「HSP」をご存じですか 特徴と診断方法を知って症状と上手に向き合いましょう

健康

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HSPとは「Highly Sensitive Person」を略した言葉で、「とても敏感な人」という意味があります。HSPの方は、ご自身がその気質を持っているという事実を受け入れたうえで、ストレスを抱え込まないための対処法を身につけることが大切です。

この記事の監修

大西 勝士

フリーランスの金融ライター。会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て、2017年10月より現職。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数のメディアで執筆しています。

敏感過ぎて人一倍ストレスを抱え込んでしまう「HSP」に近年注目が集まっています。書店では多くの関連書籍が並び、HSPであることを公表する有名人もいるため、言葉自体はご存じという方もいるかもしれません。

HSPとは「Highly Sensitive Person」を略した言葉です。アメリカの心理学者であるエレイン・N・アーロン氏が提唱した概念で、「とても敏感な人」という意味があります。

HSPは病気ではありませんが、その敏感さゆえにストレスを抱え込みやすく、うまく対処できないとストレス性疾患になるおそれがあります。

HSPの生きづらさを少しでも楽にするにはどうすればよいのでしょうか。

今回は、HSPの特徴やストレスを抱え込まないための対処法をお伝えします。

仕事や職業生活に関するストレス

まずは仕事におけるストレスの現状を確認しておきましょう。
厚生労働省の調査によると、「現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安やストレスとなっていると感じる事柄がある」労働者の割合は54.2%とされ、全体の半分以上を占めています。(※1)
不安やストレスの内容は「仕事の量」が42.5%でもっとも多く、次いで「仕事の失敗」(35.0%)、「仕事の質」(30.9%)となっています。これらから、多くの労働者が対人関係や会社の将来性、さらには自分自身の役割や地位の変化に不安やストレスを感じていることがうかがえます。

厚生労働省「令和2年 労働安全衛生調査(実態調査)|P12 第12表 仕事や職業生活に関するストレスの有無及び内容別労働者割合」を基に筆者作成

なお、同じ調査では過去1年間にメンタルヘルスの不調により、連続1カ月以上休業した労働者がいた事業者は7.8%、退職者がいた事業者は3.7%となっています。(※2)
これらの結果から、強い不安やストレスが労働者の長期休業や退職の要因となっていることが考えられます。
やりがいを感じながら自分らしく働くには、ストレスをうまくコントロールすることが重要といえるでしょう。

HSPとは

HSPは性格や人格のように後天的に作られる考え方や行動ではなく、生まれつきの気質です。提唱者であるアーロン氏の研究によれば、どの国でも人口の15~20%程度の割合でHSPがいることが判明しています。つまり、5人に1人はHSPの気質を持っています。(※3)

HSPは非HSPが気にならないようなことにも敏感に反応してしまうため、強いストレスや生きづらさを感じることがあります。「ストレスを感じやすい」「疲れやすい」という自覚がある場合、HSPの気質を持っていることが考えられます。

HSPの特徴

HSPには以下のような特徴があります。

こころの境界線が薄い

「こころの境界線」とは、自分と他人を区別するための目には見えない境界線のことです。HSPはこの境界線が薄いため、周囲からの影響を受けやすくなります。人の気持ちに深く共感できる一方で、相手の反応や考え方に影響され、自分の気持ちや考えがわからなくなってしまうことがあります。

外部からの刺激に敏感

HSPは音や光、においなどの刺激に対して敏感です。パソコンのキーボードをたたく音やマウスを動かす音、食べ物のにおい、人混みでの雑音など、非HSPならそれほど気にならない刺激にも敏感に反応します。そのため、仕事に集中できずにストレスを感じたり、体調を崩したりすることがあります。

疲れやすい

こころの境界線が薄く、外部からの刺激に敏感なHSPは、常に神経を高ぶらせた状態で生活しています。常に周囲に気を遣っているので、自分でも気づかないうちに疲れ切ってしまいます。楽しく過ごした後であっても、疲労から体調を崩すことがあります。

自己評価が低い

HSPは自己評価が低く、自分を責めてしまう傾向にあります。対人関係では自分より他人を優先してしまい、何かトラブルがあると「自分の責任ではないか」と考えてしまいます。良心的で責任感が強いため、高すぎる目標を自分に課してしまい、自信が持てなくなることがあります。

直感力がある

繊細で敏感なHSPは、直感が鋭いのも特徴のひとつです。相手の表情や周囲の雰囲気を察知する能力が高いので、直感的に得た情報からすぐに結論を出せることがあります。

ここで紹介した項目は、そのまま自分がHSPかどうかを判断するポイントになります。仕事や私生活での場面を思い出しながら自分に当てはまることがないかチェックしてみましょう。

ストレスを抱え込まないための対処法

自分や周囲の人がHSPの場合、どのように対処すればよいのでしょうか。ここでは、HSPがストレスを抱え込まないための対処法を紹介します。

安心して過ごせる場所を確保する

敏感で疲れやすいHSPは、安心して過ごせる場所を確保することが大切です。多くの社員や取引先が出入りする会社では、自分だけの逃げ場所を確保しておきましょう。
疲れやストレスを感じたら、トイレや人がいない会議室などでこころを落ち着けるといいでしょう。また、ひとりでランチに出かける日を設けるなど、意識してひとりで過ごす時間を作るのも有効な対処法です。

過ごしやすい環境を整える

HSPは外部からの刺激に敏感なので、その人(自分)が過ごしやすい環境を整えましょう。周囲の音が気になる場合は、状況が許すなら耳栓をしたり、騒音を消せるノイズキャンセリング機能付きのイヤホンを使ったりする方法があります。
「仕事量を増やしすぎない」「こまめに休憩をとる」などを意識すると、ストレスの軽減につながります。身近な人にHSPであることを伝えておけば、周囲もサポートしやすくなるでしょう。

自分に合った仕事を選ぶ

HSPがストレスを抱え込みすぎず、楽に生きるには仕事選びも重要です。敏感で周囲に影響されやすいHSPは多くの人と関わったり、複数の仕事を同時進行したりするような仕事は疲れ切ってしまうかもしれません。一方で、HSPは孤独に強く、物事を深く考えることができるため、芸術や音楽、執筆などのクリエイティブな仕事は向いている傾向にあります。
現在の仕事が自分に合っているかを考えてみましょう。あまりにも強いストレスや疲労を感じる場合は、転職や独立も選択肢といえます。

カウンセリングを受ける

HSPでストレスや生きづらさを感じている場合、カウンセリングを受けるのもひとつの方法です。カウンセラーに相談することで、自分の置かれている状況を客観視できたり、気持ちが楽になったりする効果が期待できます。ただし、心理カウンセラーとして活動するための必須資格はないため、実績やスキルには個人差があります。心配な場合は国家資格である「公認心理師」、指定大学院修了などの要件がある「臨床心理士」などの資格を持つカウンセラーに依頼しましょう。

HSPである自分を受け入れる

HSPは病気ではなく、生まれ持った気質であるため、無理に直そうとする必要はありません。まずはHSPである自分を認め、受け入れることが大切です。自分を否定するのをやめて、「繊細で人の気持ちに共感できる」といったHSPの長所に注目することを意識しましょう。

まとめ

繊細なHSPはストレスや生きづらさを感じやすいため、うまく対処しないとストレス性疾患になり、仕事の長期休業や退職につながるおそれがあります。しかし、ストレスをコントロールできれば、HSPの長所を活かしながら自分らしく生きることができます。

HSPの方は、ご自身がその気質を持っているという事実を受け入れたうえで、ストレスを抱え込まないための対処法を身につけることが大切です。