40代からの家計見直し計画

意外なメリット、思わぬデメリットも 火災保険の見直し、適切なタイミングは?

お金・資産

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火事をはじめ、台風や地震など、私たちはたくさんのリスクにさらされています。これらへの備えとして保険に加入することは、日々の生活の大きな安心となるでしょう。結婚や出産、引っ越しを機に火災保険を見直す際には、建物の新価と保険金額が同一に設定されている「全部保険」を選択することが大切です。

この記事の監修

矢口ミカ

複数のメディアで執筆中です。宅建の資格を活かし、家族が所有する投資用不動産の入居者管理もしています。住まいに関する資格である整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級も取得済みです。趣味は整理収納と料理。

令和2年中に東京消防庁管内で発生した建物火災は2,667件。このうち住宅火災の出火原因として「こんろ」(411件)、「たばこ」(201件)が上位に挙がっています。(※)

また、近年では地球温暖化によるゲリラ豪雨などの異常気象、突然発生する大地震など、私たちの生活を脅かす自然災害も少なくありません。これらの災害を被ることは、生活の基盤を失うことを意味します。

今回はこうした災害への備えになる「火災保険」をテーマに、見直しの時期について解説します。思わぬ災害にあっても自己負担なく自宅が再建でき、かつ無駄な保険料を支払わなくても済むポイントも一緒に押さえておきましょう。

住宅用火災保険の基礎知識

火災保険は、建物と家財に関わるリスクをカバーするものです。補償の対象となる範囲は一棟全体です。畳や建具、電気・ガス設備、屋内冷暖房設備、門や物置なども、このなかに含まれます。なお、こうした家財は建物の中に設置されているものとして「一式」で契約され、同居している家族の家財もまた、このなかに含まれています。

補償対象となるリスクは、あくまでも「偶然な事故」により経済的な損害が発生した場合です。具体的には、失火などの火災が挙げられます。たとえば、石油ストーブが倒れて床に燃え広がり火災が発生した場合です。このほか、落雷の衝撃によるテレビなど家電の損害、落雷により発生した火災も対象です。また、風災で窓ガラスが破損した場合や冬場におけるひょう災害、雪災も対象になります。なお、台風や竜巻などの強風、ひょう、豪雪やなだれなどの雪災による損害に関しては、一定の額を超えた場合に支払われます。

住宅火災保険よりワンランク上の商品として「住宅総合保険」というものがあります。この保険の補償対象範囲は、火災保険の補償対象をベースとしつつ、台風や豪雨などにより発生した洪水や高潮などの水災で建物や家財に一定の割合を超えた被害が生じた場合も損害の対象です。さらには、航空機の墜落、自動車の飛び込みなど、火災とは関連性が薄いリスクも範囲に含まれます。給排水設備の事故で発生した水漏れ損害、デモなどにともなう暴力行為や破壊行為による損害、盗難による損害など、あらゆる事象にも対応してもらえる手厚い補償が魅力です。

火災保険を見直すタイミング

家族の形態や住む場所は時間とともに変わっていくもの。家族や住まいに変化が訪れたときには火災保険を見直すことも大事です。ここでは、火災保険を見直すタイミングについて解説します。

1.住宅の購入・建築・改築・減築

住環境が変わったときは火災保険を見直すのにベストなタイミングです。住宅は生活の基盤となる大切な場所ですから、火災保険に加入してリスクに備えなければなりません。
住宅を購入または建築する際は住宅ローンを利用することが一般的ですが、万が一、火災などにあって再度立て直す場合には二重ローンを組まなくてはならないことも考えられます。場合によっては、ローン自体が組めないということもあるかもしれません。
火災だけでなく、地震、ゲリラ豪雨による洪水などの自然災害に見舞われるリスクも想定し、あらゆる災害に備えておくようにしましょう。

2.ライフイベントが発生した時

結婚や出産、引越しなどライフイベントが発生したときも見直しのタイミングです。結婚や出産、あるいは親との同居などで家族が増えれば、それにともない生活用品も増えていきます。家族が増えたら、家財に必要な補償額をその都度見直すようにしましょう。
また、引越しをすると地理的条件など周辺環境が大きく変わるため、必要な補償が違ってきます。たとえば、マンションの上層階に住む場合は洪水の被害にあうリスクは高くありません。したがって「水災」は特に付けなくても問題ないといえます。不要な補償を減らすと保険料が安くなるのがメリットです。

