30〜40代で気にしなければならない健康と予防対策

「食欲不振」も「食べ過ぎ」もストレスが原因? 女性の悩みを看護師が解説

健康

この記事をシェアしよう

食欲の増進や減退は、女性にとって悩みの原因になりやすい要素であり、さまざまな要因によって変化します。食欲をコントロールして、充実した毎日を過ごしましょう。

この記事の監修

浅野すずか

看護師として病院や介護の現場で勤務後、子育てをきっかけにライターに転身。看護師の経験を活かし、主に医療や介護の分野において根拠に基づいた分かりやすい記事を執筆。

「しっかり食事をとったはずなのに、つい間食してしまう」
「心配事があり、なかなか食事がのどを通らない」
このように、私たちの食欲は毎日同じではなく、さまざまな原因によって左右されます。その原因には、ストレスやホルモンバランスだけでなく、病気が潜んでいることもあります。

食欲は、健康を維持するための重要なバロメーターです。自分の食欲を把握し、コントロールすることは、健康を保つために欠かせません。
今回は、食欲を調節する仕組みや正常な食欲を保つための対処法を紹介します。心配事などを理由に食事の調子が乱れる人のご参考になれば幸いです。

食欲はどのように調節されるのか

ところで、食欲はどこで調節されているのか、ご存知でしょうか。食事から時間が経つと空腹を感じ、取れば満腹になるので、胃に入った食事の量で調節されると思われがちですが、そうではありません。食欲は、脳の視床下部と呼ばれる場所で調節されています。

視床下部には「摂食中枢」と「満腹中枢」があり、食欲はこの2つがバランスをとっています。具体的には以下のような流れで刺激されています。

さらに、食欲には「グレリン」と「レプチン」という2つのホルモンも関係しています。グレリンが摂食中枢を刺激して食欲を増進させる一方、レプチンは満腹中枢を刺激して食欲を減退させます。このように、食欲のコントロールには、脳の視床下部とホルモンが大きく関係しています。

食欲増進・減退に関係するさまざまな要素とは

食欲には脳の視床下部とホルモンが関係していますが、それだけではありません。さまざまな要素が複雑に関係しています。

1.病気

食欲増進:甲状腺ホルモン亢進症(バセドウ病)、糖尿病
食欲減退:がん、胃炎、便秘、うつ病

2.薬の副作用

食欲増進:ステロイド(副腎皮質ホルモン剤)
食欲減退:抗がん剤、抗生物質、鎮痛剤
私たちの身近にある鎮痛剤ですが、比較的現れやすい副作用として胃痛や吐き気などの消化器症状が知られています。これらの症状が現れると、食欲が減退することもあります。

3.睡眠不足

「ダイエットしたい人は、睡眠をしっかりとりましょう」という言葉を聞いたことはありませんか? これは、先ほども紹介したレプチンとグレリンという2つのホルモンが関係しているためです。
下記のグラフは、平均睡眠時間とレプチン・グレリンの血中濃度の関係性を表したものです。睡眠時間が少ないと食欲を抑えるレプチンが少なくなり、食欲を増進させるグレリンが増加していることが分かります。

出典:Short Sleep Duration Is Associated with Reduced Leptin, Elevated Ghrelin, and Increased Body Mass Index

4.ストレス

ストレスの影響は、食欲増進と減退の両方あります。増進の場合、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールが増え、食欲を抑えるレプチンが減少します。一方、減退の場合は、ストレスにより交感神経が優位になります。一般的には、慢性的(ある一定期間継続する)なストレスは食欲が増進しやすく、急性(一時的なもの)のストレスでは食欲が減退しやすくなります。

5.その他

食欲増進:妊娠
食欲減退:夏バテ、加齢、スポーツの直後
妊娠や夏バテ、加齢も食欲に影響を与えます。
スポーツの直後に食欲が抑えられるのは、交感神経が優位になり、食欲を増進させるグレリンが低下するためです。

