老後の生活資金に困らないための基礎知識

老後貧乏にならないためにいま始めよう! ミドル世代からのライフスタイルの見直しと貯蓄術

お金・資産のこれから

老後を迎えるまで多少の時間があっても、お金について不安を抱えたまま暮らすのは辛いものです。なるべく早くライフスタイルを見直せば、老後破産や貧乏生活を避けられる可能性が高くなります。できそうなものから少しずつ取り組んでみてください。

【ライタープロフィール】大西カツシ

老後の生活資金で最も困るのが、破産や貧乏生活ではないでしょうか。老後貧乏は避けたいと思いながらも、住宅ローンの返済や教育費にお金がかかり、老後資金の準備が十分でないという人は多いかもしれません。また、老後を迎えるまで多少の時間があっても、お金について不安を抱えたまま暮らすのは辛いものです。

そこで今回は、ミドル世代から始められるライフスタイルの見直しについて解説し、老後の破産や貧乏生活を避ける方策について考えてみたいと思います。

家計を見直して支出を抑える

老後の生活では、年金収入などで不足するぶんは貯蓄を取り崩して補わなければなりません。総務省統計局の資料によると、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の家計収支は、毎月4万1,872円不足するという試算が出ています。

総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2018年(平成30年)家計の概要」の情報を基に作図

この試算結果はあくまでも平均であり、この数字が誰にでも当てはまるわけではありませんが、ひとつの目安にはなります。老後貧乏を避けるには、なるべく早いうちに家計を見直し、少ない支出で生活できる家計を作ることが大切です。少ない支出で生活できれば、貯蓄の取り崩し額を抑えることができるようになるでしょう。また家庭によっては、年金収入の範囲で生活できるようになるかもしれません。上手にやりくりをすることで、老後までに十分な貯蓄を確保することも可能です。

生活水準は1度上げてしまうと後から下げるのは難しくなるので、家計の見直しを習慣づけることも大切です。まずは生命保険や通信費など、1度見直すと節約効果が長く続く固定費の見直しから始めると、その効果に驚き、モチベーションが上がるかもしれません。

働けるうちは働いて収入を得る

家計の見直しは大切ですが、一方で支出を抑えることばかり考えていては、老後を楽しく過ごせなくなるかもしれません。60代以降も働けるうちは働いて収入を得れば、家計の不足分を補うことができます。
なかには「老後はもう働きたくない......」と思う方もいるでしょう。しかし、家計の不足分を補うだけならフルタイムで働く必要はありません。たとえば、「午前中だけ働く」「週2~3日だけ働く」など、自分のペースで働くだけでも月数万円の収入を得られます。また、仕事は収入だけでなく、生きがいや社会とのつながりが得られるのも心身にプラスの効果があります。

将来もらえる年金見込額を把握する

老後のお金に不安を感じるのは、老後資金をいくら準備すれば良いのかよくわからないからといってよいでしょう。
日本年金機構が運営する「ねんきんネット」を利用すれば、将来もらえる年金見込額がわかります。ねんきんネットの「かんたん試算」では、現在と同じ条件で60歳まで年金制度に加入し続けたときの年金額を試算できます。年金見込額の試算結果の画面イメージは以下の通りです。

日本年金機構 ねんきんネット「かんたん試算利用方法」のページの一部をスクリーンショットのうえ使用

将来もらえる年金見込額を把握すれば、老後の生活がイメージしやすくなります。また、老後資金をいくら準備すればいいか見えてくるので、老後のお金に対する不安を解消できます。

