2019年版・住まいの実態調査【富山県編】 住まいに関する具体的な不満とその対処法

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「あなたは自分の住まいに不満をもっていますか?」そう聞かれた時、あなたはどんな風に答えるでしょうか。

北陸3県のひとつ富山県。2015年に開通した北陸新幹線によって、東京からでも手軽に行けるエリアになり、黒部ダムや世界遺産の五筒山など観光地が注目されるこの地域に住んでいる方々は、住まいに関してどのような不満を抱えているのでしょうか。

そこで、当社は富山県に住んでいる30~60代の世帯主の男女を対象に、住まいに関する不満に関するアンケートを実施しました。その結果や全国で実施したアンケート結果を比較してわかったこと、住宅の不満解消のためのリフォーム事例などをご紹介します。

1.富山県の住まいに関する不満

まずは、富山県の住まいに関する不満を全国の結果と比較しながら見ていきましょう。

1-1.住まいに関する不満

まずは、富山県在住の方に「住まいに関する不満はありますか?」と質問した結果です。

非常に不満:7.6%
多少不満:41.9%

合計すると、住まいに不満のある方は、49.5%となりました。

次に、全国を対象としたデータを見てみましょう。平成25年に国土交通省が全国に対して実施した「住生活総合調査結果」の「住宅及び居住環境に対する総合的な評価」の結果です。

非常に不満:3.3%
多少不満:18.8%

合計すると、22.1%となっています。

実施した時期は違いますが、全国と比較すると富山県在住の方の住まいに対する不満は倍以上という結果となりました。

1-2.住まいに関する具体的な不満

次は具体的な不満を見ていきましょう。

富山県在住の方に「住まいに関する具体的な不満は何ですか?」と質問した結果です。

1位:住宅の広さや間取り(50.0%)
2位:台所、トイレ、浴室などの使いやすさ、広さ(42.3%)
3位:住宅の断熱性や気密性(32.7%)

次いで、「冷暖房などの省エネルギー性」が30.8%、「収納の多さ、使いやすさ」が26.9%と高い割合を示しています。

一方、全国の「住宅の個別要素に対する不満率」のアンケート結果です。

1位:高齢者への配慮(53.5%)
2位:地震時の住宅の安全性(48.6%)
3位:冷暖房などの省エネルギー性(46.7%)

次いで「住宅のいたみの少なさ」「住宅の断熱性や気密性」「住宅の防犯性「収納の多さ、使いやすさ」となっています。

全国では安全性や快適に生活するための項目が上位を占めていますが、富山県では、水まわりや快適に生活するための項目が上位を占める結果となりました。

2.富山県在住の方の住まいの不満とは

全国調査と比較して、富山県では「住宅の広さや間取り」「住宅の断熱性や気密性」「台所、トイレ、浴室などの使いやすさ、広さ」の3つが特有の不満として挙がっていることがわかりました。

「住宅の広さや間取り」が不満の要因になってはいますが、平地の可住地面積は隣県の石川県や岐阜県と比べて広く、さらに2013年に総務省統計局が公表した『住宅・土地統計調査』によると、富山県の一住宅当たり延べ面積は2位の福井県を抑えて1位となっています。

にもかかわらず、なぜ「住宅の広さや間取り」が不満の要因となっているのは、想像するしかありませんが、他の県と同様に、築年数の経過とともに老朽化が増え続け、住宅の広さはある程度あったとしても間取りなどが現代のライフスタイルにそぐわなくなり、不満が顕在化しているのかもしれません。

「台所、トイレ、浴室などの使いやすさ、広さ」の不満率の高さに関しては、県内で増え続ける高齢者の数に、設備面で住宅が対応できていないことが背景にあると推測できます。

富山県高齢者保健福祉計画によると、2015年の時点で高齢化率が30.5%と同年の全国平均より3.9%高く、2025年には33.6%になると試算されています。

こうしたことから、県内では、今後、高齢者の生活に対応したサービス付き高齢者向け住宅などの普及が見込まれています。一般の住宅でも、バリアフリーなどへの改修を行うことで高齢化の対応が可能ですが、高齢者にとって改修費用が大きな負担となります。

