投資信託の基礎

初心者でも始めやすい投資信託は資産形成にとって得策?

お金・資産

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投資信託にはさまざまな特徴を持つ商品があるため、自分の目的に合ったものを選ぶことができます。経済的にゆとりのある老後生活を送るために、今からできる資産づくりがないかを、一度考えてみてはいかがでしょうか。

1990年前半にバブルが崩壊して以来、日本では長く超低金利が続いています。
現在、預入期間が10年の定期預金の金利は、わずか0.002%(※)。これは、1,000万円を10年間預けたとしても、得られる金利はわずか2,000円となる数字です。一方、投資信託などで資産運用を行い、仮に利回り3%で10年間複利運用した場合、同じ1,000万円の元本でも10年後には約1,344万円まで資産が増える計算になります。
同じ資産を持っていても、それをきちんと運用するかどうかで、ここまで違いが出るわけです。老後に経済面で余裕のある生活を送るためには、資産寿命を延ばすための工夫をすることが大切です。

この記事では、資産運用の手段のひとつとして近年注目を集めている投資信託についてご紹介します。銀行の預け入れだけでは老後は心もとないとお感じの方、これを機に投資信託による資産づくりを考えてみませんか?

投資信託の仕組み

投資信託とは、多くの投資家から資金を集め、それをひとまとめにしたうえで運用会社が投資家に代わって金融市場において運用する仕組みです。運用がうまくいけば投資家から集めた資金は増え、投資家は利益を得られます。これを細かい関係も含めて図解したのが、以下の図です。

投資信託の商品(「ファンド」といいます)を作っているのは運用会社です。投資家は証券会社や銀行、郵便局などの販売会社を通じて購入します。ちなみに集めた資金を何に投資するのかを決めて指図を出すのは運用会社ですが、資金を管理するのは信託銀行であり、しっかり分別管理されています。

ファンドの売買は、1口当たりの価格である「基準価額」に応じて行われます。基準価額は、ファンドの運用資産を投資家が保有する口数で割った金額です。運用がうまくいけばファンドの運用資産は増えるため、基準価額も上昇していくという関係になっています。
投資家は基準価額が上昇してからファンドを解約(売却)することで、利益を得ることができます。なお、ファンドによっては分配金などの形で、投資家に対して利益の還元が行われることもあります。

投資信託の4つのメリット

投資信託には、次のようなメリットがあります。

  • 手軽に資産運用ができる
  • 少額で始められる
  • 分散投資ができる
  • 幅広い商品から自分の目的に合ったものを選べる

ここでは、それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。

手軽に資産運用ができる

投資信託の大きな特徴は、運用のプロである運用会社のファンドマネージャーが投資家から集めた資金を運用している点です。そのため、投資家は相場状況が日々変化するなかで細かい投資判断を行ったり、実際に取引を行ったりする必要がありません。つまり、いったん投資信託を購入すれば、自身の手間をかけることなく商品ごとに設定されている投資方針にしたがって運用が行われていくわけです。そのため、投資に慣れていない人、あるいは投資に時間をかけられない人にとって、大きなメリットがあると言えるでしょう。
なお、ファンドの運用状況について報告するレポートが定期的に発行されることになっています。投資家はこのレポートで推移を確認しながら、長期的な目線で資産運用を進めていくことになります。

少額で始められる

投資にはある程度まとまった資金が必要というイメージがあるかもしれません。しかし、投資信託は多くの場合、1万円程度から始めることができ、少額でも資産運用ができます。こういった性質から投資信託は少額ずつ定期的にコツコツ購入していく積立投資と相性が良い側面があります。1回当たりの投資金額が少額であっても、積立投資を長く続けることで大きな資産を形成することも可能です。

積立投資では購入時期が分散されることで、市場の値動きによる影響を抑えられる側面があります。投資にともなうリスクを抑えられるため、初心者にとっても始めやすい資産運用の形と言えるでしょう。

分散投資ができる

分散投資とはひとつの対象だけに投資を行うのではなく、複数の対象に投資を行うことを言います。これによって特定の対象の値動きによる影響が少なくなり、全体としてリスクを抑えることができます。

投資信託では、投資家から集めた大きな資金をもとに、運用方針に基づいてさまざまな資産に対して投資が行われます。つまり、投資信託を購入するということは、間接的にこれらの資産に対して投資を行うのと同じ意味を持ちます。
通常、分散投資を行うためにはさまざまな資産を購入する必要があるため、非常に大きな資金が必要となります。しかし、投資信託を利用すれば、少額で手軽に分散投資が実現できるわけです。

