手軽に保障が受けられる共済は保険と同じ? 違いを知って生活のリスクに賢く備えよう

お金・資産

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保障内容にもよりますが、一般的に共済は生命保険に比べて保険料が安めのものが多いため、自分のニーズに合ったものを選ぶことで、家計の節約につながることがあります。バランス良くさまざまな経済リスクに備えていければいいですね。

この記事の監修

續 恵美子

生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢みて退職。その矢先に縁あり南フランスに住むことに――。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。

共済も保険も暮らしのなかで起こるリスクに対する保障です。しかし、「保障=保険」というイメージが強く、共済がどのようなものかを知らない人もいることでしょう。
保障内容にもよりますが、一般的に共済は生命保険に比べて保険料が安めのものが多いため、自分のニーズに合ったものを選ぶことで、家計の節約につながることがあります。共済の内容や仕組み、民間保険会社の一般的な保険との違いを知って、もしもの備えの選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

共済とは?どんな保障があるの?

共済とは、死亡や入院・事故など、私達の生活のなかで起こるさまざまなリスクに対して、加入者や家族の生活の安定をはかることを目的に、経済的保障(補償)を行うものです。

リスクに対する保障(補償)には、死亡保障、医療保障、老後保障、自動車事故や火災、自然災害などへの補償とさまざまなものがあります。保険会社はそれに応じた生命保険や医療保険、自動車保険、火災保険などを提供しています。共済でも同様の保障(補償)を行う数々の種類が取り揃えられています。これらの経済的リスクに備えて加入しておくという点で、共済は保険に類似しています。

共済は普通の保険と何が違う?

リスクに対する経済的保障の面のみならず、加入者同士で助け合う「相互扶助」の仕組みを制度化したという面でも共済は保険と同様です。しかし、両者には違いもあります。

一般社団法人 日本共済協会「主な共済団体で実施している共済種類一覧」の情報を基に作図

加入要件

共済は相互扶助といっても、基本的に「同じ仲間同士で助け合う」という理念に基づいています。職業(農業や漁業など)や職場(会社など)、地域(都道府県や市町村など)などのカテゴリで「仲間」の範囲をくくり、各共済制度が設けられています。

具体的には、生活協同組合、農業協同組合(JA)、事業協同組合などの「協同組合」、地域などが共済制度の運営主体となっており、それぞれに共済制度を設けています。たとえば「こくみん共済coop〈全労済〉」や「JA共済」「道民共済」「都民共済」などがあります。どの共済制度も原則として、その協同組合の組合員、地域共済の場合は居住者または勤務者が加入できる仕組みです。

対して保険は種類によって加入できる年齢や健康条件などが決められてはいるものの、組合員や居住者に限定されず誰でも加入できるという部分で違いがあります。

規準法および監督官庁

規準法や監督官庁も異なります。保険は保険会社が保険業法にしたがい運営しており、金融庁が監督しています。一方で、共済は運営している協同組合によってしたがう法律や監督官庁が異なります。たとえば、「JA共済」は農業協同組合法にしたがい、農林水産省が、「こくみん共済coop〈全労済〉」や「コープ共済」は消費生活協同組合法にしたがい、厚生労働省が監督しています。

掛金の決まりかた

基本的に保険も共済もリスクの大きさによって保険料(掛金)が決まります。保険金(共済金)を支払う確率が高いほど保険料も上がる仕組みで、たとえば、生命保険や医療保険では契約内容が同じなら、一般的には若い人と中高年の人では中高年のほうが、保険料が高くなるように設計されています。

一方で、共済の場合には加入者を同じ業種に限ることでリスクを低減したり、年齢層や地域をひとくくりにしたりすることでリスクの範囲を限定し、年齢や性別による掛金の差を保険よりも小さくしています(※1)。このような設計法により、共済の種類によっては年齢や性別に関わらず1口数あたりの掛金を同じとするものもあります(※2)。

セーフティネット

セーフティネットに関する違いもあります。保険の場合、万が一にも保険会社が破たんしたときに資金援助をすることで契約者を保護する制度として、生命保険会社は生命保険契約者保護機構に、損害保険会社は損害保険契約者保護機構に加入しています。しかしながら、共済はこれら保護機構の対象ではないため、共済運営組織が破たんすることがあっても、救済機関がありません。

保障ニーズに合わせて上手に保険と共済を使い分けてみては?

そもそも保険も共済も、ニーズに合わせて加入するものです。死亡、障害、病気やケガなどの万が一のことがあると経済的に困るケースは多々ありますから、自分で備えをしておくことは大切です。しかしながら、それぞれのリスクには公的保障もあります。たとえば遺族年金や障害年金、健康保険の高額療養費制度などがあります。
これらの公的保障を鑑みながら、経済的な保障の対策として、共済も上手に取り入れながら備えをしてみてはいかがでしょうか。

一般的に共済では一口あたりの保障額を小さくし、加入したい口数分だけ契約できる仕組みのものが多く、同時に掛金も少なめであることが多い傾向です。一方、保険会社の取り扱う商品によっては、加入できる最低保険金額が大きく、公的保障でカバーされる分まで加入することになり、本来不要な保険料を支払うことになるケースもあるでしょう。

逆に、子どもが小さいうちは両親の責任も大きく、しっかり備えをしておきたいものです。しかし、初婚年齢や出産年齢の高齢化が進んでいる最近では、大きな備えは必要だけれど保険料が高くなり、家計の負担が大きいというご家庭もあるでしょう。
このようなケースでは、年齢にかかわらず掛金が一律である共済を上手く利用することを検討してみてもいいでしょう。家計負担を抑えながら保障を備える方法のひとつとして、子どもにお金がかかったり、中高齢期に差し掛かって高い保険料が気になったりする人にも安心です。すでに保険には入っているけれど、2人目、3人目が産まれて保障額を増やしたいという人なども、いまある保障の追加として利用する方法もあります。

金融資産での備えも大切

死亡や病気などのリスクに対して経済的な備えをしておくことは大切ですが、実はお金のことで考えたいのはできるだけ貯蓄を増やす対策です。

金融庁「人生設計としてのライフプラン」の情報を基に作図

保険も共済も、万が一の経済リスクに備えるものですが、どちらも死亡、病気、事故など支払事由が発生しなければ保険金(共済金)は支払われません。一方で、長寿化の進行でより多くの老後資金が必要とされたり、突然発生する社会的な経済リスクも考えたりしなければならない時世になってきています。
最近では新型ウィルスの影響で生活スタイルの変更を余儀なくされている人もいますが、これからの長い人生でどのような現象があり、どのような経済リスクが身に降りかかるか予測しにくい時代になっているとも考えられます。
このようなリスクへの備えとしては、できるだけ現金化しやすい資産を作っておくことかもしれません。仮に大きな支出が必要になることや収入が減少することがあっても、金融資産での備えがしっかりできていれば経済的なリスクは免れることができそうです。

今回、共済の仕組みや保険との違いを説明しましたが、共済を上手く利用しながら家計支出を低減できれば、その分を預貯金や投資信託への積み立てなどの資産形成に回すことも可能でしょう。本当の安心のために、保険と共済、そして投資信託などの金融商品を活用し、バランス良くさまざまな経済リスクに備えていければいいですね。

※「令和2年度平均年収と学歴調査

※1 一般社団法人 日本共済協会「共済について/共済って、いったいどんなの?」
https://www.jcia.or.jp/insulance/insurance/post-32.html

※2 こくみん共済coopホームページ「こくみん共済」
https://www.zenrosai.coop/kyousai/kokumin.html