投資信託や株式投資は怖くない? 40代から始める資産形成の考え方とは

お金・資産のこれから

資産形成が必要だとわかっていながらリスクを恐れ、投資に二の足を踏む人は少なくありません。しかし、預貯金ではほぼリターンを得られない状態。リスクが低めの投資信託などから投資にトライし、知識を広げながら資産形成していってみてはいかがでしょうか。

【執筆者】續 恵美子

子どもの教育資金準備や住宅ローン返済、食費や衣服費など、なにかとお金がかかる40代。資産形成をしようにも、貯金に回せるお金は限られ、銀行に預けても利息は期待できる状況ではない。投資でお金を増やしてみようかとは思うけど、損をするのは困る......。
このように、資産形成が必要だとわかっていながらリスクを恐れ、投資に二の足を踏む人は少なくありません。しかし、なかには、投資に関する知識の不足や固定概念がじゃまをして、合理的な行動に移せない人も多いようです。

そもそもなぜ投資?

過去20年の預金金利推移をみると、普通預金も定期預金も過去最低水準を更新中です。普通預金金利が0.001%、定期預金で0.01%という状況です。

もっと若い頃は、給料やボーナスを定期預金に預けても今より利息が付いていたはず......と記憶している人も少なくないでしょう。過去20年の平均預金金利推移をグラフで表わしてみると、普通預金金利は約0.2%で現在の約200倍、定期預金は約0.4%で現在の約40倍という時もありました。

日本銀行「統計データ検索/預金種類別店頭表示金利の平均年利率等」を基に筆者作成(※1)
注:定期預金は預入金額1千万円以上/1年のもの

しかし、それより十数年前の1990年代には、定期預金金利が7%程度付いていたのをご存知でしょうか。定期預金に100万円預けておけば、1年後には約7万円の利息が付くのは今となっては夢のような話ですが、その後、金利低下を更新中の日本では、またそのような時代がやって来ると考える人はいないのかもしれません。

「貯蓄から投資へ」という言葉を聞いたことがある人は少なくないと思います。それまで7%前後だった定期預金金利が急激に下がり始めた1990年代後半頃から政府の「貯蓄から投資へ」政策が開始され、今日にいたっています。この政策は、簡単に言うと、預貯金だけではない金融商品での資産形成をしようというもので、株や投資信託などでの投資の推進が行われています。

老後資金に夫婦で2,000万円必要という話題がメディアで多く取り上げられたのは記憶に新しいところです。現在40代の人にとっては、住宅資金や子どもの教育資金準備も今がいちばん大変なときだと思います。
物件や進路など、選択次第で金額は大きく変わりますが、住宅の平均購入価格は3,340万円~4,350万円、教育資金は子どもひとり当たり1,000万円程度というデータもあります(※2)。つまり、これから先の人生で6,000~7,000万円ものお金が必要になる人も多いということです。

仮に60歳までに準備すべき資金が6,000万円で、60歳までの期間が20年として単純計算してみましょう。1年間に300万円、1カ月で25万円を貯めていかなければいけない計算になります。手取り収入や生活費のことを考えると、金利に頼れるものならば、わずかでも力になってほしいところです。

しかし、冒頭に述べたように、預貯金ではほぼリターン(利息)を得られない状態。政府も推進しているように資産形成のためには投資をすることも大切になってきているのです。

金融商品のリスクを正しく知ろう

リスクがある投資をし、お金が減ってしまうと元も子もないと考える人は少なくありません。たしかに預貯金以外の金融商品は元本が確約されておらず、投資したお金の価値が変動するリスクがあります。投資を始める前にはそれぞれの金融商品のリスクについて必ず知っておかなければなりません。

一方で、「リスク=損をすること(元本割れする)」ではないことも知っておきましょう。資産運用におけるリスクとは値動きのブレ幅のことを意味します。「リスクが大きい」とは値動きのブレ幅、つまり値上がりする可能性も値下がりする可能性も大きいこと、逆に「リスクが小さい」とは値上がりする可能性も値下がりする可能性も小さいことを言います。あくまで可能性ですから、必ずしも損をしてしまうということではありません。