食欲増進・減退が引き起こす問題点と対処法

食欲の増進・減退は、日常生活のなかでよくあることです。
しかし、長く続いてしまうと、健康的な生活が送れなくなるおそれがあります。

1.適正な体重が保てず、日常生活に支障がでる

適正な体重は、健康を保つために欠かせません。肥満や痩せは、エネルギー摂取量と消費量のバランスが崩れている状態です。肥満になると膝関節や股関節などに負担がかかります。また、痩せてエネルギー量が足りなくなると、集中力の低下につながります。

2.病気につながるおそれがある

肥満や痩せが続くと、病気になるリスクも高まります。肥満では糖尿病や脳卒中などの生活習慣病を引き起こす原因になり、食欲減退では、必要な栄養素が足りなくなり、脱水や貧血、骨粗しょう症などを引き起こします。

このような問題に早期に対処するため、「いつもより食欲が増えたな」「減ったかもしれない」と思ったときには、以下について確認してみるとよいでしょう。

体重を量る

食欲に変化があっても、体重がそれほど増減していなければすぐに問題になることは考えづらいでしょう。しかし、体重減少率が1カ月で5%未満、3カ月で7.5%未満、6カ月で10%未満の場合は低栄養の中リスクとされています(※)。体重減少率がこれを上回る場合は低栄養の高リスクとされるので注意が必要です。

食べたものを記録する

食事の内容と量をメモしておくと、振り返りがしやすくなります。また、診察時に持ち込めば、医師も参考にできます。

環境の変化やストレスの有無をチェックする

私たちは常にさまざまなストレスにさらされています。昇進や結婚などおめでたい出来事も実はストレスの要因です。最近の環境の変化やストレスの程度も把握しておきましょう。

食欲増進・減退の対処法

まず食欲増進に関しては、ゆっくり噛んで食べることを心がけましょう。噛む時間が長くなることで満腹中枢が刺激され、たくさんの量を食べなくてもお腹が満たされるようになります。加えて、ストレスと上手に付き合うことが大切です。十分な睡眠をとったり、リラックスできる時間をとったりすることで、うまくコントロールできるといいですね。さらには、適度な運動も食欲の抑制とエネルギー消費量の増加の両方に効果が期待できるため、おすすめです。

一方、食欲減退への対処法ですが、まずは無理に食べないことです。食欲がないときは食べることがつらくなる場合もあります。こういうときは、栄養バランスはひとまず考えず、食べたいと思ったものを優先させましょう。なお、きれいな盛り付けや香ばしい香り、ジュウジュウと焼ける音など、五感を刺激するメニューを選ぶと食欲がわきやすくなります。

正常な食欲を保つために普段からできること

食欲の増進・減退時の対処法を知っておくことも大切ですが、多少のアップダウンはあれども、普段から食欲が一定に保てていれば嬉しいことです。ここでは、日常生活で食欲を適切に保つポイントを紹介します。

1.規則正しい生活をする

3食バランスのとれた食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけましょう。特に、睡眠は食欲を左右するホルモン(レプチン・グレリン)のバランスを保つために重要です。

2.体重の変化を知る

体重の変化に敏感になることで、食事量に意識が向くようになります。定期的に量って自分に合った食事量を把握し、そこから食欲についても意識するようにしましょう。

3.ストレスをコントロールする

ストレスは、食欲の増加・減退に大きな影響を及ぼします。適切なストレスコントロール方法を見つけ、対処するようにしましょう。

4.健診を受ける

定期的に健診を受けることで、自分の身体の状態を知ることができ、異常があっても早い段階で気づけます。忙しい人こそ健診の機会を活用し、健康な状態を維持しましょう。

まとめ

食欲の増進や減退は、女性にとって悩みの原因になりやすい要素であり、さまざまな要因によって変化します。日々悩まされるようであれば、まずは食欲に影響を与える要因が身の回りにないか、振り返ってみましょう。
大切なのは、自分にとって適切な体重が維持できているか、健康的な生活が送れているかです。食欲をコントロールして、充実した毎日を過ごしましょう。