計画的に資金を作ることが可能です。具体的には以下3つの方法があります。

積立定期預金、財形貯蓄

積立定期預金は、毎月決まった日にお金を積み立てる定期預金です。最低金額は金融機関(銀行)によって異なりますが、一般的には月1,000円程度から始められます。ボーナス月などに積立金額を増額することも可能です。
積立定期預金は普通預金から自動振替で積み立てられるので、手間がかからないのがメリットです。どうしてもお金が必要になれば、中途解約して預金を引き出せます。

勤務先に制度があるなら、「財形貯蓄」を利用するのもいいでしょう。財形貯蓄は、給与天引きで積み立てができます。お金を引き出すには勤務先で手続きが必要となり、簡単に引き出せないため、積立定期預金よりも継続しやすいといえます。

積立定期預金・財形貯蓄のデメリットは、低金利でお金を大きく増やすのが難しいことにあります。また、物価が上昇すると、実質的に資産価値が目減りする恐れがあります。

学資保険

学資保険は、教育資金を準備するための貯蓄型保険です。毎月決まった保険料を支払うと、大学進学のタイミングで満期保険金を受け取れます。保険料払込期間中に契約者(親)に万一のことがあれば、保険料の払い込みは免除され、満期保険金は予定どおり支払われます。

学資保険に加入する際に確認しておきたいのが「返戻率」です。返戻率とは、払込保険料に対する満期保険金の割合です。返戻率が100%を超えていれば、払込保険料よりも多くの満期保険金を受け取れます。複数の商品を比較して、返戻率が高い商品を選ぶといいでしょう。

学資保険のデメリットは、中途解約すると元本割れする場合があることです。低金利の影響で返戻率は下がっているため、お金を大きく増やすのは難しいでしょう。また、契約時に保険料や満期保険金が決まるため、物価上昇により資産価値が目減りする恐れもあります。

資産運用

資産運用は、投資信託などの金融商品を積み立てる方法です。金融商品は価格が変動するため、銀行預金や学資保険に比べるとお金を大きく増やせる可能性があります。

資産運用で教育資金を準備する場合は、「つみたてNISA」を検討しましょう。つみたてNISAは、個人の資産形成を支援するための制度です。金融商品の利益には、通常約20%の税金がかかります。しかし、つみたてNISAは年40万円(20年間で最大800万円)の投資まで非課税で運用できます。

つみたてNISAの対象商品は、「販売手数料ゼロ」「信託報酬が一定以下」など積立投資に適した一定の投資信託に限定されているため、初心者でも商品を選びやすいでしょう。お金が必要になれば、いつでも解約して現金化できます。ただし、資産運用は元本割れすることもあるので、リスクをとりすぎないことが大切です。積立定期預金とつみたてNISAを併用するなど、無理のない範囲で資産運用に取り組むといいでしょう。

教育資金を自力で準備できない場合の選択肢

子どもの大学進学まで時間がないときは、どうすればよいのでしょうか。教育資金を自力で準備できない場合は、以下3つの選択肢があります。

  • 奨学金の活用
  • 教育ローン
  • 祖父母からの贈与

教育資金が足りないときに、まず検討したいのが奨学金の活用です。日本学生支援機構(JASSO)では、無利子の「第一種奨学金」と、利子が付く「第二種奨学金」の2種類があります。(※2)
第一種・第二種ともに、貸与月額は一定の範囲で選択できます。ただし、奨学金は返済しなくてはなりません。将来大きな負担とならないように、貸与月額は慎重に判断しましょう。

奨学金のほかに、教育ローンを利用する方法もあります。たとえば、日本政策金融公庫では「教育一般貸付(国の教育ローン)」を取り扱っています。上限は350万円で、固定の低金利で借り入れが可能です。「ひとり親家庭」「子ども3人以上(一部世帯)」など、状況によっては金利や返済期間の優遇を受けられます。日本学生支援機構の奨学金との併用も可能です。(※3)

祖父母からの贈与も選択肢のひとつです。贈与税には基礎控除があり、1年間(1月1日~12月31日)の贈与額が110万円までなら贈与税はかかりません。

年110万円を超える一括贈与の場合は、金融機関等を経由して教育資金非課税申告書を提出することで、1,500万円までは贈与税が非課税となる制度もあります。(※4)

祖父母から教育資金の援助を受けられる場合は、贈与税がかからないように控除や非課税制度をうまく活用しましょう。

まとめ

大学の教育資金はまとまったお金が必要ですが、子どもが小さいうちなら準備に時間をかけられます。積立定期預金やつみたてNISAを活用し、毎月の収入からコツコツ積み立てることで、無理なく教育資金を準備できます。

大学進学まで時間がなく、教育資金を自力で準備するのが難しい場合は、奨学金の活用や祖父母の贈与などを検討しましょう。