それって本当に高血圧? 診察室に入った時だけ血圧が高くなる「白衣高血圧」とは

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白衣高血圧は、緊張で自律神経のバランスが乱れ、交感神経が優位になって一時的に血圧が高くなるのが原因だとされています。血糖値や血清脂質値とは異なり、血圧は家庭でも簡単に測定できます。可能であれば毎日測定し、日々の健康管理に役立てましょう。

この記事の監修

中西 真理

医薬品卸にて一般の方や医療従事者向けの情報作成に従事。その後、調剤薬局に勤務。現在は、フリーライターとして主に病気や薬に関する記事を執筆。

自宅での血圧は正常範囲であるにもかかわらず、医師や看護師の前では血圧が高くなってしまう......。そのような経験はありませんか?
血圧はちょっとしたことで変化するため、普段と違う環境で測定すれば高くなることもあります。しかし、毎回診察時だけ血圧が高い場合は、「白衣高血圧」と呼ばれる症状が考えられます。

白衣高血圧は高血圧の約15~30%を占め、特に高齢者に多い傾向があります(※)。しかし、白衣高血圧に気付くためには、診察室における血圧と家庭での血圧を比較しなければなりません。

健康機器の開発・販売など行う、オムロンヘルスケア株式会社が2017年に発表した調査によると、「血圧が高め」と指摘されたことのある人でも、毎日、1回以上血圧を測定している人は25%程度と、さして多くはないことが分かっています。このようなことから、白衣高血圧に気付かないまま高血圧治療を受けている人が相当数いることが考えられます。

オムロンヘルスケア株式会社「高血圧に関する意識と行動に関する1万人実態調査

白衣高血圧に気付かないまま処方された降圧薬を服用すると、血圧が下がりすぎて立ちくらみやめまいが生じ、ひどい場合は意識を失ってしまう危険性すらあります。

では、白衣高血圧は治療しないほうがよいのでしょうか? 放置した場合、将来の健康に悪影響をおよぼすことはないのでしょうか?

今回は、白衣高血圧がどのようなものであるかお伝えするとともに、白衣高血圧に気付く方法や予測される将来の健康リスク、白衣高血圧と診断された場合の対処法について解説します。

診察時だけ血圧が高くなる「白衣高血圧」

血圧には、下記のとおり4つのタイプがあります。

血圧のタイプ

家庭血圧

(収縮期血圧/拡張期血圧)

診察室での血圧

(収縮期血圧/拡張期血圧)

持続性高血圧

135/85mmHg以上

140/90mmHg以上

仮面高血圧

135/85mmH以上

140/90mmHg未満

白衣高血圧

135/85mmH未満

140/90mmHg以上

正常血圧

135/85mmH未満

140/90mmHg未満

「持続性高血圧」とは診察室でも家庭でも血圧が高いタイプで、いわゆる「高血圧」です。「正常血圧」は、診察室でも家庭でも血圧が正常範囲内にあるタイプ、「仮面高血圧」は、家庭では血圧が高いにもかかわらず、診察室で血圧が正常範囲内にあるタイプをいいます。そして、「白衣高血圧」は、家庭での血圧が正常範囲内であるにもかかわらず、診察時の血圧が高いタイプです。

白衣高血圧は、緊張で自律神経のバランスが乱れ、交感神経が優位になって一時的に血圧が高くなるのが原因だとされています。診察時だけ血圧が高くなる理由としては、たとえば下記が考えられます。

  • 家庭とは異なる環境に対する緊張
  • 待ち時間のストレス
  • 病気に対する不安

白衣血圧かどうかを知るためには、家庭での血圧測定がとても重要です。ただ、これだけでは判断できない場合は、小型の機器を装着して24時間連続で血圧を測定することもあります。

高血圧の診断を受け薬が処方されていても、「血圧の薬を飲むとふらつく」「体調が悪くなる」などの症状が長く続く場合は、白衣高血圧や薬の効きすぎが否定できません。そのような場合は自己判断で薬を中止するのではなく、家庭血圧を毎日測定して結果を持参し、主治医の判断を仰ぐようにしましょう。

白衣高血圧の人は、経過を要観察しましょう

白衣高血圧は、通常の高血圧と比べると心臓や腎臓、血管への影響は軽微で、脳梗塞や心筋梗塞などの発症も多くありません。そのため、合併症がなければ基本的に薬などは必要ないとされています。しかし、だからといって白衣高血圧を放置してよいわけではありません。

白衣高血圧の人は正常血圧の人より持続性高血圧になりやすいため、肥満や脂質異常症、耐糖能異常(糖尿病ではないものの血糖値が高い状態)がある場合や、家庭での血圧が125~134/80~84 mmHgと高めの場合は積極的な治療を考慮したいところです。そして、合併症がない場合であっても、白衣高血圧は将来的に耐糖能異常や脂質異常症を合併する頻度が高いことがわかっています。そのため、白衣高血圧と診断された場合は、積極的な生活習慣の見直しなどが必要です。加えて、家庭での血圧測定や定期的な健康診断などで血圧の上昇傾向に気が付いた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

積極的な治療を考慮すべき白衣高血圧
  • 肥満
  • 脂質異常症(高脂血症)がある
  • 糖尿病ではないが血糖値が高め(耐糖能異常)
  • メタボリックシンドロームと診断されている
  • 臓器障害(心肥大、動脈硬化、慢性腎臓病など)がある
  • 家庭での血圧が高め(125~134/80~84 mmHg)

受診を考慮すべき白衣高血圧

  • 家庭での血圧や定期健康健診時の血圧が上昇傾向にある場合

家庭血圧を測定して健康管理をしましょう

白衣高血圧は、緊張やイラつきなど自律神経の乱れに大きな影響を受けるとされています。そのため、白衣高血圧の人は診察以外でも、緊張する場面やイライラがつのる場面では血圧が高くなっている場合があります。

このようなことから、日頃から「ストレスに弱い」「緊張しやすい」などと感じている人は、高血圧と診断されていなくても家庭血圧を測り、その変化に注意することをおすすめあします。将来の耐糖能異常や脂質異常症などのリスクを下げるために健康的な食事を心がけ、適度な運動をするのもおすすめです。

▼高血圧を予防・改善する生活習慣(例)
  • 塩分摂取を控える
  • 栄養バランスの良い食事を心がける
  • 適正体重を維持する
  • アルコールは適量にとどめる
  • 禁煙する
  • 適度な運動をする
  • ストレスをためない
  • 急激な温度差に気を付ける

血糖値や血清脂質値とは異なり、血圧は家庭でも簡単に測定できます。可能であれば毎日測定し、日々の健康管理に役立てましょう。