30〜40代で気にしなければならない健康と予防対策

ブルーライトは本当に有害? 子どもにブルーライトカットは必要? 気になる疑問を薬剤師が解説

健康

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「しっかり眠れない」「朝なかなか起きられない」などの症状がある場合は、一度生活を見直し、パソコンやスマートフォンを使わない時間を設けてみることも大切です。

この記事の監修

中西 真理

医薬品卸にて一般の方や医療従事者向けの情報作成に従事。その後、調剤薬局に勤務。現在は、フリーライターとして主に病気や薬に関する記事を執筆。

デジタル機器の普及にともない、「ブルーライト」という言葉を耳にする機会が多くなりました。「ブルーライト」とは、その名のとおり青い光のことをいいます。目で認識できる光のなかでもっとも波長が短く、強いエネルギーを放っています。

ブルーライトは、パソコンやスマートフォンなどの液晶画面から出る光に含まれており、健康への悪影響が懸念されています。しかしながら、近年の研究でブルーライトを完全に遮断する必要がないことも明らかになっています。
では、いったいどのようにブルーライトと付き合っていけばよいのでしょうか。からだへの影響はどの程度あるのでしょうか。

今回は、ブルーライトの功罪に焦点を当て、健康への悪影響を避ける方法を解説します。

あらゆるところにある「ブルーライト」

ブルーライトは「青色の光」ですが、太陽光や蛍光灯、LED照明などの「白い光」にも含まれています。これらのなかで、特にブルーライトの比率が高いのはLEDです。LEDの光が黄色と青色の2色で構成されていることが、その理由です。

LEDは照明だけではなく、テレビやパソコン、スマートフォンや携帯ゲーム機の液晶画面などにも使われています。そのため、現代人は常にブルーライトにさらされているといっても過言ではないでしょう。

ブルーライトの影響を考える際には、光源との距離も考慮しなければなりません。目から近い距離で使用することが多いスマートフォンや携帯ゲーム機、パソコンなどでは、ブルーライトがからだにおよぼす影響も大きくなります。
たとえば、光の強さが同じでも、光源が20cmの位置にある場合と2mの位置にある場合では、ブルーライトのエネルギーは100倍も違います。

もっとも、家庭用機器から出る光は、直射日光に含まれるブルーライトに比べてごく弱いものです。むやみにブルーライトをおそれるのではなく、上手に付き合っていくことを考えるとよいでしょう。

ブルーライトが健康におよぼす影響

ブルーライトが健康におよぼす影響は、いまだ研究段階で十分なエビデンスがありません。しかし、体内時計とブルーライトの関係についてはいくつかの研究報告があり、夜遅い時間までデジタル機器の強い光を浴びると睡眠障害があらわれるおそれが指摘されています(※)。

ここでは、現段階で明らかになっている知見をもとに、ブルーライトが健康におよぼす影響を解説します。

目に対する影響

ブルーライトが目におよぼす影響は、明らかになっていません。ただ、ブルーライトの特徴から、以下のようなことが危惧されています。
ひとつは、「目の疲れ」です。ブルーライトは波長が短く、散乱しやすいのが特徴です。そのため、ブルーライトを多く含む画像はちらつきやすく、輪郭がぼやけがちです。また、まぶしさを感じることもあります。これに対し、目は像をはっきり結ぶためにピント調節を担う筋肉を酷使します。また、まぶしさをやわらげるために光の量をコントロールする筋肉もよく使われるようになります。このようなことから、ブルーライトを浴びると眼精疲労をまねくおそれがあります。

二つ目は、「網膜へのダメージ」です。ブルーライトは、角膜や水晶体を通過して網膜に達するとされています。そのため、長時間ブルーライトを浴び続けると、網膜の中心部である「黄斑」と呼ばれる部分にダメージが生じるおそれがあるといわれています。
これらのほか、ブルーライトによりドライアイや目の炎症などが起こりやすくなることが指摘されています。

体内時計に対する影響

「ブルーライトはからだに良くない」と思われがちですが、実は必ずしもそうではありません。朝や昼にブルーライトを含む光をしっかり浴びると、刺激が目から脳へ伝わってからだが活動的になることがわかっています。一方、夜にブルーライトを浴びると、脳が「夜」を認識できず、睡眠を促す「メラトニン」というホルモンの分泌が妨げられます。実際、寝る直前までスマートフォンやパソコンなどを使用していると、ブルーライトの影響でメラトニンの分泌が遅れてしまうため、ぐっすり眠れません。また、起床時にもメラトニンが分泌されているため、すっきり起きることが難しくなります。
このようにして体内時計が乱れてメラトニンの分泌量が減ると、肥満や生活習慣病のほか、がんなどの発症にも悪影響をおよぼすという報告もあります。

子どもに対する影響

ブルーライトの影響は、大人も子どもも変わりません。ただし、成長過程にある子どもには、大人とは違う配慮が必要です。
2021年4月、日本眼科医会など6学会が子どものブルーライトカット眼鏡使用に関する意見書を公開しました。ここに、その一部を抜粋して紹介します。

小児にとって太陽光は、心身の発育に好影響を与えるものです。なかでも十分な太陽光を浴びない場合、小児の近視進行のリスクが高まります。ブルーライトカット眼鏡の装用は、ブルーライトの曝露自体よりも有害である可能性が否定できません。<中略>小児にブルーライトカット眼鏡の装用を推奨する根拠はなく、むしろブルーライトカット眼鏡装用は発育に悪影響を与えかねません。

引用:公益社団法人 日本眼科医会「日本眼科医会からのお知らせ>小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見

このようなことから、子どもが日常的に使用する眼鏡にブルーライトカット加工を施すことは、現段階では不要と考えてよさそうです。もっとも、上記意見書もブルーライトの体内時計に対する悪影響を否定するものではありません。ブルーライトが睡眠に与える影響をおさえるために、下記について推奨しています。

  • 就寝の 2~3 時間前からデジタル機器の使用を控える
  • スマートフォンやパソコンのダークモードやナイトモードを用いる

特に子どもの場合、睡眠障害が不登校につながるケースもあるようです。家族全員の健康のために、まず大人が率先してスマートフォンやパソコンを夜遅くまで使わないようにしましょう。

日常生活でできるブルーライト対策

最後に、日常生活に簡単に取り入れられるブルーライト対策をいくつか紹介します。

ブルーライトが目に与える影響は十分なエビデンスがないため、積極的な対策が必要かどうかはまだわかりません。ただ、自然光を遮らず、家庭用機器から出るブルーライトのみを遮断する方法ならば特に問題はないでしょう。
たとえば、「液晶ディスプレイにブルーライトをカットするフィルムを貼る」「アプリを利用してブルーライトの量を減らす」といった方法なら、パソコンやスマートフォンなどから出るブルーライトのみを遮断できます。また、夕方以降にブルーライトカット加工の眼鏡を使用するのもおすすめです。

一方、体内時計の乱れへの対策としては、朝の時間帯にしっかり日光を浴びることが大切です。そして、就寝の2~3時間前にはデジタル機器の使用を避けるようにし、やむを得ず使用する場合は、ブルーライトをカットする工夫をしましょう。室内照明にLEDを使用している場合は、光の強さを加減するのもおすすめです。

特に大切なのは、夜のブルーライト対策です。「しっかり眠れない」「朝なかなか起きられない」などの症状がある場合は、一度生活を見直し、パソコンやスマートフォンを使わない時間を設けてみることも大切です。