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学資保険のメリット・デメリットは?教育費をより効率的に準備する方法

お金・資産のこれから

学資保険は強制的に教育費を準備できるのがメリットですが、金利低下の影響を受けてお金が増えにくくなっています。お金を増やしながら教育費を準備したいのなら、「金融商品+掛け捨ての保険」という新しい選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。

【ライタープロフィール】大西カツシ

学資保険は、子どもが小さいうちに加入して18歳(高校卒業)になるまで積み立て、大学進学などの決められた時期に入学祝い金や満期保険金を受け取る保険です。「子どもが生まれたら学資保険に加入する」と考えている方は多いのではないでしょうか。一方で、みんなが加入しているからとの理由で、子どもの教育費を学資保険で積み立てることに疑問を感じる方もいるかもしれません。

学資保険は強制的に教育費を準備できるのがメリットですが、金利低下の影響を受けてお金が増えにくくなっています。そのため、お金を増やしながら教育費を準備したいのであれば、学資保険以外の選択肢も検討したいところです。そこで今回は、学資保険のメリット・デメリットと教育費をより効率的に準備する方法を紹介します。

学資保険で教育費を準備している人の割合は?

学資保険で教育費を準備している人は、実際にはどれくらいいるのでしょうか?
ソニー生命の調査によると、親の約5割が大学進学のための教育費を「学資保険」で準備しています。

ソニー生命「子どもの教育資金に関する調査2019」の情報を基に作図

また、「銀行預金」で準備している親も5割を超えており、「財形貯蓄」も合わせると約6割は元本保証の商品で準備していることがわかります。「学資保険以外の生命保険」で準備しているケースも見られますが、その割合は減少傾向にあります。また、「株式投資」を活用する割合は少ないものの、年々増加する傾向にあることが分かります。

まだまだ堅実性が優先される教育資金ですが、子どもの将来の可能性を最大限に広げる手段として、お金を守り、そして、うまく活用したいと思うのは、親ならば当然のことなのでしょう。

学資保険のメリット

学資保険のメリットは、「強制的に教育費を準備できる」「契約者(親など)の死亡時に保険料の支払いが免除される」の2つです。
日本学生支援機構の調査によれば、大学別の学費平均額は、国立大学は1年間で約64万円、4年間合計では約257万円です。それに対して、私立大学は1年間で136万円、4年間合計では約544万円かかります。

日本学生支援機構「平成28年度 学生生活調査 調査結果の概要P5」の情報を基に筆者作成

高校までももちろんですが、大学4年間は特にまとまった教育費が必要です。大学進学のタイミングで満期保険金を受け取れるように学資保険に加入すれば、強制的に学費を準備できます。また、契約者に万一のことがあれば、保険料の支払いが免除され、満期保険金は予定通り受け取れます。

学資保険のデメリット

学資保険には、以下のようなデメリットもあります。

中途解約すると元本割れする

急にお金が必要になった場合、学資保険を解約すれば解約返戻金を受け取れますが、中途解約すると元本割れしてしまいます。
学資保険の積立期間は長期にわたるので、満期を迎えるまでに何が起こるかわかりません。満期まで積み立てを続けることに不安を感じるなら、学資保険の加入は慎重に判断したほうがいいでしょう。

長く積み立ててもお金はそれほど増えない

また、学資保険は返戻率が低下しており、長く積み立ててもお金はそれほど増えません。
返戻率とは、払込保険料に対する満期保険金の割合です。たとえば、払込保険料が200万円、満期保険金が220万円の学資保険の場合、返戻率は110%(220万円÷200万円×100)となります。過去には返戻率が110%を超える商品もありましたが、金利低下の影響を受けて、学資保険を含む貯蓄型保険の予定利率は低下しています。現在は子どもが18歳になるまで積み立てても、返戻率は100%~105%程度の商品が多くなっています。たとえば、ソニー生命は、2020年1月から学資保険の返戻率を引き下げており、他社においても返戻率の引き下げや販売停止などの対応を検討しています。

