50代から気をつける病気。予防・対策

【看護師が解説】つらい股関節の痛みと原因は? 治療法は?

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「ヒートショック」とは、気温の急激な変化によって血圧が変動し、さまざまな病気を引き起こすことをいいます。ヒートショックは、少しの工夫が予防につながります。家族みんなで意識して、健康な生活を送りましょう。

この記事の監修

浅野すずか

看護師として病院や介護の現場で勤務後、子育てをきっかけにライターに転身。看護師の経験を活かし、主に医療や介護の分野において根拠に基づいた分かりやすい記事を執筆。

「足の付け根が痛くて、思うように歩けない」
「ジッとしていても、股関節が痛むようになった」
このような股関節の痛みは、中高年の女性に多く見られます。

股関節は私たちの生活動作に深く関わっており、痛みが強いと日常生活が制限されてしまいます。痛みに対する治療法はいくつかありますが、痛みが悪化する前に自分で対処できることがあるのなら積極的に取り入れたいと考える方も多いでしょう。

今回は、股関節が痛くなる原因や病気に対する解説に加え、痛みを軽減するために気を付けたいポイントを取り上げます。股関節の痛みで悩んでいる方の参考になれば幸いです。

股関節とは? なぜ痛みが起こりやすいのか

股関節とは、足の付け根にあたる関節のこと。骨盤と大腿骨(太ももの骨)をつなぐ役割があり、私たちのからだにある関節のなかでも特に大きなものです。骨と骨のあいだにある軟骨がクッションの役目を果たすことで足はスムーズに動いています。

股関節の痛みは女性に多く、年齢が上がるにつれて増加傾向にあります。肥満によって股関節に負荷がかかることで、痛みが出ることもあります。また、「臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)」という生まれつき骨盤に異常があり、それによって加齢とともに股関節の痛みが起こることも多くなっています。

股関節は、歩いたり座ったりと普段の生活を送るうえで重要な役割があるため、痛みで思うように動かせなくなると日常生活に支障をきたしてしまいます。

股関節の痛みの原因になる病気とは?

股関節の痛みの原因はさまざまですが、ここでは原因となり得る病気について紹介します。

1.変形性股関節症

股関節の軟骨がすり減り、痛みを感じる病気です。股関節の痛みの原因となり得る病気のなかでも、特に多くみられます。
国内の有病率は1.0~4.3%と言われており、日本の人口から推計すると120万~510万人にいることになります。男性の有病率0~2.0%に対し、女性は2. 0~7.5%とかかりやすい傾向にあります。発症年齢は40~50代ですが、30代のときから痛みを感じる人も珍しくはありません。(※1)
主な原因は、子どもの頃の病気や発育障害の後遺症で、日本整形外科学会のウェブサイト(※2)によると、股関節症全体の80%を占めるとされています。

2.関節リウマチ

自己免疫疾患のひとつで、免疫の異常により関節が変形したり痛みが出たりする病気です。股関節も関節リウマチによって痛みが生じやすくなります。

3.大腿骨頸部骨折

高齢者の骨折のなかで、よく見られる症例です。大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)とは、大腿骨の根元のくぼみの部分。骨折しやすい部位として知られています。ここを骨折すると、立ち上がれなくなるくらい強く痛みます。

4.特発性大腿骨頭壊死症

大腿骨の骨頭(骨盤と接している場所)に血流が十分に届かず、壊死(えし:組織の一部分が死んでしまい、回復しないこと)してしまう病気です。壊死した範囲が大きくなると、強い痛みを感じることがあります。

股関節の痛みに対する検査方法と治療法

股関節の痛みで病院を受診した場合、さまざまな検査方法から原因を特定し、それに合わせて治療を行います。ここでは、大まかな検査方法と治療法をまとめました。

1.検査

問診・触診

痛みがいつからあるのか、どういったときに感じるのか確認します。触診では、医師が股関節を実際に動かしながら状態を判断していきます。

レントゲン

骨の状態に異常がないかチェックします。股関節の痛みがあるときによく行われる検査です。

超音波(エコー)

超音波を使って、からだの組織の異常をチェックします。股関節のなかに水が溜まっていないか、レントゲンでチェックできなかった細かい部分の異常がないかを調べます。

MRI

強力な磁気を使って、関節に異常がないかチェックします。MRIのメリットは、レントゲンでは見えづらい軟骨の状態を調べられたり、さまざまな方向から関節の状態をチェックできたりすることです。

2.治療法

消炎鎮痛剤(内服薬や湿布)

痛みがあると生活に支障がでるので、内服薬や湿布などで痛みを軽減します。

運動療法

股関節の痛みがあると動くのも億劫になりがちですが、そのまま動かないでいると関節周りがかたくなり血行が悪くなってしまいます。そうなると股関節の状態が悪化してしまうので、医師の指導のもと運動やストレッチをします。
必要と判断されれば、理学療法士と一緒に定期的に運動療法を行います。

骨切り手術、人工股関節置換術

こちらの2つの手術は、鎮痛剤や運動療法でも効果が見込めないときに行われます。どちらを行うのかは、股関節の状態や社会的背景(年齢や仕事の有無など)によって判断します。
骨切り手術は、骨の一部を切って回転させることで関節にかかる負担を軽減する手術、人工股関節置換術は、名前の通り人工的に作られた関節と交換する方法です。近年では、人工関節の品質が改善されており、からだの負担が少ない手術法も取り入れられています。

痛みをやわらげたい! 自分でできる対策と注意点

股関節の痛みに対し、自分で工夫できることもあります。ここでは、股関節の痛みを悪化させないために普段の生活で気を付けたいことをお伝えします。

1.適度な運動とストレッチを心がける

運動療法は股関節の動きをよくする効果があるとお伝えしましたが、普段から適度な運動を心がけることで、股関節周りの筋力を維持することができます。
また、股関節の負担になるのが過度な体重です。立ったり歩いたりすることで股関節に負荷がかかります。運動習慣を身に着け体重をコントロールできれば、股関節にかかる負荷を減らせます。ただし、痛みがあるときは無理をしないようにしましょう。

2.イスの生活を増やす

日本は畳の文化があるので、海外に比べて床に座る場面が多くあります。しかし、床に座る動作は股関節を動かす角度が深くなるため、負荷がかかってしまいます。無理のない範囲で、床ではなくイスに座るようにしたり、布団をベッドに変えたりするようにしましょう。

3.痛みを感じたら早めに病院を受診する

股関節に痛みを感じたときにかかるのが整形外科です。股関節の痛みと一言でいっても、原因が違います。痛みを感じたら病院ではなく、マッサージや整体に行くという人もいるかもしれませんが、必ず診察を受けるようにしましょう。まずは原因を特定し、それに対する適切な治療を受けることが大切です。
医師が必要と判断し、運動療法が受けられればマッサージや整体も保険適用になりますし、効果的なリハビリ方法や痛みを軽減させるための工夫なども教えてもらえます。まずは病院に足を向けましょう。

まとめ

股関節の痛みは年齢とともに誰にでも起こり得るもので、珍しい症状ではありません。そのため、つい様子をみたり自分なりの対処をしたりしてしまいがちですが、適切な治療を早めに行うためにも、まずは病院を受診し、原因をつきとめるようにしましょう。

原因に対する治療と並行してセルフケアも大切です。痛みを軽減し、健康で自分らしい毎日を過ごしましょう。

※「令和2年度平均年収と学歴調査

※1 日本整形外科学会、日本股関節学会監修「変形性股関節症診療ガイドライン2016(改訂第2版)」

※2 「変形性股関節症」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる