低GI食品で肥満と糖尿病予防を 血糖値を上げにくい食生活を医師が解説

健康

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GIとは、「Glycemic Index(グリセミック・インデックス)」の略で、食後に上がってくる血糖値の上昇度合いを示したものです。GIの考え方を食生活に取り入れ、健康的な生活を送りましょう。

この記事の監修

紗来(さらい)

都内での初期研修・後期研修ののち、大学・基幹病院での臨床・研究に従事。国内外の論文(エビデンス)をもとにした一般向けのわかりやすい医療記事の執筆が得意。趣味が高じてファイナンシャルプランナー2級・福祉住環境コーディネーター3級を取得。

「健康診断でメタボを指摘された」
「最近お腹周りが気になる」
「おいししいものは好きだけど、血糖値が心配」
これらの悩みは、「低GI食品」が助けてくれるかもしれません。

メタボ対策やダイエット、糖尿病予防には、カロリーだけでなく血糖値の上がり方も意識することが大切です。低GI食品について学び、かしこく食生活に取り入れましょう。

「低GI食品」とは

GIとは、「Glycemic Index(グリセミック・インデックス)」の略で、食後に上がってくる血糖値の上昇度合いを示したものです。つまり、GIが高い食品は同じカロリーでも食後の血糖値が上がりやすく、GI値が低い食品は食後の血糖値が上がりにくいといえます。

血糖値について

炭水化物を多く含むご飯やパンは、最終的にブドウ糖(グルコース)に分解され、小腸から血液中に吸収されます。血液中のブドウ糖の濃度が「血糖値」です。血液中のブドウ糖の濃度が上昇すると、膵臓からインスリンというホルモンが分泌されます。インスリンの役割は、血液中のブドウ糖を細胞に取り込ませて、血糖値を低下させることです。しかし、遺伝や食べ過ぎ、運動不足などの生活習慣が重なるとインスリンが分泌されなかったり、働きが悪くなったりして血糖値が下がりません。これが(2型)糖尿病です。また、食後に血糖値が急激に上がったり下がったりする「血糖値スパイク」も、隠れ糖尿病として注意が必要でしょう。

低GI食品の効果

低GI食品は、その他の食品とくらべて食べたあとに血糖値が上がりにくいことが特徴です。血糖値が上がりにくいと、糖尿病になりにくいことが分かっています。(※1)このほか、血糖値の乱高下による血糖値スパイクも起こしにくいため、眠気などの体調不良も起きにくいでしょう。
体重減少効果、皮膚のアンチエイジング、アルツハイマー病予防など、低GI食品の摂取と健康との関連は多いとされています。

低糖質と低GIの違い

低GIに似た言葉として「低糖質」という言葉があります。炭水化物は、糖質、でんぷん、食物繊維の3種類からなっており、低糖質はあくまで"炭水化物中の糖質が少ない食品"ということです。
一方のGIは、食品に含まれる食物繊維の含有比率、調理や加工方法、組み合わせ、かむ回数などによって血糖値が変わるため、炭水化物の量や糖質の量にかかわらず、あくまで血糖値の上がりやすさによって決められています。たとえば、同じ量の糖質を含むパンでも、ライ麦パンは低GI、いわゆる白い食パンは高GIとされ、ライ麦パンは他のパンと比べて血糖値の上昇がおだやかです。

低GI食品の活用の実際

毎日の食事では、食後の血糖値の上昇を抑制するために、GIを意識した食品を選ぶとともに食べ方も工夫することが重要です。

低GI食品の例

国際的なGIの指標がシドニー大学のグル-プによって作成され、日本からもウェブサイトを介して確認ができます。ウェブサイトにアクセスし、「Food Name」の項目に食品名を英語で入力し、「Search」ボタンを押せば、調べたい食べ物のGI値を知ることができます。
驚くことに、「味噌(Miso)」や「寿司(Sushi)」も表示されるほか、「○○アーモンドチョコレート」など、具体的な日本の商品も登録されているので、興味のある方はぜひ調べてみるとよいでしょう。なお、一般的な食品のGI値は以下のとおりです。

高GI(70~)

中GI(56~69)

低GI(~55)

フランスパン

食パン(全白粉)

マッシュポテト

ニンジン

スイカ

白米

食パン(全粒粉)

アイスクリーム

チョコレート

ぶどう

玄米

ライ麦パン

ゆでたポテト

ピーナッツ

ヨーグルト

特筆したいのは、ナッツ類はGI値が低いことです。カシューナッツは20程度、ピーナッツにいたっては7です。ナッツ類は血糖コントロールの味方で間食などにも適しているといえるでしょう。