インフレに弱い

学資保険はあらかじめ満期保険金が決まっているので、インフレにより物価が上昇すると、満期保険金の価値が目減りしてしまうリスクもあります。

「金融商品+掛け捨ての保険」という選択肢もある

学資保険は、教育費の積み立てと保険を組み合わせた商品です。学資保険に加入するだけで、教育費を準備しながら一定の保障も確保できることに魅力を感じる方もいるでしょう。しかし、中途解約で元本割れリスクがあるうえに、返戻率が下がったことでお金を増やすのは難しくなっています。お金を増やしながら教育費を準備したいのであれば、利回りの良い金融商品を自分で積み立てて運用し、掛け捨ての保険で保障を確保するという方法もあります。

この方法であれば、一定の保障を確保しながら、学資保険よりも高い利回りが期待できますし、急にまとまったお金が必要になった場合は、必要な金額だけ解約可能です。また、物価上昇時に株価は上がる傾向にあるので、株や投資信託などの金融商品はインフレへの備えになります。
金融商品を自分で運用することに不安を感じるかもしれませんが、現在は国が個人の資産形成を支援する制度を提供しており、資産運用に取り組みやすい環境が整っています。学資保険より効率的に教育費を準備したいのなら、「金融商品+掛け捨ての保険」という新しい選択肢を検討しましょう。

教育費は「つみたてNISA」で準備する

金融商品で教育費を準備する場合は「つみたてNISA」を検討しましょう。つみたてNISAとは、2018年1月からスタートした少額投資非課税制度です。投資対象は長期の積立・分散投資に適した投資信託に限定されており、運用益が非課税になるのが特徴です。つみたてNISAの概要をまとめました。

利用できる方

日本在住の20歳以上の方(口座開設年の1月1日時点)

非課税対象

投資信託の譲渡益や分配金

口座開設可能数

1人1口座

非課税投資枠

年40万円(20年間で最大800万円)

非課税期間

最長20年間

投資可能期間

2018年~2037年

投資対象商品

長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託

金融庁「つみたてNISAの概要」の情報を基に筆者作表

投資信託の利益には通常約20%の税金がかかりますが、つみたてNISAは年40万円、20年間で最大800万円の投資まで非課税で運用できます。また、「販売手数料ゼロ(ノーロード)」「信託報酬が一定水準以下」など、個人の資産形成に適した投資信託を金融庁が選定しているので、初心者の方でも安心して投資できます。

金融庁の資料によると、過去の実績では国内外の株式・債券に分散投資することで、年平均4.0%のリターンを得られています。

金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」の情報を基に作図

投資信託は元本保証ではないので、元本割れリスクもあります。しかし、資産や地域を分散した積立投資を長く続けると、結果的に元本割れする可能性が低くなることがわかっています。(※)
つみたてNISAは月100円から始められる証券会社もあるので、まずは少額から試し、慣れてきたら少しずつ積立金額を増やしていくといいでしょう。

掛け捨ての保険で必要な保障を確保する

学資保険は契約者に万一のことがあった場合、保険料の支払いが免除されます。金融商品を積み立てるだけでは保障はありませんが、掛け捨ての保険を使えば、比較的安い保険料で必要な保障を確保できます。

掛け捨ての保険に加入するときの注意点は、保障を最低限にしておくことです。日本は公的保障が充実しているので、民間の保険に加入しなくても一定の保障を受けられます。たとえば、高額な医療費を払ったときは、高額療養費制度によって自己負担限度額を超える金額の払い戻しを受けられます。また、世帯主に万一のことがあった場合は、国民年金や厚生年金から遺族年金が支払われます。
よけいな保険料を払わなくて済むように、掛け捨ての保険は公的保障も考慮して最低限にしておきましょう。

まとめ

これまでは、教育費は学資保険で準備するのが一般的な考え方でした。しかし、学資保険は中途解約すると元本割れをしますし、返戻率が下がっているのでお金は増えません。一方、「つみたてNISA」で投資信託を積み立てれば、学資保険よりも高い利回りが期待できますし、必要な保障は掛け捨ての保険で確保できます。お金を増やしながら教育費を準備したいのなら、「金融商品+掛け捨ての保険」という新しい選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。

※金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック|Lesson4 長期投資の効果について学ぼう!」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/guide/index.html

ライタープロフィール

大西カツシ

2級FP技能士・AFP

フリーランスの金融ライター。一般企業の経理職、会計事務所などを経て独立。保有資格は2級FP技能士・AFP。投資経験(10年以上)とFP資格を活かして、主に投資や資産形成に関する記事を執筆しています。