「デトックス」の意味や方法は? 医学的にみた正しい毒素の排出方法を看護師が解説

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失語症になるとコミュニケーションがうまくいかず、家族や友人との関係性が変化し、生きる意欲が低下しかねません。まずは、失語症に対する理解を深めて、失語症患者の尊厳を保ちつつ病状に合わせたコミュニケーションをとることが大切です。

この記事の監修

浅野すずか

看護師として病院や介護の現場で勤務後、子育てをきっかけにライターに転身。看護師の経験を活かし、主に医療や介護の分野において根拠に基づいた分かりやすい記事を執筆。

「からだをスッキリさせたい」
「毒素を出して、健康的になりたい」

健康や美容に関心のある女性にとって、「デトックス」という言葉はとても魅力的に聞こえるものです。世の中には、デトックスに効果があるとされるものがさまざまありますが、実はなかには科学的根拠が乏しいものも多くあります。誤ったデトックス方法を取り入れると、体調を崩してしまうおそれもあり、慎重に取り入れなければいけません。

今回は、主に身体面のデトックスを中心に、その効果や科学的に正しい方法を紹介します。

デトックスとは

デトックスとは、簡単にいうと「解毒」の意味です。毒素をからだの外に出したり、有害な作用をなくしたりして、からだにとって害のない状態にします。

ちなみに、「毒素」とはからだに害を与える物質をさします。毒素は、大まかにからだの外側にあるものと内側にあるものに分類されます。たとえば、外側にあるものには食品に含まれる毒やアルコール、ニコチンが挙げられます。内側にあるものには活性酸素や乳酸があります。

このように毒素は私たちの身近なところにあり、生きていくなか、体内で生成されるものでもあります。毒素をからだの中に入れない、からだがつくらないようにすればデトックスする必要はありませんが、それは現実的ではありません。そのため、毒素の有害な作用を減らすために、デトックスをすることが大切になるのです。

「デトックス」と聞くと、特別なことのように思われがちですが、実は私たちのからだにはもともとデトックス機能が備わっています。その代表選手が肝臓です。肝臓には、有害物質を分解したり解毒したりする機能があります。たとえば、アルコールや乳酸などの有害物質は、肝臓で分解されることで毒性が弱くなります。

世の中にある「デトックス法」は科学的に正しいのか?

健康食品やサプリメントなど、世の中にはデトックス効果があるといわれるものはさまざまです。魅力的な広告を見ると、つい試してみたくなりますが、実はトラブルも起きているのが現状です。
健康食品に係る虚偽・誇大広告は、「健康増進法」によって禁止されているにもかかわらず、これらは後を絶ちません。消費者庁は、虚偽・誇大表示の改善を何度も要請しています。2021年4月~6月にインターネット上で監視を行った結果、デトックスに関しては、加工食品39品と飲料等14品に効果を有すること等を標ぼうする表示があったとしています。

消費者庁 「【注意喚起|国内】インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示の改善を要請 (消費者庁)」より転載

食品や飲料のほかにもデトックス効果をうたうものはあります。たとえば、サウナやホットヨガ、ファスティング(断食)などが、それにあたります。いずれも試してみようかな、と一度は考えてみたくなるものばかりですが、これらにも以下のような懸念点があります。

1.サウナやホットヨガ

発汗作用によるデトックスがうたわれますが、汗をかくことで実際にどんな毒素が、どのくらいの量、排出されているか不明です。また、高温多湿の環境のため、しっかり水分補給しないと脱水のリスクがあります。

2.ファスティング(断食)

ファスティングでは、一定期間固形の食事をとらず、飲料のみで過ごします。そうすることで、消化器を休ませ、さまざまな健康効果が期待できるとされていますが、これも科学的根拠はありません。
もちろん食べすぎはよくありませんが、腹八分目でその人にとって適正なエネルギー量であれば問題ありません。「体重が減った」「からだが軽く感じる」などの体験談もみられますが、摂取カロリーが少なくなれば当然です。
日頃の摂取カロリーや栄養バランスが気になる場合は、ファスティングではなく普段の食生活の中でカロリーや栄養素のバランスを見直すことをおすすめします。

