50代から気をつける病気。予防・対策

シニア世代に多い不眠症 治すにはどうすればいい? 看護師が解説

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年齢とともに不眠のリスクが高くなるのは自然な変化です。まずはセルフケアで日常生活を整え、快適な睡眠習慣が作れるように意識しましょう。不眠は他の病気が原因になっていることもあります。改善されない場合は病院を受診することをおすすめします。

この記事の監修

浅野すずか

看護師として病院や介護の現場で勤務後、子育てをきっかけにライターに転身。看護師の経験を活かし、主に医療や介護の分野において根拠に基づいた分かりやすい記事を執筆。

「寝てもなかなか疲れがとれない」
「早朝に目が覚めてしまい、そのあと眠れない」

このような睡眠の悩みは、シニア世代から多く聞かれます。これは年齢とともに睡眠のリズムや深さに変化が起こるためです。ですが、「もう年だし、不眠は仕方ない」と諦めないでください。生活習慣を見直し、乱れを整えることで改善する可能性があります。

今回は、シニア世代に多い不眠の理由と不眠による病気のリスク、セルフケアの方法についてお伝えします。また、不眠が改善されない場合に睡眠薬を検討する方もいると思いますが、使い方と気を付けたいポイントがあります。これらもあわせてご紹介します。

シニア世代に多い不眠。起こる原因は?

厚生労働省のウェブサイトには、不眠症について以下のように解説されています。

入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害などの睡眠問題が1ヶ月以上続き、日中に倦怠感・意欲低下・集中力低下・食欲低下などの不調が出現する病気

引用:厚生労働省 e-ヘルスネット[情報提供] 「不眠症

これら4つの不眠は、具体的に以下のような状態をいいます。

  • 入眠障害......なかなか寝付けない
  • 中途覚醒......睡眠中に途中で起きてしまい、眠れなくなる
  • 早朝覚醒......朝早い時間に目が覚めて眠れなくなる
  • 熟眠障害......ぐっすり眠った実感がなく、日中も眠くなってしまう

睡眠時間が短いだけでなく、「途中で目が覚めたあとに眠れるか」「ぐっすり眠れたか」も、不眠症をチェックするうえで欠かせないポイントです。

実は不眠に悩むシニア世代は多く、「体内時計が変化し、早寝早起きになる」「眠りが浅くなる」といった特徴があり、データにも表れています。

厚生労働省の調査によると、「夜間、睡眠途中に目が覚めて困った」「起きようとする時刻よりも早く目が覚め、それ以上眠れなかった」人の割合は、年齢が上がるにつれて増加傾向にあります。

厚生労働省 「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要|表7 睡眠の質の状況(20 歳以上、男女別)」の情報を基に筆者作成

ちなみに、若年者と高齢者の睡眠の状態は異なります。高齢者の睡眠は若年者と比べて就寝時間と起床時間が早くなり、深い睡眠が少なく、中途覚醒が多いことが分かっています。

厚生労働省ウェブサイト「e-ヘルスネット[情報提供] 「高齢者の睡眠」」を基に作図

年齢とともに起きる睡眠の変化は自然なことですが、ときに退職や子どもの独立といったライフスタイルの変化、前立腺肥大症や睡眠時無呼吸症候群などの病気によって不眠になることもあります。このように、シニア世代は不眠のリスクが高いといえます。

不眠による影響とは? 病気につながるおそれも

十分に睡眠がとれず、日中にぼうっとしたりだるく感じたりすることは誰にでもあることです。こうした症状は早いうちに解消できればよいのですが、眠れない日が続き不眠になってしまうと、ふとした気のゆるみから事故につながるおそれもいなめません。また、それだけでなく、不眠は下記をはじめとする病気のリスクにもなりえます。

生活習慣病

自律神経のバランスが崩れたり活性酸素が増加したりすることで、生活習慣病になるリスクが高まります。具体的には、高血圧や心筋梗塞、糖尿病などが挙げられます。
入眠困難や中途覚醒・早朝覚醒など不眠症状のある人では、良眠している人と比較して糖尿病になるリスクが1.5~2倍になることを示す厚生労働省のデータもあります。(※)

うつ病

うつ病は、不眠の原因にも結果にもなる病気です。不眠が続くことでストレスが解消されず脳も休まらないことが、うつ病につながることがあります。

不眠対策~まずは生活習慣を見直しましょう

シニア世代は不眠になりやすいといいましたが、打つ手が何もないわけではありません。生活習慣を見直すことが、質の高い睡眠への第一歩になります。
以下にそのポイントをまとめました。ご自身の生活とぜひ比べてみてください。

