40代からの家計見直し

総返済額で100万円の差がつくことも! 住宅ローンの借り方・借り換えを研究してみよう

お金・資産のこれから

住宅ローンを利用する場合、金利タイプの選択は重要なポイントになります。将来の金利上昇が不安であれば「固定金利」、金利の低さを重視したい場合は「変動金利」を選ぶとよいでしょう。ただ、住宅ローンの金利タイプ・返済方法に正解はないので、無理なく返済できるように自分にあったものを選ぶことが大切です。

【ライタープロフィール】大西カツシ

これからマイホームを購入する場合、まず気になるのは、「どのように住宅ローンを借りればよいのか」ではないでしょうか。

日本は低金利の状態が続いており、住宅ローンの金利も下がっています。住宅ローンは金利タイプや返済方法によって毎月の返済額・総返済額が変わってくるため、自分に合った住宅ローンを選ぶことが大切です。また、すでに住宅ローンを利用している方も、住宅ローンの借り換えで返済額を減らすことができるかもしれません。

今回は、住宅ローンの金利タイプや返済方法、借り換えの目安などについて解説します。

住宅ローンの借入金額・返済額の平均は?

まず、マイホームはどのくらいの価格で購入できるのでしょうか?
国土交通省の資料によると、初めて住宅を取得する際の住宅購入資金の平均額は以下のとおりです。住宅価格は「分譲マンション」が4,581万円と最も高く、続く「注文住宅」「分譲戸建て住宅」は約3,900万円と、この二つには大きな開きはありません。一方、中古住宅の取得にあたっては2,600万円台と、新築と比べて割安感があります。なお、「注文住宅」は全国、「その他住宅」は三大都市圏(首都・近畿・中部)での調査結果です。

国土交通省「平成30年度 住宅市場動向調査 調査結果の概要 P25」の情報を基に作図

購入資金のうち自己資金は2~3割で、残りは住宅ローン(借入金)を利用しています。住宅種類別の住宅ローンの平均額は、注文住宅2,941万円、分譲戸建住宅3,181万円、分譲マンション3,320万円、年間返済額の平均は104.3万円~130.9万円となっています。1カ月にならすと、毎月10万円前後を返済していることになります。

国土交通省「平成30年度 住宅市場動向調査 調査結果の概要 P28」の情報を基に作図

これらは物件種類や価格、地域によって変わってきますが、住宅ローンを利用するときの目安になるでしょう。

住宅ローンの金利タイプ

住宅ローンを利用する場合、金利タイプの選択は重要なポイントになります。住宅ローンの金利は「固定金利」と「変動金利」の2種類があり、さらに変動金利は「固定金利期間選択型」と「変動金利型」に分けられます。
各金利タイプの特徴をまとめました。

▼住宅ローンの金利タイプと特徴

金利タイプ

特徴

メリット

デメリット

全期間固定金利型
(固定金利タイプ)

全借入期間を通じて適用金利が変わらない

  • 市場金利が上昇しても返済額は変わらない
  • 返済計画が立てやすい
  • 市場金利が低下しても適用金利は変わらない

固定金利期間選択型
(変動金利タイプ)

「当初5年間〇%」のように、一定期間に固定金利が適用される

  • 固定金利期間中は市場金利が上昇しても返済額は変わらない
  • 固定金利期間終了後に市場金利が上昇すると返済額が増加する
  • 返済計画が立てにくい

変動金利型
(変動金利タイプ)

半年ごとなど、定期的に適用金利が見直される

  • 固定金利より適用金利が低い
  • 市場金利が上昇すると返済額が増加する
  • 返済計画が立てにくい

フラット35(住宅金融支援機構)「金利のタイプとは?」の情報を基に筆者作成

固定金利は返済額がずっと変わらないので、返済計画が立てやすく、市場金利の上昇を気にする必要がありません。一方、変動金利は市場金利が上昇すると返済額が増えるリスクはありますが、固定金利よりも適用金利は低くなります。

国土交通省の資料(※1)によれば、低金利が続いていることもあって、平成23年(2011年)度以降は変動金利型が約6割を占めています。

固定金利と変動金利は「どちらがよい」という正解はなく、将来の金利見通しや借入金額、借入期間などから自分で判断するしかありません。将来の金利上昇が不安であれば「固定金利」、金利の低さを重視したい場合は「変動金利」を選ぶとよいでしょう。

住宅ローンの返済方法

住宅ローンを利用するときは、返済方法の選択も重要なポイントのひとつです。返済方法は、「元利均等返済」と「元金均等返済」の2つがあります。

元利均等返済は、毎月のローン返済額が一定になるように返済する方法です。当初は返済額に占める元金の割合が少なく、返済が進むと元金の返済額が増えていきます。毎月の返済額が一定なので、返済計画が立てやすいのがメリットです。

一方、元金均等返済は、元金の返済額が毎月一定になるように返済する方法です。住宅ローン残高が減るほど利息も減っていくので、返済額は毎回減っていきます。返済条件が同じであれば、元利均等返済よりも総返済額は少なくなります。

