源泉徴収とは? アルバイトも対象? 確定申告と還付金の仕組みを解説

お金・資産

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源泉徴収とは、特定の所得の支払者が、その支払いの際に、所定の方法により計算した所得税額を差し引いて国に納付する仕組みです。「面倒」「わかりにくい」と考えてしまう気持ちはわからなくもありませんが、せっかく稼いだ大事なお金です。還付を受けられるのであれば、ぜひチャレンジしてみることをおすすめします。

この記事の監修

村上カツ

大学卒業後、流通業の企業で勤務するも、専門性の高い仕事に憧れ、公認会計士を受験。
合格後は会計事務所で税務の仕事をこなし、その後、海外の提携事務所に出向。
幅広い経験を生かし、読者ニーズに応える執筆を心がけます。

サラリーマンの人は、毎月のお給料から所得税が源泉徴収されていることをご存知のことでしょう。また、フリーランスの人、副業をしている人も報酬や給与の受け取りの際、所得税が源泉徴収されていることを口座情報や支払い明細から把握していることと思います。
このように、源泉徴収された金額は確定申告をすることにより、その一部が還付金として戻ってくる場合もあります。

本記事では、確定申告や源泉徴収の仕組みを説明するとともに、源泉徴収で払い過ぎた税金を確定申告により還付できるパターンを解説します。

税金に対して苦手意識を持つ人は多いものですが、知識があれば、還付の手続きも大変ではありません。本記事を通して、まずは還付に関する基本をマスターしましょう。

確定申告と源泉徴収って、そもそも何?

所得税の確定申告

所得税のしくみは「申告納税制度」と言われ、納税者が確定申告を行い、そこで確定した税額を納税します。そのため、たとえば個人事業主の場合、年に一度、自分の一年分(前年分)の所得を計算して確定申告書を提出するとともに、所得税の支払いをしなければなりません。それに対し給与所得者の場合、雇用主である会社が毎月の源泉徴収により納税しています。そして、毎年12月の年末調整により一年分の納税を確定させることができます。
年末調整は、雇用主が実施するという点で確定申告と異なりますが、確定申告と同様に年単位で税額を確定させる手続きであり、"確定申告の簡易版"とも言えます。

源泉徴収とは?

源泉徴収とは、特定の所得の支払者が、その支払いの際に、所定の方法により計算した所得税額を差し引いて国に納付する仕組みです。
源泉徴収される所得には、「給与」「公的年金」「報酬・料金」「特定口座での株式等の譲渡益」などがあります。なお、源泉徴収の税率は、所得の種類や金額によって異なる税率で定められています。

源泉徴収には、国や納税者にとって以下のようなメリットもあります。

  • 国としては、確定申告の前に徴税の機会があり、確実に所得税を徴収する。
  • 確定申告の時期だけでなく一年を通して安定的に税収を得ることができる。
  • 納税者としても、所得を得た時点で少しずつ所得税を納めることになり、後で高額の所得税をまとめて払う状況にならない。

確定申告で、源泉徴収により前払いした税金を控除できる

源泉徴収は、確定申告や年末調整により確定する一年分の所得税の前払いとしての性質を持っています。そのため、確定申告によって決まった一年分の所得税額から既に源泉徴収された金額を引いた金額が、確定申告時に納付する税額になります。
なお、個人事業主の場合、原則として前年の確定税額に応じて、その年の所得税を予定納税として前払いする必要もあります。予定納税により払った税額も確定申告の際に、一年分の確定税額から引くことができます。

源泉徴収された金額が、還付されるのはどんな場合?

