50代から気をつける病気。予防・対策

足がむずむずする「むずむず脚症候群」の原因は? 特徴と対処法を薬剤師が詳しく解説

この記事をシェアしよう

「むずむず脚症候群」はその名のとおり、脚がむずむずして落ち着かなくなる症状です。むずむず脚症候群は、命にかかわる病気にも関係します。脚の不快感が気になる場合は早めに治療を開始し、心筋梗塞や脳卒中にかかるリスクを抑えましょう。

この記事の監修

中西 真理

医薬品卸にて一般の方や医療従事者向けの情報作成に従事。その後、調剤薬局に勤務。現在は、フリーライターとして主に病気や薬に関する記事を執筆。

「夜、寝ようとすると脚にむずむずする感じがあって眠れない」
「じっとしていると、脚がむずむずして動かさずにはいられない」
このような症状を経験したことはないでしょうか。脚の奥に感じる違和感、それは「むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)」かもしれません。

「むずむず脚症候群」はその名のとおり、脚がむずむずして落ち着かなくなる症状です。米国とヨーロッパ5カ国を対象とした2005年に発表された調査(※1)によると、「週に1回以上、むずむず脚症候群による足の不快感を経験した人」は、日本人では約2%と報告されています。むずむず脚症候群の患者数は40代から徐々に増え始め、60~70代がピークとなります。

Restless Legs Syndrome Prevalence and Impact REST General Population Study (June 13, 2005,Richard P. Allen, PhD; Arthur S. Walters, MD; Jacques Montplaisir, MD, PhD; et al)」の情報を基に作図

むずむず脚症候群にかかると、脚の違和感から十分な睡眠がとれず、日常生活に支障が生じることもあります。また、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高くなることも指摘されています。

今回は、むずむず脚症候群の特徴や原因、そして日常生活でできる対処法をいくつか紹介します。

むずむず脚症候群の特徴と健康への影響

むずむず脚症候群には、以下の4つの特徴があると言われています。

脚の不快感と、脚を動かしたいという強い欲求がある

脚の不快感は皮膚表面ではなく脚の奥で感じます。不快感は個人差が大きく、かゆみやほてりとして感じる場合や、「虫が這う感じ」と表現する場合もあります。また、「脚を動かしたい」という強い欲求があります。

ジッとしているときに症状があらわれたり強くなったりする

むずむず脚症候群の症状は、横になったり座っていたりといったリラックスしているときにあらわれやすく、症状も強くなる傾向があります。一方、仕事中など集中しているときにはあまり気になりません。

脚を動かすと症状が軽減したり消失したりする

脚を触る、こする、足踏みをする、歩き回るなどすると、不快感が軽くなったり、症状が消えたりします。

夕方~夜に症状があらわれたり強くなったりする

症状は、夕方から夜にかけてあらわれるのが一般的です。ただし、病気が進行すると昼間にも症状があらわれる場合があります。

 

脚の不快感は就寝時にあらわれやすいため、不眠の原因になります。十分な睡眠がとれなくなると、昼間に強い眠気を感じたり、仕事に支障が生じたりすることもあります。また、メンタル面に影響が生じてうつ症状を訴えるケースも少なくありません。

さらに、むずむず脚症候群の人は交感神経の活動が活発な傾向があるため、心拍数が増えたり血圧が高くなったりしがちです。そのため、心筋梗塞や脳卒中などを発症するリスクが通常の2倍以上になるともいわれています。

症状の出る原因は脚以外の場所にある

むずむず脚症候群の原因は、明らかになっていません。しかし、現在のところ、ドパミン(※)の機能障害や、遺伝、鉄の欠乏などが関与していると考えられています。

※脳内の神経細胞が分泌する物質のひとつ。筋肉などの運動や感覚を調節する働きを持つ。鉄分は、体内のドパミン生成に欠かせないミネラル。

また、鉄欠乏性貧血や透析、糖尿病、リウマチ、パーキンソン病などが原因で、むずむず脚症候群が生じる場合もあります。過多月経や妊娠による鉄分不足、服用薬が原因となることもあります。

むずむず脚症候群を引き起こす可能性がある病気・薬剤など(※2)

  • 病気:鉄欠乏性貧血、末期腎不全(透析中)、うっ血性心不全、パーキンソン病、脊髄の病気、関節リウマチ、多発神経炎など
  • 薬剤:抗精神病薬、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬(アレルギーや鼻症状の薬)など
  • その他:ビタミンB不足、葉酸不足、妊娠中、カフェインの過剰摂取、飲酒、喫煙など

気になる場合は生活習慣の改善を

むずむず脚症候群の症状は、生活習慣の見直すことで改善されることがあります。

嗜好品の見直し

タバコやアルコールは、症状を悪化させる場合があります。茶葉やコーヒー、栄養ドリンクなどに含まれるカフェインも同様です。特にカフェインは、過剰に摂取すると鉄分の吸収を阻害します。また、タバコ・アルコール・カフェインの摂取は睡眠の質の低下にもつながるため、夕方以降はできるだけ避けるのが無難です。

鉄分不足に注意する

栄養バランスの良い食事を心がけ、鉄分が不足しないようにしましょう。鉄分は、レバー類や魚の赤身部分、小松菜やヒジキ、大豆製品などに多く含まれています。植物性の鉄分は、果物などに多く含まれるビタミンCと一緒に摂取すると吸収されやすくなります。
なお、閉経前の女性は月経による出血で鉄分が失われます。鉄欠乏性貧血がある場合は、医療機関で鉄剤を処方してもらいましょう。

適度な運動を心がける

運動不足も運動のし過ぎも、症状を悪化させることがあります。ウォーキングやストレッチなど適度な運動をして症状の軽減を図りましょう。寝る前に少し歩いたり、脚を軽くマッサージしたりするのもおすすめです。

脚の症状から意識をそらす

むずむず脚症候群は、じっと座っているときに症状があらわれやすくなります。座っているときは、好きなテレビ番組を見たり、家族や友人との会話を楽しんだりして、脚から意識を反らしましょう。趣味に没頭するのも良い方法です。ほんの少し注意をそらすだけで、脚の不快感が気になりにくくなります。

終わりに

日常生活の見直しで症状が改善しない場合は、薬物治療の開始も考慮しましょう。ただし、むずむず脚症候群を治療できる市販薬は販売されていません。医療機関を受診し、症状に応じた治療を受けるようにしましょう。薬物治療では、ドパミン神経の働きを補う薬や神経の過剰な興奮をおさえる薬が使用されることが多くなります。

むずむず脚症候群は、命にかかわる病気にも関係します。脚の不快感が気になる場合は早めに治療を開始し、心筋梗塞や脳卒中にかかるリスクを抑えましょう。