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楽器のお稽古に迷ったらこれ。今から始める『大正琴』編

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大正琴は、音階ボタンの押し方や絃の弾き方、数字譜を覚えたら、すぐに簡単な曲にチャレンジすることができます。一人でも複数でも楽しめる大正琴で、生活に新しい風を吹かせてみてください。

この記事の監修

伊藤璃帆子 (Rihoko ITOH)

美術家。東京都在住。
編集、執筆、写真撮影、イラスト、フードスタイリング等を手がける。
日常使いのアイテムをちょっと良いものに変えてみませんか。
暮らしや家事にまつわるアイデアを厳選してご紹介していきたいと思っています。

ソニー生命保険株式会社のシニアの生活意識調査2019によると、楽器や音楽を楽しむシニアも多いのが解ります。

ソニー生命保険株式会社のシニアの生活意識調査2019

全国のシニア(50歳~79歳)の男女1,000名(全回答者)に、現在の楽しみを聞いたところ、1位「旅行」(47.4%)、2位「テレビ/ドラマ」(34.7%)、3位「グルメ」(30.1%)、4位「映画」(28.8%)、5位「読書」(28.6%)、6位「健康」(24.9%)、7位「楽器/音楽」(23.2%) となりました。「ソニー生命調べ」

とはいえ、大人になってから始める楽器は、レッスンの難易度や音が出るようになるまでの期間など、気になることがたくさんあるものです。

音符がわからなくても、音楽が苦手でもレッスンが始められる大正琴。体に負担をかけず、定年後から始めるお稽古事にもぴったりです。音も比較的小さいので、自宅で毎日楽しみやすく、シニア世代に人気があります。

筆者が大正琴を知ったのは小学生のころでした。祖母の家へ遊びに行った際、演奏を聴かせてもらったのを機に興味を持ち、私も祖母のそばで教えてもらいました。番号を左指で押しながら、義甲(ピック)で弦を爪弾くだけで音が出せるので、小さな子どもでも簡単に曲を演奏できます。今も大正琴の音色を聞くと、祖母との楽しい思い出が蘇ります。

今回は、これから始める趣味としても、お孫さんと一緒に遊ぶお道具としてもぴったりな、大正琴についてご紹介します。

誰にでも始めやすい大正琴の魅力

大正琴を見たことはあっても、実物を触ったことがある方は少ないかもしれません。
大正琴は、左手で音階ボタンを押さえて、右手に持ったピックで絃を弾きます。音階ボタンには数字が書いてあるのですが、白の1がド、2がレ、3がミといった具合に、数字がドレミを表しています。数字についている点は音の高さを表していて、ピアノの黒鍵に当たる部分には♯が書かれています。タイプライターにヒントを得て発明されたという所以があり、文字盤を彷彿とさせる作りです。

譜面にも数字が使われているのも特徴のひとつ。音階ボタンに対応した数字譜と呼ばれる楽譜を使うことで、楽譜が苦手な方でも簡単に始めることができます。
洋楽、童謡、演歌など、幅広い音楽を奏でることができますが、中でも歌謡曲は大正琴のノスタルジックな音色との相性が良く、シニア世代の演奏曲として人気があります。かつてよく聴いていた曲やカラオケの十八番を大正琴で奏でられれば、初めて挑戦する楽器も楽しんで練習することができます。

大正琴の歴史

大正琴の歴史は、大正元年に森田吾郎が八雲琴(二弦琴)にタイプライターのキーの構造を組み合わせて発明したことに始まります。琴とは言え、金属製の絃を用いられていたため、絹製の絃を使った従来の日本の琴とは、音色が異なっていました。一見すると和楽器のようですが、鍵盤があるため、日本で生まれた洋楽器ということになります。
鍵盤があることで、音高を正確に出すことができ、当時から比較的簡単に演奏することができる楽器として注目されていました。西洋の音楽を奏でられる楽器ながらも、ピアノやバイオリンに比べて安価で親しみやすく、大正時代は家庭用楽器として大流行しました。戦争とともに暫く大正琴の音色が聴こえない時期もありましたが、戦後再びブームとなり女性を中心に愛好者が増えました。
昭和50年代には、従来のソプラノ音域の大正琴に加え、アルト音域、テナー音域、ベース音域の大正琴が開発され、グループで合奏を楽しめる楽器にもなりました。発明から100年を過ぎた現代では、全国に大正琴愛好者が広がり、日本においてポピュラーな楽器のひとつとなっています。

大正琴の価格やレッスン費用は?

大正琴は、教本などを見ながら独学で弾けるようになる楽器といわれています。ただ、レッスンに通えば、同じ音楽の趣味をもつ仲間と話ができたり、グループで合奏を楽しめたりできます。一緒に趣味を楽しむ仲間が欲しいと思う方はレッスンに通うことをおすすめします。
レッスンは個人レッスンとグループレッスンに分かれていることが多く、費用は教室にもよりますが、月々4,000円から1万円程度。
カルチャースクールなどに大正琴のクラスが多いので、演奏者の年齢層やレッスンの雰囲気を知るには、一度足を運んでみるのがおすすめ。演奏に使用する大正琴は、貸出を行なっている教室も多くあります。初めは貸出を利用し、家でも練習をしたいと思ったら購入を検討してみても。一般的な大正琴は3万円~5万円程度で購入することができますが、初めは、ピックや予備弦などがセットになった2万円程度の初心者向けのものを購入して、上達したらランクが上の大正琴に幅を広げ、材質による音の違いなどを楽しんでみてはいかがでしょうか。

大正琴にかかる費用

月謝

4000円〜1万円程度

楽器代

3万円〜 中古品は数千円でも購入可能

当社調べ(こちら、さまざまなサイトを比較しているものですから、エビデンスが載っているものはありません)

指先の運動が脳の活性化に。シニアにも人気

手は第二の脳と呼ばれ、指や手を使うことは脳の活性化につながるといわれています。特に、日常生活で使う機会の少ない薬指や小指を動かすことが大切といわれています。大正琴は指先の運動におすすめの楽器のひとつです。
大正琴は鍵盤を抑える左手と、絃を弾く右手の両方を使います。そのため、老化防止の効果が期待され、福祉施設などのレクレーションとしても用いられることがあります。ボケ防止や認知症の予防のために考案された指先の体操もありますが、趣味を楽しみながら、脳のトレーニングができたら一石二鳥です。また、音楽によるリハビリテーションや心身機能のサポートや向上を目指す音楽療法の場でも、大正琴が注目されています。
大正琴を奏でることで、心も身体も健康的に満ち足りた暮らしを送ることができたら、これからの日々がより一層素晴らしいものになります。

1日少しずつ練習を、音を奏でる楽しみを

大正琴は、音階ボタンの押し方や絃の弾き方、数字譜を覚えたら、すぐに簡単な曲にチャレンジすることができます。
まずは、1日少しずつ練習を積み重ね、練習の成果は、教室で仲間に聴いてもらいましょう。メロディが弾けるようになると、童謡やポピュラー音楽など、幅広いジャンルの曲を楽しむことができます。
比較的簡単に音を出すことができる大正琴ですが、演奏の技法を身につけることにより、音に深みをだすことができます。大正琴の特徴的な奏法のひとつ、トレモロ奏法は単一の高さの音を連続して小刻みに演奏する技法で、音を長く響かせることできるため、豊かな表現のメロディを奏でることができます。
一人でも複数でも楽しめる大正琴で、生活に新しい風を吹かせてみてください。