平均貸与額や返済期間は? 大学進学で奨学金を借りるときの注意点

お金・資産

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奨学金は、申し込み時期が決まっているものがほとんどです。説明会に出席することが申込条件になっている場合もありますので、少しでも検討している場合は、不備が起こらないようしっかり調べて準備をしましょう。無理のない範囲で貸与を受け、大学卒業後の人生の大きな負担とならないよう未来を見据えることも大事です。

この記事の監修

Mizuho

20代で弁護士資格を取得。弁護士時代、人の悩みや困っていることに寄り添い、それを解決していくことを日々経験。弁護士実務経験を経た後、「暮らしを良くする、人生を豊かなものにする」ことをコンセプトにした記事を執筆しております。

お子さんの大学入学の年齢が近づくにつれ、「進学費用をどう捻出しようか」と頭を悩ませる親は、多いのではないでしょうか。家庭によっては蓄えが不足していることから、奨学金を検討しているケースもあるかと思います。

奨学金を借りるにあたっては、いくつか押さえておくべきポイントがあります。
奨学金を借りるときの注意点、申込み条件、返済期間、そして学費以外にかかるお金について見ていきましょう。

奨学金を借りるときの流れ

1.貸与してもらえる人数は決まっている

奨学金には無利子と有利子のものがありますが、それぞれ貸与してもらえる人数(貸与人員)は決まっており、無利子よりも有利子のほうが多くなっています。
平成29年度のデータ(※)をみると、無利子の貸与人員は52万人、有利子の貸与人員は82万人になっています。

2.申込み

大学入学前に奨学金を申し込む場合は、通っている高校で奨学金の案内を受け取ることが一般的です。奨学金の種類によっては、特定の時期のみ説明会を行う場合があるので、情報をしっかり入手し、手続きが遅れないようにしましょう。
大学入学後に奨学金の申込みをする場合は、基本的に大学の案内にしたがうことになります。

3.採用から貸与終了までの流れ

奨学金の貸与が決定(採用)し、終了するまでは、次のような流れになります。

独立行政法人日本学生支援機構「(貸与手続き)全体の流れ」の情報を基に作図

貸与決定後も、説明会への出席や書類の提出があります。これらを怠った場合、奨学金の貸与を受けられなくなることがありますので、十分注意しましょう。

奨学金の種類と貸与月額

JASSO(独立行政法人日本学生支援機構)では、無利子の奨学金を「第一種奨学金」、有利子の奨学金を「第二種奨学金」と呼びます。それぞれの月額の貸与額を見てみましょう。

1.第一種奨学金(無利子)

大学に通う場合の貸与月額です。自宅通学か自宅外通学かによって、貸与月額の選択肢が異なります。

独立行政法人日本学生支援機構サイト「平成30年度以降入学者の貸与月額」の情報を基に作表

2.第二種奨学金(有利子)

第二種の貸与月額は、大学の場合、月額2万円~12万円(1万円刻み)となり、家庭の事情に合わせてその金額を自由に決められます。
なお、私立大学の医・歯学の課程に進学する場合は、最大16万円、私立大学の薬・獣医学の課程に進学する場合は、最大14万円まで借りることができます。しかし、大きな金額の貸与を受けるということは、返済もそれだけ大変になります。貸与額は、よく考えて決めることが大切です。

返済期間(返済回数)

返済期間(回数)は、「定額返還方式」と「定額所得連動返還方式」の2種類から選ぶことができます。

1.定額返還方式

貸与総額や割賦方法に応じて返還期間(回数)が決まるもので、下表のように決められています。

独立行政法人日本学生支援機構「返還期間(回数)」の情報を基に作表

貸与された金額の総額(「貸与総額(借用金額)」)を、「割賦金の基礎額」で割ると、返還年数が算出できます。これに12をかけると、何カ月かけて返還しなければならないのかが分かります。たとえば、毎月3万円の奨学金を4年間(48カ月)にわたって貸与された場合は、以下のようになります。

3万円×48カ月=総額144万円......貸与総額
144万円÷11万円(割賦金の基礎額)=13.09......返還年数
13×12カ月=156......返還月数

156カ月(13年間)をかけて返還

2.所得連動返還方式

平成29年度新規貸与者より適用されている新しい制度です。毎年の所得に応じて返済月額が変動するものであり、所得が低い場合でも無理なく返還できます。

文部科学省「奨学金事業の充実」の情報を基に作図

返還困難時のセーフティネット

返済計画を深く考えずに奨学金を借りてしまうと、返還困難の事態に陥ることがあります。そのため、国が返還困難時のセーフティネットを用意しています。
代表的なのは、「返還期限猶予制度」「減額返還制度」「返還免除制度」です。

1.返還期限猶予制度

災害、傷病、経済困難(給与所得者収入300万円、給与所得者以外所得200万円)、失業などの理由により返還が困難な場合に、願い出により返還を猶予してもらえる制度です。適用期間は通算10年です。ただし、災害、傷病、生活保護受給中、産休・育休中、一部の大学校在学、海外派遣の場合は10年の制限がありません。
また、奨学金申請時に家計支持者(保護者等)の年収が300万円以下の場合は、経済困難とみなされ、猶予の期限に制限はありません。

2.減額返還制度

経済的理由により奨学金の返還が困難となっている人のうち、当初の割賦金額を減額すれば返還可能な場合は、願い出により当初の割賦金額を一定期間減額してもらえる制度です。減額したぶん返還期間も延長されるため、無理なく返還を継続できます。

3.返還免除制度

奨学生が死亡または心身の障害により、返還不能となったときは、返還未済額の全部または一部が願い出により免除されます。無利子・有利子の全奨学生が対象です。

進学者に朗報! 新制度がスタート

今年、国による高等教育の就学支援新制度が始まりました。
この新制度は、授業料・入学金の免除または減額(授業料等減免)、給付型奨学金の支給という2つの支援により、大学や専門学校などで安心して学ぶことを目的とした制度です。
支援対象は、世帯年収や資産の要件を満たした、学ぶ意欲がある学生全員です。令和2年4月から申請の受付が開始されます。

支援金額は、世帯収入や進学先の種類、自宅から通うのか、ひとり暮らしなのか等によって異なり、具体的には次のようになります。

文部科学省サイト「学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度

終わりに

奨学金は、申し込み時期が決まっているものがほとんどです。説明会に出席することが申込条件になっている場合もありますので、少しでも検討している場合は、不備が起こらないようしっかり調べて準備をしましょう。

また、大学入学後は学費だけでなく、定期代や教科書代、パソコン購入費、資格取得や就職活動に関する費用など、いろいろとお金がかかります。学部によっては実習費、サークル・部活動によっては活動費も必要になるでしょう。こうした学費以外の費用も考えながら、奨学金の種類や貸与月額を検討しましょう。

奨学金を利用する場合は返済計画まで考え、親子でシミュレーションをすることが不可欠です。無理のない範囲で貸与を受け、大学卒業後の人生の大きな負担とならないよう未来を見据えることも大事です。

※文部科学省「奨学金事業の充実|(1)事業規模・貸与人員」
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shougakukin/main.htm