幅広い商品から目的に合ったものを選べる

投資信託には幅広い商品が用意されており、それぞれに特徴があります。たとえば、株式を中心に投資を行うもの、債券を中心に投資を行うもの、不動産を中心に投資を行うもの、これらすべてにバランス良く投資を行うものもあります。
投資対象地域もさまざまです。国内だけでなく海外の資産に投資を行うファンドを選ぶこともできます。海外については、先進国はもちろんのこと新興国を中心に投資を行っているものもあり、非常にバリエーション豊かです。運用方針の観点からは、市場平均の利回りを目指して安定運用する「インデックス型」、積極的に高い利回りを目指す「アクティブ型」といったものがあります。
このように投資信託にはさまざまな特徴を持つ商品があるため、自分の目的に合ったものを選ぶことができます。

投資信託の4つの注意点

投資信託にはさまざまなメリットがありますが、購入にあたっては以下のような注意点もあります。

  • 元本割れをすることがある
  • 信託報酬などの手数料がかかる
  • 高利回りには高いリスクがともなう
  • 分配金利回りだけで判断してはいけない

上記についても、それぞれ解説します。

元本割れをすることがある

プロが運用を行う投資信託ですが、相場環境と運用方針によっては運用がうまくいかないことも考えられます。投資信託に限った話ではありませんが、元本割れをすることがあることは頭に入れておくようにしましょう。
なお、資産運用においてリスクをゼロにすることはできませんが、リスクを抑える工夫は可能です。代表的な方法として挙げられるのが、「分散投資」「長期投資」「積立投資」です。安定した資産運用を目指すのであれば、この3つはしっかり意識しておきたいところです。

信託報酬などの手数料がかかる

投資信託の運用にかかる手数料には、以下のようなものが挙げられます。

手数料名

発生タイミング

内容

販売手数料

購入時

購入にかかる手数料

信託報酬

保有中

運用会社による資金の運用・管理に対して支払う手数料

信託財産留保額

解約時

解約にかかる手数料

販売会社やファンドによってこれらは異なるため、投資を行う際には手数料がどのくらいかかるのか、しっかり把握しておくことが大切です。
なお、信託報酬はファンドの資産から差し引かれる形となり、投資家が間接的に負担するため、少し見えにくいところがあります。保有期間が長いほどこの見えない手数料の影響は大きくなるため、しっかり意識しておくことが大切です。

高利回りには高いリスクがともなう

投資信託にはさまざまな商品が存在しますが、なかには高い利回りを目指しているものもあります。しかし、一般的に高い利回りにはそれ相応のリスクがともなうため、それを理由に安易にファンドを選ぶことは避けたほうがいいでしょう。もちろん資産運用の方針は人それぞれ考え方があると思います。しかし、老後の資産形成が目的であれば、高い利回りよりもリスクを抑えた安定運用を優先するほうがいいのではないでしょうか。

分配金利回りだけで判断してはいけない

投資信託のファンドには、分配金を受け取れるものも多くあります。実際に現金が手に入るということで、分配金を魅力に感じる人も多いかもしれません。しかし、分配金が多いからといって、そのファンドが優れているというわけではありません。なぜなら、分配金はファンドの資産から支払われるため、その分だけ基準価額が下落するからです。つまり、単にご自身が保有する投資信託の一部が現金化したものが、分配金であるわけです。
ファンドの実績は、分配金による利回りだけでなく基準価額の推移も含めて、トータルで確認するようにしましょう。

「つみたてNISA」の効果をシミュレーション

投資信託による資産運用のひとつの方法として、リスクを抑えやすい長期の積立投資という形に触れました。この方法を選択する場合に押さえておきたいのが、「つみたてNISA」という投資による利益に対して税金がかからなくなる優遇制度です。

つみたてNISAの主要なポイントをピックアップすると、以下のとおりです。

ポイント

内容

新規購入が可能な期間

2042年末まで

購入可能金額

年間40万円(毎月3万円強)

購入した商品が非課税となる期間

最長20年間

では、つみたてNISAを利用して20年間にわたって毎月3万円の積立投資を行った場合、どのような資産形成ができるのか簡易的にシミュレーションしてみましょう。なお、3%の運用利回りで複利運用をすると仮定して、手数料等は考慮せずに計算を行います。

※筆者作成

このように、20年目で1,000万円近い資産形成ができることが分かります。このうち運用利益は約263万円です。仮にこの時点ですべてを売却すると、本来であれば約53万円の税金が発生しますが、つみたてNISAではこれが非課税となります。

あくまでこれは仮定に基づく簡易計算に過ぎませんが、資産運用によって大きく資産が増えており、つみたてNISAによって税金も大きく抑えられている結果になりました。運用利益の伸び幅が時間の経過とともに大きくなっているのも、特徴のひとつと言えるでしょう。

終わりに

長期的な目線で上手に資産運用を行うことは、無理なく資産を増やすことにつながる可能性が大きいといえるでしょう。経済的にゆとりのある老後生活を送るために、今からできる資産づくりがないかを、一度考えてみてはいかがでしょうか。