掛金100円? ウォーキングでキャッシュバック? 自分に合った保険が見つかる「インシュアテック」

お金・資産

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インシュアテックとは、AIやビッグデータを駆使して開発された保険商品のことです。リスクが個人ごとに緻密に計算されているので、納得度が高いというのが特徴です。今後、保険に加入する必要が出てきた際には、ぜひインシュアテックを思い出し、賢い家計の削減策として検討してみるのもよいと思います。

この記事の監修

清水 沙矢香

2002年京都大学理学部卒業後、TBS報道局で社会部記者、経済部記者、CSニュース番組のプロデューサーなどを務める。ライターに転向後は、取材経験や各種統計の分析を元に幅広い視座からのオピニオンを関連企業に寄稿。
趣味はサックス演奏。自らのユニットを率いてライブ活動を行う。
Twitter:@M6Sayaka

生命保険、自動車保険、ペット保険......保険商品を選ぶ際には、どの保険会社が良いのか、必要な保障は得られるのかなど、さまざまな角度からの検討がつきものです。大きな保障があれば安心できますが、月々の保険料はいくらでもかけられるわけではありませんから、家計とにらめっこになります。

そこで近年注目されているのが、「インシュアテック」です。インシュアテックとは、AIやビッグデータを駆使して開発された保険商品のこと。ここからはたくさんのユニークな保険商品が生み出されています。

保険選びはなぜ難しい?

保険選びが難しい一番の理由は、契約期間中に自分や家族が何度ケガや病気をするのかが、わからないことです。これは当然のことではあるものの、とても重要なことです。それでも「備え」としての保険加入は誰しもが1度は考えることです。たとえば生命保険は、日本では8割以上の人が加入しています。この高い加入率は、日本が"保険大国"と言われるゆえんでもあります。

生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査|図1 日本での生命保険加入率」の情報を基に作図

なお、同調査によると民間や郵便局・共済などの生命保険や個人年金保険への平均支払額は、年間19.6万円となっています(※1)。この金額を高いと感じるのか、妥当と感じるのかは人それぞれですが、予測できないリスクに対して支払うものだけに、保険選びは本当に悩ましいものです。
そこで近年注目されているのが「インシュアテック」と呼ばれる保険商品です。

最新のテクノロジーが可能にした新時代の保険

インシュアテックとは「Insurance(保険)」と「Technology」を合わせた造語です。「インステック」とも呼ばれます。IoTやビッグデータという言葉は耳にしたことはありませんか? これら先端技術を利用することで、細かくカスタマイズされた保険商品が生まれています。
その特徴はどのようなものか、日本の大手保険会社で取り扱われているインシュアテックを利用した保険商品を例に、いくつかご紹介します。

実年齢ではなく「健康年齢」で保険料決定

ひとつめは、ネオファースト生命が販売する「無解約返戻金型特定生活習慣病入院一時給付保険(2020)」(※2)です。こちらは、実年齢ではなく、BMIや血圧などから独自に計算する「健康年齢」をもとに保険料が決定される仕組みになっています。
こうした細かい料金設定を可能としたのが、ビッグデータです。健診や医療機関の診療報酬明細書など、医療に関する膨大なデータを収集・分析して健康状態と入院リスクなどはじき出し、個人のリスクに見合った保険料を算出しています。

ウォーキングで保険料割引?

東京海上日動あんしん生命が販売する「あるく保険」(※3)もまた、ユニークです。こちらは1日平均8,000歩以上歩くと達成状況に応じて、保険料の一部がキャッシュバックされる、というもの。契約者がどのくらい歩いたのかを知る方法として、保険会社が独自に開発したスマートフォンの専用アプリが使われています。自分で健康維持に努める人には、そのぶん保険料を安くしようという考え方が実現されたものになっています。

納得できる保険金のために

保険料の設定とは少し違いますが、三井住友海上の自動車保険「見守るクルマの保険(ドラレコ型)」は、専用ドライブレコーダーを使って事故の状況を詳細に伝えるサービスのある点が特徴的です(※4)。
自動車事故は保険会社の担当者に状況を説明することが難しかったり、自動車同士の事故の場合は双方の言い分が食い違ったりすることもあります。しかし、専用ドライブレコーダーが事故の状況を記録し、その画像をAIが分析することによって保険会社は迅速かつ正確に事故状況を把握できます。
確たる物証が残るので、難しい説明を省けるうえ保険金の算出過程が透明化される点は、まさに明朗と言えるでしょう。

犬種ごとに保険料が違うペット保険も

これらのほか、多くのベンチャー企業からは個人のライフスタイルに合わせた「マイクロ保険」とも呼ばれるニッチな保険商品が続々開発されています。たとえば、旅行期間中に限り、高額なカメラにだけ保険をかけられる商品、月額100円から加入できるスポーツ中のケガに特化した商品、通販をよく利用する人向けに返品時にかかる送料を一部保障するものなどがあります。
ペット保険にも注目です。犬種によって病気へのかかりやすさ、あるいはかかりやすい病気は異なることに着目し、犬種ごとに保険料を設定する、というユニークな商品もあります。

これらインシュアテックを利用したニッチな保険は海外で先行しており、日本企業も次第に追随するようになりました。

インシュアテック商品は「不公平感」の解消も

ここまでさまざまなインシュアテック商品を紹介してきましたが、その最大の特徴は、リスクが個人ごとに緻密に計算されているので、納得度が高いということでしょう。

従来の保険はいわば、加入者を年齢や性別など「大きな枠」でくくったものが大半です。保険会社としても、その人がどんな個別の事情や特徴を持っているのか事前につかみにくいという背景もあるしょう。しかし、月々同じ金額を払っていても人の行動は多様です。元々注意深くて自動車事故を起こしにくい人も、事故を起こしやすい運転傾向にある人も同じ保険料を支払っているのでは不公平感があるのは事実です。
また、インシュアテックによって契約や保険金請求の過程のすべてがスマートフォンで完結できるものが増えてきました。保険会社としては人件費がかからないぶん、手頃な商品を提供しやすいのもまた特徴です。

これからの保険選びは、「月々いくらなら支払えるのか」というよりも、「何を保障してほしいのか」を自分で選び、必要度の低い保障にかかる費用をカットしていく形になっていくでしょう。

今後、保険に加入する必要が出てきた際には、ぜひインシュアテックを思い出し、賢い家計の削減策として検討してみるのもよいと思います。