一年間のうちに源泉徴収された金額が、確定申告または年末調整で決まる最終的な税額を上回ることがあります。この場合、所得税を過大に前払いしていたことになるので、確定申告や年末調整の後に、還付を受けることができます。
以下では、確定申告や年末調整により還付がもらえる主なパターンを紹介します。

報酬の源泉徴収をされた場合

源泉徴収される所得のカテゴリーとして、「報酬・料金等」があります。以下は、これに該当する支払いの一例です。

  • 原稿料・講演料
  • 弁護士、公認会計士、司法書士等の有資格者に支払う報酬・料金
  • プロスポーツ選手、モデル、外交員などに支払う報酬・料金
  • 映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビの出演料など

したがって、たとえばライター、士業、モデルなどで収入を得ている人は、本業か副業かを問わず、収入を受け取るときに源泉徴収を受けているはずです。たとえば100万円以下の原稿料は、10.21%(復興所得税を含む)の税率で源泉徴収されます。

それに対して、確定申告時に適用される税率は、以下の表のとおり、課税所得金額に応じて決まる累進税率になっています。(※1)

▼確定申告時に適用される税率

課税される所得金額

税率

控除額

1,000円 から 1,949,000円まで

5%

0円

1,950,000円 から 3,299,000円まで

10%

97,500円

3,300,000円 から 6,949,000円まで

20%

427,500円

6,950,000円 から 8,999,000円まで

23%

636,000円

9,000,000円 から 17,999,000円まで

33%

1,536,000円

18,000,000円 から 39,999,000円まで

40%

2,796,000円

40,000,000円 以上

45%

4,796,000円

年間の課税所得金額が多くない人の場合、適用される累進税率も低いため、確定税額よりも源泉徴収された金額が大きくなることがあります。この場合、払い過ぎた差額部分の還付を受けることができます。

複数の勤務先から給与所得を得ている場合

給与所得を得ながら副業している人の場合も、通常は確定申告により還付を受けられます。副業の給与は、「乙欄」という少し高い税率を適用して源泉徴収されるためです。この場合、本業の勤務先で年末調整を済ませた後、本業の給与と副業の給与を合算して確定申告する必要があります。これにより、源泉徴収で払い過ぎた所得税を還付金として取り戻すことができます。

医療費控除などの控除がある場合

給与所得のみの人でも、確定申告により還付を受けられる場合があります。これは、年末調整では利用できないものの、確定申告のときに利用できる控除項目もあるためです。確定申告の際に控除できる主な項目には、以下のものがあります。

  • 医療費控除
  • 寄付金控除(ワンストップ特例制度を使わずに、「ふるさと納税」を利用する場合)
  • 住宅借入金特別控除(適用初年度は確定申告が必要)

これらの支出があった場合は、年末調整に加え、翌年3月15日までに確定申告を行うことで還付を受けることができます。

確定申告手続きの難易度は?

確定申告書を作成するのは実は難しくない

確定申告の経験がない人ほど、「確定申告は難しそう」など苦手意識を持っているのではないでしょうか。実際のところ、確定申告書は2枚の書類の空欄を埋めていくだけですし、関係のない項目は空欄のまま提出しても問題ありません。
不動産収入があるなど、所得の種類や状況によっては、記入する欄や添付する付表などが違ってきますので、詳細は国税庁のサイトで確認するようにしましょう。

確定申告書の提出の仕方

確定申告書は、プリントアウトした申告書様式に手書きで記入して紙ベースで提出するか、パソコンとインターネットを用いて電子申告を行うことで完了します。紙ベースの場合、最寄りの税務署に持ち込むか、郵送にて送付する必要があります。
例年、確定申告の時期になると、税務署で質問対応を受け付けています。確定申告書の記載内容や提出の仕方などに不安がある人は、予約を取って、事前に相談に行くとよいでしょう。

還付はいつ? いくらお金が返ってくる?

上述のとおり、源泉徴収により既に払った税額が申告により確定した最終税額を上回る場合は、確定申告をすることにより、差額が還付されます。通常、確定申告から1カ月から1カ月半が経過したころ、確定申告用紙に記載した金融機関に還付金として振り込まれる受け取ることができます。

「面倒」「わかりにくい」と考えてしまう気持ちはわからなくもありませんが、せっかく稼いだ大事なお金です。還付を受けられるのであれば、ぜひチャレンジしてみることをおすすめします。

※国税庁「所得税の税率