リスクの大きさのイメージ

筆者作図

なお、「リスク」と「リターン(利益)」は表裏一体と言われています。大きな収益が出そうな金融商品ほど、値動きのブレ幅も大きくなり、大きな損失が生じる可能性も高くなります。

ところで、金融商品のパンフレットや金融機関のWebサイトには「リスク許容度」という言葉がよく書かれています。「リスク許容度」とは「損をするかもしれない可能性にどれだけ対応できるか」を意味していることも知っておくとよいでしょう。

40代でイチから始めるために、知っておくべき投資をするときの4大原則

家族を養い、子どもの将来への責任が重い40代では、損失を出して資産を減らすことは極力避けたいものです。そこで、初めて投資にチャレンジする際の4大原則を知っておきましょう。

余裕資金で行う

損をするかもしれない可能性があるのが投資です。自分のお金を「生活費などで使うお金」「使用予定資金」「余裕資金」に分け、投資は当面使う予定がない余裕資金で行いましょう。

資金種類

生活費・緊急予備資金

使用予定資金

余裕資金

用途

日常の生活費などに使うためのお金、急な出費に備えるためのお金

今すぐ使わないが、近い将来使う予定があるお金

(住宅購入、子どもの教育費、旅行資金など)

しばらく(10年程度)使う予定がないお金

(子どもの大学進学資金、老後資金など)

向いている
金融商品

普通預金。貯蓄預金、MRFなど

定期預金、個人向け国債、公社債投信など

投資信託、株式、外貨預金など

金融商品のリスク

低い

低い~中程度

中程度~高め

(同じ商品内でもリスクの大小はさまざま)

筆者作表

分散投資

ひとつの金融商品に集中して投資するのではなく、複数の金融商品に分散して投資をすることでリスクも分散させましょう。

長期的視点

投資信託や株式を購入するとその後の値動きが気になるものですが、価格は刻一刻と変わるものです。そもそも投資したお金は10年程度手を付ける予定のないお金のはず。少し下がっても焦らず、長期間でお金を育てる心づもりで運用していきましょう。

リスク許容度

リスク許容度は収入や資産状況、養うべき家族の有無、ストレスへの耐用性などの要因で決まり、人それぞれに異なります。投資初心者の場合、自分のリスク許容度がよくわからないという人も少なくないようですが「投資したお金がどの程度までなら減っても許せるか」を検討してみるといいでしょう。

銘柄の選び方はどうやるの?

投資信託も株式も、実際にトライするとなれば購入する銘柄を選ばなければなりません。投資に慣れた上級者では、さまざまな指標をチェックしながら銘柄選択をすることが多いですが、投資初心者にとっては決して簡単ではありません。

そこで、基本的な選び方として、まずは社会全体を見てみることをおすすめします。ニュースやSNSなどで話題になっているテーマをいくつか拾い出し、気になる業種や自分の興味関心のある業種を見てみましょう。その業種にはどんな会社があるのか、その会社はどんな商品・サービスを提供しているのか、その商品・サービスは消費者のニーズを満たしているのか......というように順番に確認していきます。最終的にその業種や会社に成長性を感じられたら、少額で購入してみるといいでしょう。

投資は始める前にきちんとリスクや特徴などの知識を持っておくことが大切ですが、投資を始めてみてから得られる知識もあるものです。リスクが低めの投資信託などから投資にトライし、投資知識を広げながらお金も増やしていってみてはいかがでしょうか。

※1 日本銀行「主要時系列統計データ集/預金金利」
http://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/mtshtml/ir02_w1_1.html

日本銀行「預金種類別店頭表示金利の平均年利率等/(参考)(1)定期預金の預入機関別平均金利(1991年10月31日から2007年9月20日まで)」
https://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/cgi-bin/famecgi2?cgi=$nme_a000&lstSelection=IR02

※2 日本FP協会「くらしとお金のワークブック Part1.あなたの未来と今のお金を知る」
https://www.jafp.or.jp/personal_finance/fresh/workbook/files/wb_part1.pdf

執筆者

續 恵美子

ファイナンシャルプランナー(CFP®)

生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢みて退職。その矢先に縁あり南フランスに住むことに――。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。