「座りすぎ」で寿命が縮む!? 気をつけたい病気と今日からできる対処法

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仕事に集中していると、つい同じ姿勢のまま座りっぱなしになってしまうのが常ですが、意識してからだを動かすことはとても大切です。

この記事の監修

中西 真理

医薬品卸にて一般の方や医療従事者向けの情報作成に従事。その後、調剤薬局に勤務。現在は、フリーライターとして主に病気や薬に関する記事を執筆。

感染症の流行拡大にともなう外出自粛やテレワークなどの影響で、「座っている時間が増えた」と感じている人も多いでしょう。実際、2020年7~8月に行われた調査では、在宅勤務者は職場勤務者に比べて座っている時間が1時間以上長く、からだを動かす時間が30分近く少ないという結果が示されました。

東京医科大学公衆衛生学分野の福島教照講師ら研究チームプレスリリース 「COVID-19流行下の在宅勤務者で職場勤務者よりも仕事中の座位時間が1時間以上長い ~在宅勤務では、長時間の座りすぎへの対策が必要~」 の情報を基に作図

「座りすぎ」は健康に良いものではありません。座り続けている時間が長くなると、運動不足はもとより、心筋梗塞や脳血管疾患(脳梗塞や脳出血など)といった命にかかわる病気にかかるリスクが高まり、メンタル面にも悪影響が生じることがわかっています。
とはいえ、デスクワークがメインで座る時間を減らすのが難しい人もいます。そのような人は、健康を維持するためにどうすれば良いのでしょうか。

今回は、「座りすぎ」がからだにおよぼす影響と、日常生活や仕事中でも取り組みやすい「座りすぎ」対策を紹介します。

「座りすぎ」で年間200万人が死亡?

「座る」ことは、けっして悪いことではありません。疲労を軽減し、リラックスするために座るのは、ごく当たり前の行為といえます。

問題は、長時間座り続けることです。座っている時間が長くなると、血流や筋肉の代謝が滞り、がんや認知症になるリスクが高くなることがわかっています。先にも述べたように、心筋梗塞や脳血管障害にかかるリスクも、死亡リスクも高まります。

WHO(世界保健機関)は2011年、「座りすぎは世界で年間200万人の死因になる」(※1)と警告を発しており、コロナをきっかけに浮上した問題ではないことが分かります。

澤田亨. 座位行動. e-ヘルスネット. 厚生労働省. (2021)

特に日本人の座っている時間は、世界のなかでも長いことが知られています。また、テレワークが「新しい生活様式」のひとつとして浸透しつつあるため、今後は座って過ごす時間がさらに長くなることが予想されます。

澤田亨. 座位行動. e-ヘルスネット. 厚生労働省. (2021)

運動不足と座りすぎは別物! 「座りすぎ」を防ぐ毎日の工夫

「座りすぎがダメならば、週末などに運動すればよいのでは?」と考えるかもしれませんが、運動不足と座りすぎは別の問題です。運動習慣があっても座りすぎによる死亡リスクは変化せず、30分以上の運動を週5回以上行っても座りすぎの悪影響を取り除けないことがわかっています(※2)。

「そんなことを言っていたら、座りすぎの解消などできないのでは?」と悲観的にならなくても大丈夫です。実は30分ごとに3分程度、あるいは1時間ごとに5分程度、立ち上がって軽くからだを動かすだけでも座りすぎにともなうリスクは減らせる、とされています(※3)。ポイントは、「座り続けないこと」です。これを意識するだけで、座りすぎは解消しやすくなります。

それでは、どのようにすれば座りすぎを解消できるのでしょうか。職場と自宅、場面を分けて見ていきましょう。

職場で座りすぎを防ぐ工夫

職場では、こまめに動くことを心がけましょう。「座って行うのが当たり前」と思っているミーティングや会議を立って行うこともおすすめです。職務の都合で立ち上がるのが難しい場合は、座ったまま足先を動かしたり、ふくらはぎをもんだりするのもよいでしょう。

▼職場での実践例

  • こまめにプリントやコピーなどを取りに行く
  • 内線やメールを使わず、直接用事を伝えに行く
  • 昇降式デスクを利用し、立った状態でデスクワークをする
  • 立ったままミーティングをする

以下に紹介するのはエコノミークラス症候群を予防するストレッチですが、座りすぎにともなう血行不良の解消にも役立ちます。

厚生労働省リーフレット「エコノミークラス症候群の予防のために」より転載(一部加工)

自宅で座りすぎを防ぐ工夫

自宅ではゆっくりしたいものですが、やはり座りすぎは禁物です。作業の合間に意識してからだを動かし、連続して座っている時間を短くする工夫をしましょう。

▼自宅での実践例

  • テレビを観る際は、長時間座らない、横にならない
  • CM中は立ち上がって家事やストレッチをする
  • パソコンやスマートフォンは使用時間を決める。長時間連続して使わない
  • 読書中は1章読んだら立ち上がり、からだを動かす

「座りすぎ」を解消して健康寿命を延ばしましょう

「座りすぎ」はからだの健康を害するだけではなく、精神面にも悪影響を与えることが近年の研究で明らかになっています(※4)。
しかし、「座りすぎ」は意識をほんの少し変えるだけで解消できます。仕事などで座ることが避けられない場合は、「座りすぎないようにする」のではなく、「同じ姿勢を長時間続けないようにする」と考えると、取り組みやすくなるでしょう。

仕事に集中していると、つい同じ姿勢のまま座りっぱなしになってしまうのが常ですが、意識してからだを動かすことはとても大切です。アラームを鳴らしたり、オンライン会議が終わるたびに立ち上がったり、コーヒーブレイクを取り入れたりなど、何らかの工夫を行うことで健康な日々を過ごすようにしましょう。