1.睡眠リズムを一定に保つ

夜ぐっすり眠るための基本は、睡眠リズムを一定に保つことです。夜更かしや昼寝のしすぎは、睡眠リズムを乱してしまいます。就寝時間と起床時間が、毎日できるだけ同じ時間になるように意識しましょう。

2.午前中に太陽の光を浴びる

体内の生活リズムは光によって調整されます。午前中に太陽の光を浴びることで、日中は活動的になり、夜は自然と眠くなります。

3.適度な運動習慣をつくる

日中に適度な運動をすることで心地よい疲労感が得られ、寝付きがよくなります。また、運動にはストレスを和らげる効果もあり、ストレスから起こる不眠への対策にもなります。

4.眠気があるときは無理せず昼寝をする

夜ぐっすり眠るためとはいえ、日中の眠気をがまんするのはつらいものです。このようなときは、無理せず昼寝をするのがおすすめです。ただし、寝すぎてしまうと夜に眠れなくなってしまうので、午後3時前までに30分程度がよいとされています。

5.就寝前のカフェインは控える

ご存じのとおり、カフェインには眠気を覚ます作用や、中途覚醒の原因になる利尿作用があります。1日を通してがまんする必要はありませんが、就寝3~4時間前は飲用を避けたほうがよいとされています。

6.夜はリラックスできるような時間をつくる

副交感神経が優位になることで、眠気がおこります。夜はできるだけリラックスできる時間をつくりましょう。たとえば、以下のような過ごし方がおすすめです。

  • ぬるめのお風呂にゆっくりつかる
  • スマホやテレビは見ない
  • 部屋の照明を落とす
  • 運動はストレッチ程度にする

7.寝酒をしない

寝る前にお酒を飲むと、よく眠れるという方もいるかもしれません。しかし、寝酒は寝付きをよくしても、睡眠が浅くなってしまい中途覚醒を引き起こします。寝酒は不眠対策に逆効果ですので、控えるようにしましょう。

改善しない場合は病院に相談しましょう

さまざまなセルフケアの方法をお伝えしましたが、すべての不眠が必ず改善されるとは言えません。生活習慣を見直しても不眠が改善されない場合は、無理せず病院を受診しましょう。担当になる診療科は、精神科や心療内科です。

治療は、まず不眠の原因を探るための問診から始まります。何かしらの病気が原因で不眠がおきている場合は、病気の治療を優先して行います。また、不眠の状態にあわせて睡眠薬が処方されます。
睡眠薬には「よくないもの」「副作用が心配」など悪いイメージがあるかもしれませんが、医師と相談しながら使用すれば問題ありません。

なお、睡眠薬を処方してもらうとき、服用するときは、以下のポイントに気を付けましょう。

1.不眠の種類や状況を詳しく伝える

不眠には「寝つきが悪い」「眠りが浅い」などさまざまな種類があります。睡眠薬もその症状に合わせて適切に処方してもらえるよう医師にきちんと伝えましょう。

2.車の運転ができるかどうか確認する

睡眠薬の効果時間が長いと日中に眠気を感じる場合があります。服用する睡眠薬が運転禁止なのかどうかを医師に確認し、禁止の場合は運転しないようにしましょう。

3.自己判断でやめない

睡眠薬を飲み始めて眠れるようになると、「睡眠薬をやめてもいいのではないか」と思う方もいるでしょう。しかし、自己判断でやめてしまうと、睡眠薬を飲む前よりも強い不眠状態に陥る「反跳性(はんちょうせい)睡眠」など、思わぬ副作用が出るかもしれません。睡眠薬をやめる場合は、医師に相談しながら徐々に減らすようにしましょう。

 

なお、ドラッグストアでも睡眠薬が販売されていますが、一時的な不眠にのみ使用するのが望ましいでしょう。不眠の原因をきちんと見極めるためにも、できるだけ医師の診察を受けるようにしてください。

まとめ

年齢とともに不眠のリスクが高くなるのは自然な変化です。まずはセルフケアで日常生活を整え、快適な睡眠習慣が作れるように意識しましょう。
また、不眠は他の病気が原因になっていることもあります。改善されない場合は病院を受診することをおすすめします。

病院や睡眠薬へのハードルが高く感じるかもしれませんが、眠れないつらさを我慢する必要はありません。適切な治療を受けて、健やかな毎日を過ごしましょう。

※「令和2年度平均年収と学歴調査

※ 厚生労働省ウェブサイト「e-ヘルスネット[情報提供] 「睡眠と生活習慣病との深い関係