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鎮痛剤の頼りすぎは危険?! つらい頭痛の原因と治し方を薬剤師が解説

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市販の鎮痛剤の使用は、痛みをおさえるのに有効な手段のひとつです。しかし、原因となっているケガや病気などを治癒させるものではありません。頼りすぎることなく、上手に活用して毎日を快適に過ごしましょう。

この記事の監修

中西 真理

医薬品卸にて一般の方や医療従事者向けの情報作成に従事。その後、調剤薬局に勤務。現在は、フリーライターとして主に病気や薬に関する記事を執筆。

頭痛や生理痛など日常的に経験する"痛み"に対し、市販の鎮痛剤を常備している方は少なくありません。リビングくらしHOW研究所の調査によると、8割に近い人が、「頭痛・解熱薬」を常備していると答えています。

リビングくらしHOW研究所「常備薬についてのアンケート|Q1 あなたの家庭で常備している市販薬、衛生用品を次の中から選んでください。」の情報を基に作図

現在、医療用成分のロキソプロフェンを主成分とする市販薬もドラッグストアなどで購入できるようになりました。また近年は、新型コロナウイルス感染症の影響で医療機関の受診を控えるケースも多く、"痛み"だけで病院にかかる方は少ないかもしれません。もちろん市販薬を使ってセルフケアに努めることは、医療費削減や医療をひっ迫させないためにも望ましいことです。しかし、原因がわからない痛みに対し、漫然と鎮痛剤を飲み続けるのは避けなければなりません。鎮痛剤を飲み続けることで予期せぬ副作用が誘発されるおそれもあります。

今回は、鎮痛剤の適切な飲み方と避けるべき危険な飲み方、そして医療機関を受診すべき痛みについて解説します。

鎮痛剤は痛みが出始めたときが飲みどき

まず、鎮痛剤の正しい飲み方について解説します。正しい飲み方を理解することは、副作用を防ぐだけでなく、鎮痛剤の効果を引き出すためにも大切です。

飲むタイミング

鎮痛剤は、痛みを感じ始めたらすぐに飲むようにしてください。"効きが速い"とうたっている鎮痛剤であっても、薬の成分が体内に吸収されて効果を発揮するまでには15分以上かかります。また、痛みが強くなってから薬を飲むと、十分な効果があらわれない場合があります。
痛みをがまんせず、早めにケアする。これが鎮痛剤の効果を引き出すポイントです。

コップ一杯程度の水で飲む

市販の鎮痛剤には水なしで服用できるものもありますが、そのような特別なタイプでない限り、薬はたっぷりの水、できればコップ一杯程度の水で飲んでください。

一緒に飲む水の量が少ないと、薬が十分に溶けきらなかったり吸収が悪くなったりする場合があります。また、薬が食道に貼りついて炎症を起こす"薬剤性食道炎"の心配も出てきます。だからといって、水分なら何でもよいというわけではありません。水以外の飲み物で薬を飲むと、効き方が変わったり副作用が生じたりするおそれがあります。

仕事中など水を飲むのが難しい場面で鎮痛剤を使用したい場合は、水なしで飲めるチュアブルや口腔崩壊錠(口の中で溶けるタイプの錠剤)、液体タイプの鎮痛剤を選ぶとよいでしょう。

市販薬を選ぶ際には痛み止め以外の成分にも注目

市販の鎮痛剤の多くは、副作用を軽減する成分や鎮痛効果を高める成分が一緒に配合されています。購入の際には痛み止め以外の成分にも注目して、使いやすいものを上手に選びましょう。
たとえば、胃が弱い方は胃粘膜保護成分を配合した鎮痛剤がおすすめです。鎮痛剤を飲んだ後にゆっくり休みたい場合は、鎮静成分の入っているものを選ぶとよいでしょう。逆に眠気を避けたい場合は、痛み止め成分のみを配合するシンプルなものを選ぶのが無難です。

▼市販の鎮痛剤に含まれていることが多い成分

鎮痛成分

ロキソプロフェン、イブプロフェン、アセトアミノフェン、アスピリン、イソプロピルアンチピリン(ピリン系)など

鎮痛効果を高める成分

無水カフェインなど

鎮静成分(眠気を起こしやすいもの)

