思わぬ事故を防止するために

女性に多い突然ふらつく「立ちくらみ」 その原因と事故防止の対処法を看護師が解説

健康

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立ちくらみとは、一時的に脳の血流量が減ることによって起こる症状です。立ちくらみは珍しい症状ではありませんが、転倒や事故につながる場合もあるため油断できません。立ちくらみを予防するため、適切な動作や生活習慣の見直しなど、できることから意識していきましょう。

この記事の監修

浅野すずか

看護師として病院や介護の現場で勤務後、子育てをきっかけにライターに転身。看護師の経験を活かし、主に医療や介護の分野において根拠に基づいた分かりやすい記事を執筆。

立ち上がろうとしたとき、急にふらっとする「立ちくらみ」を経験したことはありませんか? 浴槽から出ようとしたとき、涼しい部屋から暑い屋外へ移動したときなど、立ちくらみを感じる場面はさまざまです。

立ちくらみはめまいと異なり、すぐに落ち着くことが多いのですが、最悪の場合、転倒して事故につながるおそれもあります。また、立ちくらみの裏側に病気が隠れている場合もあり、注意が必要です。

今回は、立ちくらみの原因や対処法についてまとめました。

立ちくらみのメカニズムと女性に多い理由

立ちくらみとは、一時的に脳の血流量が減ることによって起こる症状です。めまいと違い、安静にするとわりと早くに治まります。
女性に多くみられる症状であり、理由のひとつには、立ちくらみの原因となる貧血や低血圧が女性に多いことが挙げられます。これはデータにも現れており、20~40代女性の21%に「鉄欠乏性貧血」が、65%に「かくれ貧血」が見られるといわれています。生理やダイエットなどが原因で、鉄分が不足しやすいことが原因とされています。

働く女性の健康応援サイト「女性特有の健康課題 |貧血・かくれ貧血」の情報を基に作図

血圧も男性より女性のほうが低い傾向にあります。厚生労働省のデータでは、収縮期血圧(最高血圧)は、男性が127.6mmHg、女性が120.8mmHgとなっています。

厚生労働省 「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要|P21 図25―2 年齢調整した、収縮期(最高)血圧の平均値の年次推移(20歳以上)(平成21~令和元年)」を基に作図

立ちくらみの原因 病気や薬の副作用が原因の場合も

立ちくらみには、主に以下の要因があります。

1.貧血、低血圧

上述のとおり、貧血や低血圧によって脳への血流が少なくなると、立ちくらみが起こりやすくなります。

2.血圧の急激な低下

私たちの身体は、環境の変化に合わせて柔軟に適応できるようになっており、血圧も環境の影響を受けて上がったり下がったりしています。そのひとつの例として、入浴があります。
脱衣所で服を脱ぐと寒さから血圧が上がり、浴槽に入ると身体が温まることで血圧が下がります。また、姿勢の変化でも血圧は変わります。仰向けから起き上がったり、しゃがんでいる姿勢から立ち上がったりすると、血圧は下がります。このような状況で血圧が急激に低下すると、立ちくらみにつながります。

3.病気

病気が理由の立ちくらみとして、不整脈、熱中症、メニエール病が挙げられます。

4.薬の副作用

降圧薬(血圧を下げる薬)や向精神薬(気持ちを落ち着けたり寝つきを良くしたりする薬)の副作用に立ちくらみがあります。副作用が強く出る場合は、薬そのものが合っていない、量が多いといったことが考えられます。

5.自律神経の乱れ

自律神経とは、私たちの意思と関係なく働いている神経で、身体や内臓の動きを調整しています。この自律神経がストレスや疲労、急激な気温差などによって乱れると、立ちくらみの原因になります。また、50歳前後に迎える更年期では、女性ホルモンが減少することで自律神経が乱れやすくなります。

立ちくらみが引き起こす問題点とは

立ちくらみ自体が不快な症状ですが、立ちくらみが起こることでどのような影響があるのか、具体的にみていきましょう。

転倒や骨折から介護が必要な生活へ

立ちくらみから転倒した場合、骨折してしまうこともあります。特に、更年期になると骨粗しょう症のリスクが高くなるため、骨折しやすくなります。その結果、寝たきりになる場合もあるので注意が必要です。
実は、介護が必要となった原因のなかで、「骨折」は上位に入っています。厚生労働省の調査によると、要支援者で3位、要介護2~4でも3位に挙がっています。

厚生労働省 「2019年 国民生活基礎調査の概況 Ⅳ 介護の状況|p24 表 18 現在の要介護度別にみた介護が必要となった主な原因(上位3位)」より転載(一部加工)

病気の発見、治療が遅れる

立ちくらみの原因として病気も考えられます。立ちくらみを感じながらも、「そのうち治るだろう」と特に何も対処しないでいると、病気の発見や治療が遅れてしまうかもしれません。

健康的な日常生活が送れない

立ちくらみは、すぐに治まることが多いものです。それでも頻度が多ければ、思うように家事ができない、趣味が楽しめないなど、日常生活に支障をきたしてしまいます。

立ちくらみが起こったときの対処法と予防法

転倒や日常生活への影響など、立ちくらみはさまざまな問題を引き起こします。そのため、立ちくらみへの適切な対処と予防が必要です。ここでは、実際に立ちくらみが起きたときの対処法と予防法についてまとめました。

立ちくらみの対処法

立ちくらみを感じたら、まずはしゃがむか横になりましょう。そうすることで、脳の血流量が増加し、立ちくらみを軽減できます。万が一意識を失ったとしても、ケガをする確率が低くなります。立ちくらみを感じると、不安で慌ててしまうかもしれませんが、落ち着いて行動しましょう。そのまま様子をみて、落ち着いたらゆっくり動きます。
立ちくらみの回数がそれほど多くなく、すぐに治まるようであれば様子をみますが、続くようであれば病院を受診すると安心です。病院で検査を受け、原因が分かればそれに対する治療を行います。立ちくらみのほかの症状がともなう場合も受診をおすすめします。

立ちくらみの予防法

立ちくらみの原因のひとつに、血圧の急激な低下がありました。特に寝ている状態から起き上がったり、座っている状態から立ち上がったりするときは、立ちくらみが起こりやすくなります。これらの動作は、生活のなかで何気なく行っているので意識するのは難しいかもしれませんが、できるだけゆっくり行うようにしましょう。また、自律神経を整えることも大切です。最近の生活習慣を振り返ってみてください。栄養バランスのとれた食事をとっていますか? 睡眠時間は十分でしょうか? 大切だとは分かっていても、日々の忙しさでおろそかになってしまうこともあるかもしれません。そのようなときは、週に3日は早く寝るようにする、休みの日は自炊して栄養バランスのよい食事をとるなど、ハードルを下げて取り組んでみましょう。
加えて、ストレスのコントロールも重要です。日々の生活のなかで、ストレスをゼロにすることはできません。大切なのは、ストレスを受けたときに自分に合った方法で対処することです。ストレスの原因を把握し、うまく付き合いながら、心身共に健康的な生活習慣を身につけましょう。

まとめ

立ちくらみは珍しい症状ではありませんが、転倒や事故につながる場合もあるため油断できません。まずは、立ちくらみが起きたときの対処法を覚えておくと安心です。

立ちくらみを予防するため、適切な動作や生活習慣の見直しなど、できることから意識していきましょう。