実際に改修などを施すことができれば、上記の不満は解決しますが、現実的にそうできない人が多いことから高い不満率となっていると思われます。

「住宅の断熱性や気密性」の不満の高さは、県特有の気候が密接に関係していると推測できます。富山県の気候は、夏の最高気温が全国でも高い部類で、特に冬は雪が多く降り、富山市や黒部市の一部は特別豪雪地帯に指定されています。

このような気候には、「高断熱高気密住宅」が理想ですが、北海道や東北などと比べると普及が遅れているのが現状です。富山県は新設着工数は多いものの、少子化などの影響で未だ古い住宅も多く、それに住む人からの断熱性や気密性の不満が増えるのもうなずけます。

3.不満を解消した富山県のリフォーム事例

リフォーム・リノベーションは、住まいの不満を解消するための1つの方法です。

住まいの不満を解消して住みやすい住まいに変えたケースとして、富山県のリフォーム事例を紹介します。

【富山県 A邸】

築年数51年の戸建て住宅でしたが、水まわり(キッチン)をリフォームした事例です。築年数が古くても、水まわりを整えるだけで、住みやすい住まいに変えることができます。

4.住まいの不満をリフォーム・リノベーションで解消

リフォームには、台所・トイレ・浴室などの水まわり、玄関の収納など、気になる部分だけを行うものから、間取りなどを変更する大々的なものまで様々です。

予算や目的に応じて適切なリフォームを行うことで住まいの不満を解消することができます。

富山県では、冬季は積雪が多く冷え込みが厳しいことから、断熱性・気密性を意識したリフォームが望ましいですが、対策方法によって工期も価格もバラバラです。今の住宅の状況を踏まえた上で、信頼できる人に相談しながら進めていくことをおすすめします。

5.まとめ

今回は、全国と比較しながら富山県特有の住まいの不満とそうした不満を解消したリフォーム事例を紹介しました。

可住地面積が広くても、所得によってなかなか広い敷地を確保できないなどの理由もあり、間取り、水まわり、快適性などに対して不満が多いことがわかりました。

リフォーム事例のように、現在の住まいに不満を抱えている方は、リフォーム・リノベーションが不満を解消する1つの方法です。もし住まいに不満があったら、リフォーム・リノベーションを考えてみてはいかがでしょうか。

参考サイト

参考サイト1:YOSHIDA CRAFT HOME『高断熱高気密Q1.0住宅は「夏は暑いのか?涼しいのか?」室温を実測し考察してみた』
http://yoshidacraft.net/15113/

参考サイト2:オスカーホーム『富山で家を建てるなら常識!?おさえておくべきポイント3つ』
https://www.oscarhome.co.jp/2014/07/3469

参考サイト3:富山地域学研究所『第3項 生活の舞台―少ない自然―』
http://ww3.ctt.ne.jp/~seijiham/butai/shizen/kyoju/kyojmain.html

参考サイト4:都道府県別統計とランキングで見る県民性『可住地面積率 [ 2015年第一位 大阪府 ]』
https://todo-ran.com/t/kiji/18671

参照サイト

国土交通省“平成25年住生活総合調査結果”[① 住宅及び居住環境に対する総合的な評価(p.29)]の一部を抜粋.国土交通省.2015.9.30.
http://www.mlit.go.jp/common/001104812.pdf、(参照2019-03-25).

富山県 “富山県高齢者保健福祉計画”[ (1) 高齢者人口の状況(p.2)]の一部を抜粋.富山県.2018.12.12.
http://www.pref.toyama.jp/cms_pfile/00003938/01188317.pdf、(参照2019-05-20).

総務省統計局“平成25年住宅・土地統計調査”[表2-21 住宅の規模-都道府県(平成25年)(p.20)]の一部を抜粋。総務省統計局.2016.02. 
https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2013/pdf/nihon02.pdf、(参照2019-06-25).