30〜40代で気にしなければならない健康と予防対策

頭痛や肩こりの原因になる「スマホ首」 原因と対策を薬剤師が解説

健康

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仕事のテレワーク化にともない、肩こりをはじめとしたからだの不調を訴える人が増えてきています。首や肩の痛みやコリがひどい場合は、整形外科などを受診して適切な治療を受けるようにしましょう。

この記事の監修

中西 真理

医薬品卸にて一般の方や医療従事者向けの情報作成に従事。その後、調剤薬局に勤務。現在は、フリーライターとして主に病気や薬に関する記事を執筆。

ゲームやSNS、動画の視聴など、スマートフォンはいまや生活に欠かせないツールのひとつとなっています。しかしながら、スマートフォンの利用は良いことばかりではありません。画面を見るためにうつむいた姿勢を長時間続けると、首の骨に大きな負担がかかり、「スマホ首(ストレートネック)」と呼ばれる状態になる場合があります。
スマホ首は、肩こりや首の痛みなどをまねくだけではなく、腰痛や頭痛、めまいや吐き気といった症状をともなうこともあります。

今回は、近年増加傾向にあるとされるスマホ首の症状と簡単にできる自己チェック方法、スマホ首にならないための日常生活での注意点を紹介します。

スマホ首の症状とチェック方法

ヒトの首の骨は、頭の重みを分散させるために軽く湾曲しているのが正常な形です。しかし、スマートフォンやタブレットなどの画面を長時間のぞき込むような姿勢で見続けると、クッションの役割を果たす骨の湾曲がなくなり、まっすぐの状態になってしまいます。これがいわゆる「スマホ首」です。

スマホ首は、その名のとおり「スマートフォンの利用にともない生じうる症状」です。なお、パソコンの使用や読書などでうつむいた姿勢を長時間取り続けると、同様の症状をまねくおそれがあります。

スマホ首は頭の重みが前方にずれるため、骨だけではなく筋肉にも大きな負担がかかります。特に女性は一般的に筋肉が細く弱いため、肩こりなどの症状が出やすく注意が必要です。さらに、スマホ首の人は猫背の傾向があるため、腰痛を併発することもあります。

また、スマホ首は背中の椎間板や神経にも悪影響を与え、重症化するとしびれが生じたりヘルニアになったりすることもあります。そのほか、血行不良にともなう手足の冷えや頭痛、目の疲れ、吐き気、めまい、からだのだるさなどに悩まされる人も少なくありません。

ところで、自分がスマホ首なのかどうかは、どのようにチェックすればよいのでしょうか。
実は、スマホ首は姿勢をチェックすることで確認できます。方法は簡単で、下図のように壁に背中とお尻をつけて立ち、「後頭部」「肩甲骨」「お尻」「かかと」の4点が壁につくかどうかを確かめるだけです。4点が自然に壁につけば問題ありませんが、後頭部が浮く場合や、無理をしなければつかない場合には、スマホ首が疑われます。

スマホ首を予防する方法

スマホ首を予防するポイントは「正しい姿勢」と「適度な運動」です。

姿勢に注意

立った状態でスマートフォンを使用する場合は、足を肩幅くらいに開き、耳、肩先、骨盤のでっぱり、くるぶしが一直線になるように立ちましょう。スマートフォンを持つ手は、胸の前あたりに固定。このとき、肩をすくめたり前かがみになったりしないように注意してください。あごを少し引くと、まっすぐ立ちやすくなります。

座った状態でスマートフォンを使用する場合は、イスの前から3/4くらいの位置に座り、両足を床につけ、骨盤の上に背骨をまっすぐ載せることをイメージしましょう。そして頭をまっすぐ起こしたままあごを軽く引き、視線の先に液晶画面を置きます。画面の位置が低すぎると、頭が前に出たり猫背になったりするので注意しましょう。

なお、寝転んでスマートフォンなどを使用するのは避けてください。首や肩・腕などに不自然な力がかかるため、症状が悪化するおそれがあります。床への直接座り、パソコンなどの床置き使用も避けたほうがよいでしょう。猫背になりやすく、頭の重みが前方に偏るため、こちらも症状の悪化をまねきやすくなります。

長時間同じ姿勢を続けない

スマートフォンを使用する際は、長時間同じ姿勢を続けないようにしましょう。これは、タブレットやパソコンを使用する場合、読書をする場合も同じです。できれば20~30分に1回は立ち上り、姿勢を整え直してください。軽くストレッチをするのもおすすめです。

視力矯正が有効な場合も

「画面が見づらく、どうしても前かがみになってしまう」という場合は、視力の矯正が有効な場合もあります。画面の色や明るさ、文字の大きさを変更するだけで見やすくなる場合もあります。いろいろ工夫してみましょう。

枕の高さを見直す

枕の高さがあっていないと、首や肩の疲れがなかなか解消されません。場合によっては、かえってコリや血行不良をまねいてしまう場合もあります。ストレートネック用の枕も販売されていますので、自分のからだに合う枕を使用しましょう。

首まわりの筋肉をほぐす

首まわりを軽く動かし、筋肉のコリを改善するのもおすすめです。ここでは、座ったままできる首まわりの運動をいくつか紹介します。簡単にできるものばかりなので、すき間時間を利用して取り組んでみてください。

▼首まわりの筋肉を伸ばす運動

  • 1. 肩の力を抜き、首を左右順番に10回ずつ回す。

▼首の左右の筋肉を伸ばす運動

  • 1. 首をゆっくりと右側に倒し、5~10秒間キープ。続いて左側も。
  • 2. 左右交互に2~3回繰り返す。

▼首と肩のコリをほぐす運動

  • 1. 背筋を伸ばしたのち、両肩をすくめて10秒間持ち上げる。
  • 2. 肩を思いっきり落として脱力する。

▼首のうしろを伸ばす運動

  • 1. 首をゆっくりと前に倒し、うしろの筋肉を伸ばしたまま、10秒維持。

症状の改善が見られない場合は医療機関の受診を

仕事のテレワーク化にともない、肩こりをはじめとしたからだの不調を訴える人が増えてきています。これは、自宅での作業環境が整わず、不適切な姿勢で仕事をせざるを得ないという現状を反映しているようにも思われます。もちろん外出機会を減らして感染症から身を守るのは大切なことですが、結果として健康を損なってしまうようでは本末転倒です。

スマホ首で痛みやしびれが生じた場合、薬で症状を改善することはできますが、根本的な解決にはつながりません。姿勢の改善やストレッチなどをしても症状がよくならない場合、あるいは、ストレッチができないほど首や肩の痛みやコリがひどい場合は、整形外科などを受診して適切な治療を受けるようにしましょう。