【医師が解説】カロリーゼロ食品は太る? からだに悪い? 健康に良い上手な活用法とは

健康

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ゼロカロリーが実現できるのは甘みを感じる物質の働きによるものです。カロリーゼロの食品・飲料には多くのメリットがあり、カロリーコントロールにも有効ですが、すべての甘みを人工甘味料に頼ることには注意が必要です。

この記事の監修

紗来(さらい)

都内での初期研修・後期研修ののち、大学・基幹病院での臨床・研究に従事。国内外の論文(エビデンス)をもとにした一般向けのわかりやすい医療記事の執筆が得意。趣味が高じてファイナンシャルプランナー2級・福祉住環境コーディネーター3級を取得。

スーパーやコンビニエンスストアで見かける「カロリーゼロ」の文字。カロリーがなさそうだというのはわかりますが、くわしい内容についてはご存知でしょうか?

この記事では、カロリーゼロ食品の定義や気になるカロリーゼロの理由、カロリーゼロ食品に使われている人工甘味料の機能や注意点についてお話します。

カロリーゼロ食品を正しく理解し、活用することで、健康管理に役立てましょう。

カロリーゼロ食品の定義

身のまわりにある食べ物や飲み物のパッケージには、必ずと言ってよいほどカロリーをはじめとした栄養素が表示されています。これは、食品表示法により、一般用加工食品や一般用の添加物には、栄養成分の表示が義務付けられているためです。
必ず表示しなければならない栄養成分は以下の5つで、順番も決められています。

  • 熱量(カロリー)
  • たんぱく質
  • 脂質
  • 炭水化物
  • ナトリウム(食塩相当量で表示)

栄養強調表示とは

さらに、食品表示法で示された基準のなかに「栄養強調表示」というものがあります。これは、一定の基準を満たした食品に対して、パッケージなどに健康の保持増進に関わる栄養成分が含有されていることを強調する表示を認める、というものです。(※1)

▼栄養強調表示の例

高い

含む

強化

表現例

高○○

○○豊富

○○多

○○源

○○供給

○○含有

○○入り

○○使用

○○添加

○○30%アップ

○○2倍

含まない

低い

低減

表現例

無○○

○○ゼロ

ノン○○

低○○

○○ひかえめ

○○少

○○ライト

ダイエット○○

○○30%カット

○○10gオフ

○○ハーフ

糖類を添加していない

ナトリウム塩を添加していない

表現例

糖類無添加

砂糖不使用

食塩無添加

食塩不使用

消費者庁「特別用途食品制度の変遷及び栄養強調表示について」を参考に筆者作成

カロリーゼロの定義

栄養強調表示のなかで、カロリーゼロは「含まない」の項目に入ります。食品であれば100gあたり5kcal未満、飲料の場合は100mLあたり5kcal未満であれば「ゼロカロリー」として表示が可能です。逆に言えば、正真正銘の0kcalである必要はありません。

カロリーオフや糖質ゼロ、無糖とは異なる

「ゼロカロリー」と似た表現のなかに「カロリーオフ」がありますが、こちらは食品100gあたり40kcal未満、飲料の場合は100mLあたり20kcal未満で表示が可能です。つまり、カロリーオフの飲料水をペットボトル1本(500ml)飲むと、お茶碗半分ほどの白米と同じカロリーを摂取することもあるので、注意が必要です。
「糖質ゼロ」や「無糖」もよく見かける表示です。これは、糖質や糖類の量が100gまたは100mlあたり0.5g未満であることで、カロリーが含まれないわけではありません。
いずれもカロリーオフとは、似て非なるものとして捉える必要があります。

ゼロカロリーはカロリーの低い甘味料のおかげ

ゼロカロリーが実現できるのは甘みを感じる物質の働きによるものです。その多くは「人工(合成)甘味料」と呼ばれる物質です。砂糖不足の時代には、砂糖の代わりの甘味料という位置付けでしたが、その後の食習慣の変化によって、低カロリーであることが注目されるようになりました。

代表的な人工甘味料には、次のようなものがあります。

  • アスパルテーム
  • アセスルファムカリウム
  • スクラロース
  • キシリトール

サッカリンも人工甘味料としてよく知られていますが、ひととき発がん性が疑われたため、あまり使われなくなりました(現在、サッカリンの安全性は証明されています)。(※2)

人工甘味料の特徴は、科学的に合成できることです。大量生産が可能で、広く食品に利用されています。ガムで有名なキシリトールは、もともと樺(かば)の木から発見された成分ですが、現在、流通しているほとんどは科学的に合成されたものです。