 

このように、科学的に根拠のないデトックスは、効果がないばかりか体調を崩す原因にもなるため注意しなければなりません。
肝臓がデトックスの役割を担っていることは、先ほどご紹介したとおりですが、肝臓だけでなく尿や便でも不要なものを排泄しています。何かをわざわざ取り入れてデトックスするよりも、もともと持っているデトックス機能が正常に働くように意識を向けたほうが健康的です。

誤ったデトックスへの思い込みに潜む危険性とは

科学的根拠のないデトックスに関する思い込みは、以下のような危険性があります。

1.不快な症状は好転反応なので様子を見る

好転反応とは、何かしらの健康法を試したときに健康になる過程でだるさや頭痛などの不快な症状が出ることをいいます。「好転反応が出ているから効果がある」と言われることもありますが、間違ったデトックスによりからだがダメージを受けていることも考えられます。様子を見ることで治療が遅れることもあるため、放置するのは危険です。

2.自然のものは安全なので安心できる

「人工的なものより、自然由来のほうが安全」というイメージがあるかもしれませんが、そうとは限りません。たとえば、キノコやフグの毒など自然界にも当然毒素は存在するため、自然なものが安全とはいえないのです。また、自然の成分が原因でアレルギーになることもあります。

3.不快な症状はデトックスをすれば治る

インターネット上では、「だるさや頭痛、肌荒れなどの不快な症状は、デトックスすることで治る」というようなコメントがみられます。何かしらの条件やタイミングが合ってたまたま治る場合もあるのかもしれませんが、デトックスは治療ではないので、治る保障はありません。万が一、不快な症状が病気によるものだった場合、悪化したり治療が遅れたりする危険性があります。

からだの機能を高める健康的なデトックス方法とは?

これまで紹介したように、世間に広まっているデトックス法には科学的根拠がないものも多くあります。ここでは、からだがもともと持っている機能を活かす方法で、デトックス機能を高めるポイントを紹介します。

1.バランスのとれた食事

普段から栄養バランスに気を付けた食事ができていれば、健康食品やサプリメントをわざわざ取り入れる必要はありません。繰り返しになりますが、デトックス効果をうたう健康食品には注意してください。
デトックスというと食物繊維やビタミンが注目されがちですが、特定の栄養素のみ摂取すれば健康になれるわけではありません。どの栄養素もからだに必要ですので、バランスよく摂取するようにしましょう。

また、水分補給も大切です。ただし、多量に飲むとむくみや循環器への負担になるため、たくさん飲めば健康になれるわけではありません。
厚生労働省によると、成人男子が比較的安静にしていたときの「水収支(からだに取り入れる水分量と、排出される水分量)」は以下のイラストのとおりであり、飲み水は1.2リットルとなっています。季節や運動量によっても必要な水分量は変化しますが、この水収支がほぼ同じになるように、水分量を調整することが望ましいでしょう。

厚生労働省ウェブサイト「「健康のため水を飲もう」推進運動」の情報を基に作図

2.適度な運動や入浴を意識して行う

適度な運動や入浴によって血流がよくなります。それにより、酸素や栄養素がからだに運ばれやすくなるため、免疫力アップにもつながります。さらにストレス軽減にもつながるため、抗酸化作用が高まり活性酸素抑制も期待できます。

3.飲酒や喫煙に注意

アルコールやニコチンは、体に悪影響です。適度な飲酒と禁煙を心がけるようにしましょう。また、アルコールの過剰摂取はデトックスを担う肝臓への負担になり、肝炎や肝硬変の原因にもなります。

まとめ

何か特別なことをしなければ、デトックスできないわけではありません。もともとあるからだの機能を高める、つまり健康的な生活習慣を身につけることで、デトックス効果を高めることができます。

魅力的な広告に惑わされず、「この情報は科学的に正しいのか」と立ち止まって考えたうえで、自分に最適な方法を取り入れていきましょう。