たとえば、「借入金2,000万円、返済期間20年、金利1.5%(固定)」の場合に、元利均等返済と元金均等返済でローン返済額にどのような違いがあるのか、以下にシミュレーション結果をまとめました。

元利均等返済(プラン1)

元金均等返済(プラン2)

毎月の返済額

9万6,509円(全期間)

10万8,333円(当初)

年間返済額

115万8,108円(全期間)

129万3,116円(1年目)

総返済額

2,316万2,045円

2,301万2,400円

その結果、毎月の返済額は、元利均等返済が全期間9万6,509円であるのに対し、元金均等返済は当初の10万8,333円から毎回減っていき、最後の240回目は8万3,517円になります。総返済額は、元金均等返済のほうが14万9,645円少なくなります。ただし、元金均等返済は当初の返済額が多く、毎月の返済額が元利均等返済を下回るのはかなり先です(今回のシミュレーションでは10年目以降)。

金利タイプと同様に、返済方法も「どちらがいい」という正解はなく、自分に合った方法を選ぶことが大切です。毎月の返済額を一定にしたい場合は「元利均等返済」、総返済額を少しでも減らしたい場合は「元金均等返済」を選ぶとよいでしょう。

住宅ローンの借り換えを検討する目安

低金利の状態が続いていることもあって、住宅ローンの借り換えを検討している方もいるのではないでしょうか。

住宅金融支援機構の資料(※2)をもとに、民間金融機関の住宅ローン金利の推移をみると、「変動型」は1980~90年代に8%を超える金利を付けたこともありますが、バブル以降は下がり続けており、2009年以降、現在まで年2.475%で落ち着いています。一方、「固定型」はこの20年、2~4%台でほぼ推移しており、2020年6月現在、「10年固定型」は年3.3%、「3年固定型」は3%となっています。
これは主要都市銀行などの金利(中央値)をまとめた情報で、実際にはネット銀行を中心に、住宅ローン金利が年1%未満の金融機関もあります。

住宅ローンの借り換えは諸費用がかかり、手続きも必要ですが、条件次第では毎月の返済額や総返済額を減らせます。住宅ローンの借り換えの目安は以下の通りです。

  • ローン残高1,000万円以上
  • 残年数10年以上
  • 金利差1%以上

上記すべてに当てはまらなくても、借り換えの効果が出るケースもあるので、まずは金融機関のウェブサイトなどで試算してみるといいでしょう。
現在の住宅ローンを完済するための繰上返済手数料、新たな住宅ローンの事務手数料などの諸費用を考慮しても返済額が軽減できるなら、借り換えたほうがお得です。

住宅ローン借り換えシミュレーション

住宅ローンの借り換えがイメージできるように、以下の例を基に具体的にシミュレーションしてみましょう。

  • 借り換え前:住宅ローン残高2,000万円、金利2.5%(固定)、残年数20年
  • 借り換え後:借入金額2,000万円、金利1.5%(固定)、残年数20年

※いずれもボーナス払いなしで、諸費用は考慮外

▼住宅ローン借り換えのシミュレーション結果

借り換え前

借り換え後

差額

毎月の返済額

10万5,980円

9万6,509円

▲9,471円

年間返済額

127万1,760円

115万8,108円

▲11万3,652円

総返済額

2,543万5,230円

2,333万7,045円

▲209万8,185円

住宅金融支援機構「借換えシミュレーション」の情報を基に筆者試算

上記の条件であれば、借り換えることで毎月の返済額を9,471円、総返済額を209万8,185円減らせます。仮に諸費用が50万円かかるとしても、100万円以上を節約できます。

まとめ

住宅ローンは借り方によって、毎月の返済額や総返済額が変わってきます。

金利タイプは、将来の金利上昇に備えるなら「固定金利」、少しでも低い金利で借りたい場合は「変動金利」がよいでしょう。
返済方法は、毎月の返済額を一定にしたいなら「元利均等返済」、総返済額を少しでも減らしたい場合は「元金均等返済」を選びましょう。

住宅ローンの金利タイプ・返済方法に正解はないので、無理なく返済できるように自分にあったものを選ぶことが大切です。また、借りている住宅ローンの金利が高く、残高が多く残っている場合は、借り換えによって返済額を減らせるかもしれません。住宅ローン借り換えの節約効果は高いので、状況に応じて借り換えを検討しましょう。

※1 国土交通省「平成30年度 住宅市場動向調査 調査結果の概要 P29」
https://www.mlit.go.jp/common/001287761.pdf

※2 住宅金融支援機構「民間金融機関の住宅ローン金利推移」
https://www.flat35.com/loan/atoz/06.html

ライタープロフィール

大西カツシ

2級FP技能士・AFP

フリーランスの金融ライター。一般企業の経理職、会計事務所などを経て独立。保有資格は2級FP技能士・AFP。投資経験(10年以上)とFP資格を活かして、主に投資や資産形成に関する記事を執筆しています。