人工甘味料の特徴

人工甘味料の特徴は、何よりも甘さが強いことです。
甘さを示す指標として『甘味度』(※3)という言葉がありますが、この基準をもとに測ると、人工甘味料は砂糖の200倍以上甘く、少ない量で甘さを感じることができます。そのため、食品に加えてもほとんどカロリーが増えることはありません。つまり、ゼロカロリーの基準である「100gまたは100mlあたり5kal以内」の基準を満たすことができるのです。

人工甘味料として市販されている商品も

人工甘味料のなかには、甘味料のみで市販され、調理に用いることができるものも存在します。スーパーやインターネットでも購入できる代表格として、味の素『パルスイート®』、三井製糖の『おいしくってカロリーゼロ®』が挙げられます。
味を整えるためにでんぷんなどを加えているため、正真正銘のカロリーゼロというわけではありませんが、それでもカロリーは砂糖の4分1程度です。

人工甘味料の機能

ゼロカロリー食品・飲料はカロリーが少なく、ダイエットや糖尿病に活用することができます。ここでは、その機能に注目してみましょう。

血糖値を上昇させない

米国糖尿病学会・米国糖尿病学会は、「砂糖のかわりに人工甘味料を使うことで、肥満や糖尿病の予防や治療に活用できる」(※4)と発表しています。

砂糖を摂取すると、ブドウ糖の形になって吸収されます。このブドウ糖が血液の中に流れているものが血糖で、血糖の量を数字で表したものが「血糖値」です。血糖値が上昇すると、膵臓からインスリンが分泌され、血糖は肝臓や筋肉に取り込まれます。余った血糖の一部は脂肪に変わり、からだに蓄積されます。これが砂糖や炭水化物を食べすぎて太る理由です。
また、食後の血糖値の上昇が大きいとインスリンの分泌が増加し、からだに脂肪が蓄積して太りやすくなるほか、糖尿病のリスクも上がることに注意しなければなりません。
その一方、人工甘味料にはブドウ糖は入っていません。そのため、人工甘味料を摂取しても血糖値はあがらず、インスリンの分泌もわずかにとどまります。(※5)
こうした特性から、ダイエット中の方が甘いものを欲しいときや、糖尿病の方が血糖値を上げたくないときに、ゼロカロリー食品・飲料は活躍することでしょう。

虫歯になりにくい

ミュータンス菌を中心とした歯垢(プラーク)の中にすむ細菌は、砂糖を分解して酸に変えます。この酸が歯のエナメル質を溶かし、虫歯の原因となります。
一方で、人工甘味料の多くは細菌に分解されることがないため、虫歯になりにくい甘味料です。唾液の分泌を促進させ、歯の再石灰化を促進させることから、ガムやキャンディなどに利用されることも多くなっています。

カロリーゼロの注意点

良いことずくめに見える人工甘味料ですが、利用するにあたって、いくつか注意が必要です。

たくさん摂取すると、積み重ねがカロリーに

カロリーゼロの人工甘味料ですが、脳は甘さを感じています。そのため、ゼロカロリー食品・飲料であっても甘さを求めてついとりすぎてしまい、わずかに含まれるカロリーの積み重ねによって肥満につながるおそれがあります。
同じように懸念されるのが、人工甘味料のとりすぎです。ひんぱんにとることで脳が甘さに鈍感になると、より強い甘さを求めて糖質を摂取してしまいます。

からだの代謝が変化することも

人間は空腹に対してカロリーをとることで血糖値が上昇し、満腹感を得ています。しかし、人工甘味料をとるのみで血糖値が上がらないと、からだが空腹に対応する基礎代謝が落ちたり、食事の際に食欲を増進させてしまったりしてしまいます。こうしたことにも注意が必要です。

まとめ

カロリーゼロの食品・飲料には多くのメリットがあり、カロリーコントロールにも有効です。しかし、すべての甘みを人工甘味料に頼ることには注意が必要です。
1日の食事・間食を含めたカロリー量や栄養のバランスを考え、上手にゼロカロリーを活用しましょう。

※1 消費者庁:特別用途食品制度の変遷及び栄養強調表示について

※2 財団法人 日本食品化学研究振興財団「サッカリンカルシウム 指定のための検討報告書

※3 前橋健二:甘味の基礎知識 .日本醸造協会誌. 2011-12;106(12):818-825 p819

※4 Nonnutritive sweeteners: current use and health perspectives: a scientific statement from the American Heart Association and the American Diabetes Association. Diabetes Care. 2012;35(8):1798-1808.
※5 Effects of carbohydrate sugars and artificial sweeteners on appetite and the secretion of gastrointestinal satiety peptides. Br J Nutr. 2011 May;105(9):1320-8.