火災保険の見直しのポイント

ここでは、火災保険の見直しをする際のポイントについて詳しく解説をしていきます。

1.ニーズやリスクと合致しているか

火災保険は契約タイプによって補償内容が異なります。そのため、住んでいる環境のニーズやリスクに合わせた補償内容なのかを確認することが必要です。たとえば、周辺に大きな河川が流れている場合には「水災」、雪深い地方なら「雪災」、道の狭い角地などの場合は「自動車の飛び込み等による飛来・落下・衝突」による損害を重点的に見直すようにします。
住んでいるエリアにどのような災害リスクがあるのかは、ハザードマップで確認できます。ハザードマップは、自治体のウェブサイトで公開されています。

2.再建築・買い替えに十分な保険金額か

火災保険の保険金額を「時価で設定」した場合に支払われる保険金額は、事故発生当時の時価額を基準に算出されます。そのような場合では、保険金だけで同じ程度の建物の再建築や買い替えはできません。
こうした事態を避けるには、保険金額を「再調達価額で設定」するようにします。近年では再調達価額の評価額をベースに保険金額を設定するのが一般的です。契約内容を見直す際は、適切な保険金額に設定されているかを1度確認してみましょう。

3.地震保険に加入しているか

地震保険の目的は、被災者の生活の安定に寄与することです。地震はどこでいつ発生するかわかりません。いざ発生した場合には甚大な被害を家屋や家財にもたらすことになるため、地震への経済的な備えも検討しておくようにしましょう。この場合、建物だけでなく、家財に対する地震保険の加入もあわせて検討するようにしましょう。なお、地震保険は火災保険とセットで加入することになります。単独での加入はできません。

4.マンションや賃貸住宅の場合

マンションや賃貸住宅の場合、玄関ホールや廊下・外壁などの共用部分はマンション管理組合やオーナーが、室内など住んでいる人が専有している部分は入居者自身が、保険に加入するのが一般的です。火災などによって住居に損害を与えた場合は、入居者がオーナーに損害を賠償しなければならないからです。こうした保険は、家財に対する補償もあるので安心です。

無駄なく十分な補償を受けるための注意点

万が一のために必要な火災保険ですが、必要以上に多額の保険に加入していませんか? しかし、少なすぎてもいざという時の補償が足りません。ここでは、無駄なく十分な補償を受けるためのポイントを解説します。

1.保険金額設定は新価を基準にする

適切な保険金額を設定するにあたっては「新価を基準」にすることが大切です。
たとえば、Aさんが20年前に3,000万円をかけて家を新築したとします。いま、この家と同等の建物を新築しようとすると、物価が上昇しているため3,500万円が必要です。この金額が「新価」となります。
この新価から、経過年数による価値の減少と使用による消耗分1,000万円を差し引いた現在の価値は2,500万円。この金額が時価となります。

では、実際に火災が発生して、この建物が全焼してしまった場合はどうなるのでしょうか。Aさん宅の建物の時価は2,500万円ですが、現時点で同じ建物を建てるには3,500万円が必要です。しかし、時価で保険金額を設定した場合は、経過年数や使用消耗により建物や家財の価値が下がるため、同等の建物を再建築あるいは購入するだけの費用が補償されない場合があります。したがって、自己負担なく同等の建物を建築するには、新価を基準に保険金額を設定することが必要です。

2.保険の正しい付け方は「全部保険」

結論からお話すると、保険の正しい付け方は「全部保険」です。この全部保険とは、保険金額が同一に設定されている保険です。損害額と同程度の損害保険金が支払われるため、十分な補償が受けられます。
このほか、保険の種類には新価よりも保険金額を低く設定している「一部保険」、新価より保険金額を高く設定している「超過保険」があります。前者の場合、損害額の一部しか支払われないため補償金額が不足します。一方、後者は十分な損害補償が受けられるものの補償額は新価の金額が限度のため、それ以上の補償はされません。したがって超過分の保険料は無駄になってしまいます。

まとめ

今回は、火災保険の見直しのポイントについて詳しく解説しました。
火災保険は、大切な住まいが災害に見舞われたときのリスクに備える重要なものです。

火事をはじめ、台風や地震など、私たちはたくさんのリスクにさらされています。これらへの備えとして保険に加入することは、日々の生活の大きな安心となるでしょう。
賢い選択で適切な保険料を支出しつつ、万が一のときには納得のいく補償を得られるようにしておくことも、リスクに対する備えと言えるかもしれません。

結婚や出産、引っ越しを機に火災保険を見直す際には、建物の新価と保険金額が同一に設定されている「全部保険」を選択することが大切です。