低GIレシピ:地中海食

低GIを意識したレシピのひとつが、地中海食といわれています。(※2)
「地中海食」とはイタリア・スペイン・ギリシアなどの伝統的な食事を指し、以下のような特徴があります。

  • 飽和脂肪酸やトランス脂肪酸が少ない
  • 魚介類、鶏肉、全粒穀物、豆類、脱脂粉乳、果物、野菜の摂取量が多い

2008年に発表された研究では、低糖質食、地中海食の双方に血糖値の改善効果と体重の減少効果があったとされています。糖尿病以外にも、心臓病、高脂血症、ED、男性不妊などにも効果があるとされており、日々の食事にとり入れるメリットは多いといえそうです。
地中海食はオリーブオイルを活用しています。レシピもシンプルなものが多いので、日々の献立に取り入れてみるとよいでしょう。

セカンドミール効果も意識しよう

低GI食品には「セカンドミール効果」があるとされています。(※3)
「セカンドミール効果」とは、1食目に低GI食品を食べた場合、次の食事でも血糖値の上昇が抑えられるというものです。普段から朝食を抜いている方は、ヨーグルトなど低GI食品を朝食にとり、昼食以降の急激な血糖値の上昇を抑えましょう。また、朝食にパンを食べている方であれば、全白粉のパンを全粒粉のパンに切り替えることでGIに配慮することができます。

食べる順番も重要

低GI食品のメリットを生かす方法として、食べる順番も重要です。白米など高GIの主食からではなく、副菜→主菜→主食の順番で食べたほうが、血糖値がゆるやかになると報告されています。また、白米を食べる前にたんぱく質やお酢が入ったおかずを食べると、食べ物を胃にとどめて消化を遅らせるため、血糖値の上がり方が少ないともいわれています。(※4)
一方、血糖値の上昇を抑える効果があるとされ、「べジファースト(野菜を先に食べる)」の言葉もある食物繊維ですが、血糖値を抑えるためには150g以上野菜を食べる必要があるともいわれており、注意が必要です。(※5)

低GIの限界とGL

いいことずくめに見える低GI食品ですが、弱点もあります。ひとつは、特定の食品を食べるときの量を反映していないことです。たとえばスイカのGI値は80で、数値だけをみると避けるべき食品に入ります。しかし、スイカは可食部分がほぼ水分であり、消化可能な炭水化物はほとんど含まれていません。つまり、血糖値を大幅に上げようと思ったら大量のスイカを食べなければいけないことになります。
そこで考え出されたのがGLです。GLは「Glycemic Load(グリセミック・ロード)」の略で、食品に含まれる糖質の重量にGIをかけて100で割った値となります。
GLの基準は以下のとおりです。

  • 低GL:1~10
  • 中GL:11~19
  • 高GL:20以上

GLは標準的に食べる量あたりの血糖値の変化を表しているため、実際に食べる量を反映しているといえます。スイカのGL値は5、生ニンジンのGL値は2であり、これらは健康的な食品といえます。一方、スパゲッティやマカロニのGI値は40台で血糖値を上げにくい食品といえますが、量を食べるためGL値は20以上と血糖値を上げやすい食品に分類されます。
上で挙げたシドニー大学のグル-プによるウェブサイトでは、GI値と一緒にGL値も表示されます。こちらも参考にするとよいでしょう。

健康とアンチエイジングのために、低GI食品を取り入れましょう!

低GI食品には、メタボ対策、ダイエット、糖尿病予防、アンチエイジングといったさまざまな効果があることが分かってきました。GIの考え方を食生活に取り入れ、健康的な生活を送りましょう。

※1 Bhupathiraju SN, et al. Glycemic index, glycemic load, and risk of type 2 diabetes: results from 3 large US cohorts and an updated meta-analysis.
Am J Clin Nutr 2014; 100: 218─32.

※2 Shai I, et al. Weight loss with a low-carbohydrate, Mediterranean, or low-fat diet. N Engl J Med. 2008 Jul 17;359(3):229-41.

※3 Wolever TM, et al. Second-meal effect: low-glycemic-index foods eaten at dinner improve subsequent breakfast glycemic response. Am J Clin Nutr. 1988 Oct;48(4):1041-7.

※4 高柳 尚貴. 食品の摂取順序による血糖値上昇の抑制効果ー健常者における、ほうれん草、鶏卵、鶏肉での検討. 東海学園大学研究紀要 自然科学研究編. 2018; (22): 39-48

※5 古賀 克彦:食事の摂取順序による血糖値への影響. 長崎女子短期大学紀要. 2015;(40): 70-74