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作って、使って楽しむ。今から始めるお稽古事『陶芸』編

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陶芸はお友達とワイワイ楽しみたい方にも、1人の静かな時間を持ちたいという方にもおすすめです。

この記事の監修

伊藤璃帆子 (Rihoko ITOH)

美術家。東京都在住。
編集、執筆、写真撮影、イラスト、フードスタイリング等を手がける。
日常使いのアイテムをちょっと良いものに変えてみませんか。
暮らしや家事にまつわるアイデアを厳選してご紹介していきたいと思っています。

無心になって素手で土に触れる楽しさ。さらに実用性も相まって、文化系のお稽古事として若者からシニア世代まで幅広い層に人気があるのが陶芸教室です。
筆者は多くのお稽古事をしていますが、陶芸はそのなかでも上位に入るお気に入りのお稽古事でした。陶芸を始めたのは、幼い頃に母が通っていた陶芸教室へ連れていってもらったことがきっかけで、土をこねたり、釉薬で模様を描いたりする工程ひとつひとつも楽しめるのはもちろん、出来上がった作品を使うときの喜びはひとしおでした。自分で作った作品は食卓で大事に使っています。
陶芸はお友達とワイワイ楽しみたい方にも、1人の静かな時間を持ちたいという方にもおすすめです。 今回は、陶芸の魅力と、具体的な内容についてご紹介します。

陶芸の魅力

「こんな食器が欲しい」と思った時に、イメージに近いものを探すのではなく、自分で作ることができたら嬉しいものです。既製品とは違い、使えるようになるまで時間はかかりますが、陶芸には作る楽しさ、使う楽しさの両方があります。自分で作った作品は、完璧なものでなくても、手作りというだけで愛着が湧きますし、機械で作られた量産品とは異なる魅力があるものです。
最初のうちは、思うように形を作ることができなかったり、完成した器が使っているうちに割れてしまうなどもあると思いますが、徐々にできることが増えていく達成感も味わえます。
また、最近では土をこねることで心が癒されるリラックス効果や、集中力の向上なども注目されています。
陶芸で得られるものは実用的な成果物だけではなく、自分と向き合う時間が大きな魅力です。

陶芸教室で作れるもの

陶芸を独学で始めるのはなかなか難しいため、はじめは教室に通うことをおすすめします。ここでは、実際に陶芸教室に通ったらどういうものが作れるかをご紹介します。
陶芸教室の多くは、初心者を対象とした基本のカリキュラムが用意されています。初めに、陶芸の基礎を学び、湯呑みや茶碗など比較的作りやすい作品から始め、順を追って難易度を上げた作品に着手していきます。
土に慣れたところで、成形の難易度をあげ、蓋や取っ手がついたものに挑戦したり、和紙染や金銀彩などの本格的な装飾技法を学べる教室もありますので、ゆくゆく作りたいものに合わせて教室を選んでください。
陶芸は、ひとつの作品が出来上がるまでに、多くの工程を必要とします。土を練る作業ひとつとっても、慣れないうちは練習が必要で、経験を積むことで耐久性のある、より良い作品を作ることができます。
実際にどういうものが作れるかは教室によっても異なるので、教室の雰囲気を知る意味でも、体験レッスンを実施している教室があれば、ぜひ受講してみましょう。作ってみたい陶器のイメージ写真などを持参して、難易度やおおよその製作日数など、先生にアドバイスをもらいましょう。
陶芸は基本的に一人で行なうもの。まわりの人のレベルなどは気にせずに、自分が楽しめるかどうか大切に教室を選んでください。

陶芸に必要な道具は?

陶芸教室で一通り学び、以降は自宅で陶芸を始めたいという思いが湧いてくる方もいらっしゃいます。陶芸は素手で土を触ってかたちを作ることが基本となるため、そこまで多くの道具を必要としません。ここでは自宅で陶芸をする場合に必要な道具についてご紹介します。基本的な道具は次の通りです。

粘土

陶芸の基本となる土は、発色や産地によってたくさんの種類があります。一般的に初心者には信楽の粘土が扱いやすくておすすめです。

手ロクロ

手びねりで制作する時の作業台となります。

電動ロクロ

回転を利用してかたちを作る時に使います。陶芸といえば、この電動ロクロを回しているイメージが浮かぶ方も多いのではないでしょうか。

粘土板

作品を作ったり、乾燥させたりする時に使います。軽くて吸水性のあるものがおすすめです。

コテやヘラ

コテは、表面を滑らかにする時や成形する時に使います。ヘラは、細工などに使用します。多くの種類があるので、用途に合わせて選びましょう。

陶芸窯

陶器の焼成に使用します。電気、灯油、ガスなどいろいろな種類があります。

陶芸にかかる費用はどれくらい?

陶芸教室の体験レッスンの場合は、おおよそ3,500円~5,000円が相場です。
実際に通う場合の費用は、入会金、月会費、材料費の3つに大きく分かれ、入会金は無料の教室も多くあります。月会費は回数にもよりますが、月4回で8,000円~12,000円ほどを。教室によってはフリープランがあったり、月単位ではなく1回ごとに利用できる場合もありますので、自分のライフスタイルにあったコースを選んでください。
また、自治体などが主催している比較的手頃な教室もあるので、お住まいのエリアの情報紙なども調べてみましょう。材料費は粘土代のみのところもあれば、焼成代が別途かかるところもあります。ヘラやロクロなどの道具は貸し出しているところが多いので、初めは貸し出しを利用し、慣れてきたら手馴染みの良い道具を探しても。
陶芸教室で基本をマスターし「これからは自宅で陶芸を始めたい」という方にとって、最大の壁は窯の問題です。窯は価格もさることながら、設置場所の確保が必要となり、ハードルの高いアイテムとなります。焼成代を支払えば、窯を利用させてもらえる工房などもあるので、使用頻度と合わせて、購入を検討してみてください。

やきものの産地で旅行を兼ねて陶芸体験を楽しむ

数あるお稽古事の中からひとつを選ぶのは、なかなか難しい場合もあります。趣味とはいえ、自由な時間には限りがありますから、たくさんのお稽古事を片っ端から試していくのは大変なことです。
陶芸に興味はあるけれど、お教室に行くまでは考えられないという方は、やきものの産地へ旅行がてら体験をしてくるのもおすすめ。
日本各地のやきもの産地へ旅に出かけてみませんか。有名どころだと、茨城県の笠間焼、栃木県の益子焼、石川県の九谷焼、岐阜県の美濃焼、三重県の伊賀焼、愛知県の砥部焼、佐賀県の有田焼、伊万里焼、沖縄県のやちむんなど。
全国にはたくさんのやきもの産地があります。やきものに使われる窯や、歴史などの知識を深め、郷土料理が盛られた器で使い心地を確かめ、教室で制作体験し、思い出と一緒に持って帰るのも楽しい旅になります。

はじめてみようと思った方へ

伊藤さん

ものづくりのお稽古事を始めるにあたって一番大切なのは、自分が作りたいもののイメージを持つことです。陶芸を習うとしても、普段使いの器ばかりではなく、芸術作品にチャレンジすることだってできます。
言われた工程をこなすのではなく、「こんな作品を自分で作りたい」という具体的な目標を持って挑んでみてください。
イメージづくりのために、工芸資料館や美術館へ足を運んでみるのもまた楽しいですよ。