住宅ローンは早期完済を目指す

国税庁の資料によると、多くの人は60歳以降に収入(給与)が減少する傾向にあります。

国税庁「平成30年分 民間給与実態統計調査結果|P138 第10表 事業所規模別及び年齢階層別の給与所得者数・給与額 その3平均給与」 の情報を基に筆者作成

住宅ローンが残っている場合は、60歳以降の収入減に備えて早期の完済を目指しましょう。理想は60歳まで、遅くとも65歳までには完済するのがおすすめです。老後に住宅ローンが残っていると家計を圧迫する要因になりますし、ローン返済に支障が出るおそれもあります。
退職金での一括返済を計画している方もいるかもしれませんが、退職金はいくらもらえるかわからないのであてにしないほうが無難です。また、退職金の大半を住宅ローンの返済に充ててしまうと、老後資金を準備できなくなることも考えられます。これから住宅ローンを借りる場合は、60歳までに完済できるような計画を立てましょう。

金融商品を活用して資産形成に取り組む

現在は低金利が続いており、ほとんど利息がつかない銀行預金だけで資産を増やすのは難しいのが現状です。老後資金を準備するときは銀行預金だけでなく、金融商品の活用を検討しましょう。これから投資を始めるなら、例えば投資信託の積立投資もひとつの選択肢です。

投資信託とは、投資家から集めた資金をひとつにまとめ、運用のプロが株式や債券などで運用する金融商品です。少額から投資でき、運用をプロに任せられるので、投資初心者の方でも始めやすい特徴があります。
国も「つみたてNISA」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」といった制度を創設して、投資信託を活用した資産形成を支援しています。たとえば、毎月5万円を積み立てて、年率3%で運用できた場合の運用成果は以下の通りです。

国税庁「資産運用シミュレーション」のシミュレーション結果を一部スクリーンショットのうえ使用

あくまでもシミュレーション結果ではありますが、運用次第では銀行預金のみよりも資産を大きく増やせることがわかります。ただし、投資信託をはじめとする金融商品は、銀行預金のように元本保証ではありません。株価が下落して元本割れするリスクもあるので、余裕資金の範囲で投資することが大切です。また、住宅ローンが残っている場合は、投資とローン返済のバランスには十分に注意しましょう。

退職金の使い道や運用方法を検討しておく

会社員で退職金がもらえる見込みがある場合は、退職金の使い道や運用方法を検討しておきましょう。退職金の一部を旅行などに使うのはまったく問題ありませんが、計画的に使わないと出費がかさみ、老後の生活に影響が出る恐れがあります。また、自宅のリフォームなど臨時支出への備えも必要です。退職金の使い道や運用方法を事前に決めておけば、まとまったお金が入金されても計画的に使うことができます。

退職金など大きなリスクをとりづらい資産を運用する場合は、以下2つの金融商品が良いかもしれません。

  • インデックスファンド
  • 個人向け国債(変動10年)

「インデックスファンド」とは、特定の指数(日経平均株価など)に連動する運用成果を目指して運用される投資信託です。運用成果がわかりやすく、運用コストが比較的低いのが特徴です。選ぶときは、購入時手数料や信託財産留保額(解約手数料に相当)が無料で、信託報酬が年率0.2%未満の商品を選ぶといいでしょう。

一方、「個人向け国債」は国が発行する債券で、半年ごとに利子が支払われ、満期を迎えると元本が戻ってきます。個人向け国債は元本割れリスクがなく、国が元本と利子の支払いを保証している安全性の高い金融商品です。発行から1年経過すれば中途解約できます。また、変動金利型の「変動10年」なら半年ごとに金利が見直しされるので、市場金利が上昇した場合にも対応できます。

受け取った退職金のうち、リスクをとって運用する部分はインデックスファンド、元本を減らしたくない部分は個人向け国債に振り向けるなどのバランスを検討してください。

まとめ

老後貧乏にならないために今からできることを6つ紹介しました。なるべく早くライフスタイルを見直せば、老後破産や貧乏生活を避けられる可能性が高くなります。
人によって状況は異なります。老後を楽しく過ごすために、できそうなものから少しずつ取り組んでみてください。

ライタープロフィール

大西カツシ

2級FP技能士・AFP

フリーランスの金融ライター。一般企業の経理職、会計事務所などを経て独立。保有資格は2級FP技能士・AFP。投資経験(10年以上)とFP資格を活かして、主に投資や資産形成に関する記事を執筆しています。