アリルイソプロピルアセチル尿素、ブロモバレリル尿素など

胃を守る成分

酸化マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ヒドロタルサイトなど

こんな飲み方はNG! 避けるべき危険な飲み方

次は、やってはいけない鎮痛剤の危険な飲み方です。鎮痛剤を使用する頻度の高い方は特に、以下に該当する飲み方をしていないかチェックしておきましょう。

用量用法の制限を超えて服用する

「効きが悪いから」「いつもより痛みが強いから」といって定められた量を超えて鎮痛剤を服用するのはNGです。服用間隔が短すぎるのもいけません。
添付文書にある用量用法の制限を超えて薬を服用すると、血液中の薬の濃度が高くなり副作用が生じやすくなります。鎮痛剤による胃腸障害の副作用はよく知られていますが、腎障害や肝障害を引き起こす場合もあるため、絶対に避けてください。

月に10日以上鎮痛剤を使用する

もともと頭痛をよく起こす方が鎮痛剤を頻繁に使うと、頭痛の頻度が増えてきて毎日のように頭痛に悩まされるようになります。これは、薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)と呼ばれる症状です。
市販薬が原因で頭痛が起きている場合、3カ月以上にわたり月に15日以上薬を服用していると、"薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)"と診断されます。しかし、実際には月に10日以上鎮痛剤を使用している場合は要注意です。特にカフェイン配合の鎮痛剤は依存をまねきやすいため、より一層の注意が必要です。
「鎮痛剤を飲む回数が増えてきた」「鎮痛剤を飲んでも効きが悪い」と感じる場合は、早めに医療機関を受診して適切な治療を受けましょう。

鎮痛剤が効かない痛み・原因がわからない痛みに鎮痛剤を使う

鎮痛剤を飲んでも効果が期待できない痛みや原因がはっきりしない痛みに対して、安易に市販の鎮痛剤を使うのはおすすめできません。たとえば、メンタル面の不調で生じる痛み(ストレスによる歯痛など)や神経の障害で生じる痛み(帯状疱疹後の神経痛など)に対して市販の鎮痛剤を使用しても、効果は期待できません。それにもかかわらず薬を飲み続けていると、胃腸障害や頭痛などを誘発するおそれがあります。

また、痛みの背後にがんなどの大きな病気が隠れている場合もあります。このようなケースでは、鎮痛剤で痛みをごまかしているうちに病気が進行してしまうこともあるため、非常に危険です。
市販薬による治療はあくまで応急処置と考え、漫然と鎮痛剤を飲み続けることがないようにしましょう。

飲み合わせの確認をせずに服用する

鎮痛剤に含まれている成分は、風邪薬にもよく使われています。また、医療機関からも同様の成分が処方されることがあります。鎮痛成分の重複を避けるために、必ず飲み合わせのチェックをしましょう。

飲み合わせのチェックは、かかりつけの医師や薬剤師、あるいは市販薬を購入したドラッグストアの薬剤師などに頼めば大丈夫です。その際に、市販薬の添付文書とお薬手帳を持参すると、確認がスムーズになります。

▼市販の鎮痛剤を服用する際にチェックすること

チェック項目

内容

1回の服用量・服用間隔を守って服用している

守らないと、副作用の発生リスクが高まる

1カ月に10日以上鎮痛剤を使っていない

飲み過ぎると"薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)"をまねくおそれあり

痛みに効果がなければ飲むのをやめている

市販薬では対応できない痛みもある。漫然と飲み続けない。

痛みの原因がはっきりしている

鎮痛剤を飲んでも痛みが引かない場合は、がんなどの大きな病気が隠れている場合もある

飲み合わせに問題はない

鎮痛成分の重複服用は、副作用をまねくおそれがある。

医療機関を受診すべき痛みとは

市販の鎮痛剤を常備していても以下の場合には医療機関を受診し、医師の診断を受けましょう。

  • 急な激しい痛み
  • 今まで経験したことのないような痛み
  • 長期間続く痛み

なお、「いつもの痛み」であっても、一度は医療機関でくわしい診断を受けるべきです。頭痛や生理痛などの場合、痛みの原因を治療することで症状がやわらぐこともあります。

▼痛みの内容と、その原因となりうる病気(例)

痛みの内容

原因となりうる症状・病気

頭痛

肩こり、更年期障害、副鼻腔炎、脳腫瘍など

生理痛

子宮内膜症、子宮筋腫、チョコレート嚢胞など

歯痛

虫歯、知覚過敏など

打撲痛

打撲ではなく骨折をしているなど

終わりに

市販の鎮痛剤の使用は、痛みをおさえるのに有効な手段のひとつです。しかし、原因となっているケガや病気などを治癒させるものではありません。頼りすぎることなく、上手に活用して毎日を快適に過ごしましょう。