50代から気をつける病気。予防・対策

「痛みがつらい」「再発が怖い」 働き盛りの罹患率が高い尿路結石 予防策を薬剤師が解説

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尿路結石を予防するための生活は生活習慣病の予防にも役立ちます。不摂生だけが尿路結石の原因ではありませんが、生活習慣を見直して発症・再発を防ぎましょう。

この記事の監修

中西 真理

医薬品卸にて一般の方や医療従事者向けの情報作成に従事。その後、調剤薬局に勤務。現在は、フリーライターとして主に病気や薬に関する記事を執筆。

尿路結石は働き盛りの男性と閉経後の女性に多い病気で、罹患率も年々上昇しています。血尿と激しい痛みで症状に気付くことが多く、あまりの痛みに救急車を呼ぶケースも少なくありません。

1年間に尿路結石に罹患した人の割合(人口10万人中)は、1995年は男性118人、女性46人でしたが、2005年には男性192人、女性79人と増えています(※1、※2)。年々増加傾向が見られていますので2021年の現在は、もっと多くの人がかかっていることがうかがえます。なお、男性の患者は女性の2.5倍多いと推測(※2)されており、罹患率の高い年代は、男性40代、女性50代(いずれも2005年現在)(※1)と、ミドル世代が中心です。

尿路結石は、その名のとおり腎臓から尿道に至る尿路(尿の通り道)に石のような塊(結石)が生じる病気です。結石の大きさは、自然に排出されるごく小さなものから、レーザーなどで破壊して取り出さなければならない大きなものまでさまざまです。しかし、取り出さないまま長期間放置すると腎臓に悪影響が生じるおそれがあります。

また、尿路結石は再発率の高い病気でもあります。とはいえ、日常生活の見直しで再発リスクを抑えることができます。

今回は、尿路結石の原因とその症状、予防のための対策について解説します。

尿路結石の原因と症状

最初に、尿路結石の原因と症状を見ていきましょう。

尿路結石の原因

結石ができる原因は、十分に解明されていません。しかし、以下のようなことが結石の原因として考えられています。

▼尿路結石の原因として考えられること

尿中に排泄される物質の影響

結石の材料となるカルシウム、シュウ酸、尿酸などの過剰排泄

結石ができやすい条件の影響

結石をおさえる成分(マグネシウム、クエン酸)の減少

腎臓や尿路の病気の影響

感染症、奇形、尿の停滞時間が長い

ライフスタイルの影響

動物性たんぱく質の多量摂取、水分摂取量の不足

その他

遺伝、気候(夏にできやすい)、年齢、性別、人種

尿路結石の症状

激痛で知られる尿路結石ですが、結石が腎臓内にとどまっているあいだは多くの場合、特段の症状が現れません。結石が尿の流れによって尿管内に落ちて尿の流れをせき止めたり、腎盂(じんう:腎臓内で尿をためておくところ)への圧力が高まったりすると激痛が生じます。
もっとも、痛みを感じるのは結石のある部分とは限りません。わき腹や背中に痛みが生じる場合もあります。痛みがあまりに強いと、反射で嘔吐することもあります。その他、残尿感や頻尿の症状があらわれたり、血尿が出たりするケースもあります。
痛みが生じやすいのは夜間から明け方にかけて。痛みは通常3~4時間続きます。

尿路結石の治療と再発予防策

ここでは、尿路結石の治療方法や再発予防に向け、個人でできることについて解説します。

治療

痛みに対しては鎮痛薬を使用します。そして、自然排出が可能な結石については、水分摂取をうながして自然と出てくることを待ちます。水分摂取量が少ない場合や水分摂取が難しい場合には、尿量を増加させて結石の排出をうながすために点滴で水分補給を行うこともあります。このほか、結石が降下しやすくなるように体動を利用したり、症状によっては、尿路の緊張をやわらげる薬を使ったりもします。

結石の種類(成分)がわかっている場合は、結石を溶かす薬や結石の原因物質(尿酸など)の生成をおさえる薬を使って、結石がそれ以上大きくならないようにします。
薬などを使っても結石の排出が難しい場合は、衝撃波を使って体外から結石を砕く治療や、内視鏡を使って結石を破砕・摘出する治療が行われます。

再発予防

尿路結石は再発率が高く、治療により尿路から結石が取り除かれても40~60%は再発する(※3)といわれています。しかし、積極的な水分摂取や食生活の改善、また運動によって再発リスクを抑えることができます。

水分は、食事とは別に1日2リットル以上摂取するのが望ましいとされています。就寝中は水分補給ができないため、寝る前に意識して水分をとるようにしましょう。
水分補給に適しているのは、水やお茶類です。紅茶やコーヒーで水分をとることはおすすめできません。ジュースや清涼飲料水、スポーツドリンク、アルコールもしかりです。これらは結石のもととなる成分を尿中に多く排泄させるため、避けたほうがよいでしょう。

食事では、動物性たんぱく質をとり過ぎないようにしましょう。おすすめは和食です。ただし、ホウレンソウ、タケノコなど、シュウ酸を多く含む食品はとり過ぎないようにしてください。一方、シュウ酸の排出に役立つカルシウムはたっぷりとることを心がけましょう。カルシウムは、乳製品や小魚、豆類や緑黄色野菜などに多く含まれています。
なお、ビタミンCの過剰摂取には注意が必要です。ビタミンCは、体内で代謝されてシュウ酸を生成します。食事から摂取する程度の量であれば問題ありませんが、サプリメントなどで過剰に摂取すると再発リスクが高まるおそれがあります。適量を守るようにしてください。

運動は、縄跳びやウォーキング、軽いジョギングなど、からだを上下に動かすものがおすすめです。エレベーターやエスカレーターの利用をやめ、階段を積極的に利用するのもよいでしょう。

健康的な生活で発症・再発を防ぎましょう

尿路結石は予防可能な病気です。体質や遺伝的要素の影響も指摘されていますが、積極的な飲水や食生活・運動習慣の見直しで発症・再発のリスクは抑えられます。

尿路結石を予防するための生活は生活習慣病の予防にも役立ちます。不摂生だけが尿路結石の原因ではありませんが、生活習慣を見直して発症・再発を防ぎましょう。