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救急車を呼んでいいのはどんなとき?  「#7119」の利用も検討しよう

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救急車は、急病や大きなケガで緊急の治療が必要な人たちを医療機関に搬送する際に利用するものです。しかし、救急車の不適切な利用は、本当に救急医療が必要な人の命を奪うことにもなりかねません。救急車を呼ぶべき場合をしっかり理解し、大切な人の命を守れる社会を作っていきましょう。

この記事の監修

中西 真理

医薬品卸にて一般の方や医療従事者向けの情報作成に従事。その後、調剤薬局に勤務。現在は、フリーライターとして主に病気や薬に関する記事を執筆。

救急車は、急病や大きなケガで緊急の治療が必要な人たちを医療機関に搬送する際に利用するものです。
近年、救急車の出動件数・搬送人員数が増加傾向にあり、119番通報から現場到着までの時間・病院収容までの時間も年々長くなっています。

政府広報オンライン「暮らしに役立つ情報>どんな場合に、どう呼べばいいの?もしものときの救急車の利用法|グラフ:救急自動車による119番通報から現場到着・病院収容までの時間」から引用

また、「病院の薬がなくなった」「今日が入院予定日だからタクシー代わりに」「子どもが転んでひざを軽くすりむいた」など、急を要しない安易な理由で救急車を呼ぶ人も少なからず存在し、社会問題となっています。

コロナ禍で医療崩壊の危機が叫ばれているいま、救急車の不適切利用は絶対に避けなければなりません。だからといって、本当に必要なときにまで救急車の利用をためらっていては、助かる命も助からなくなってしまいます。

今回は、救急車を呼ぶべき場合を大人と子どもに分けて解説します。
判断に迷う場合の相談窓口や、救急車を呼んでから搬送されるまでの流れにもふれますので、万が一に備えてぜひご一読ください。

救急車を呼んでいいのはこんなとき

生命にかかわる病気やケガが疑われる場合は、迷わず救急車を呼んでください。ただし、高齢者は自覚症状がはっきりしないことがあります。また、子どもの場合は症状をうまく表現できないことも考えられます。したがって、本人の訴えだけに頼らず、周囲の人が協力し合って救急車の要否を判断しましょう。

救急車をすぐに呼ぶべき症状・状態【大人の場合】

  • 突然の激しい頭痛
  • 突然の発熱(高熱の場合)
  • 支えなしで立てないほどの急なふらつき

顔面

  • 顔の半分が動きにくい、しびれる
  • 笑ったときに、口や顔の片側がゆがむ
  • ろれつが回らない、うまく話せない
  • 顔色が明らかに悪い

  • 視野が狭まる
  • 突然、物が二重に見えるようになる

胸や背中

  • 突然の激痛
  • 突然の息切れ、呼吸困難
  • 胸の中央がしめつけられるような痛み・圧迫されるような痛みが2~3分続く
  • 痛む箇所が移動する

おなか

  • 突然の激しい腹痛
  • 激しい腹痛が続く
  • 吐血

便

  • 便に血が混ざる
  • 真っ黒な便が出る

手足

  • 突然のしびれ
  • 突然、片側の腕や脚に力が入らなくなる

意識の状態

  • 意識がない、呼び掛けても返事がない
  • 意識がもうろうとしている
  • ぐったりしている

けいれん

  • けいれんが続いている
  • けいれんが治まっても、意識が戻らない

吐き気

  • 冷や汗が出るほどのひどい吐き気

飲み込み

  • 物がのどに詰まり呼吸が苦しい、意識がない

ケガ・やけど

  • 大量の出血をともなうケガ
  • 範囲の広いやけど

事故

  • 交通事故や転倒で強い衝撃を受けた
  • 水に溺れている
  • 高いところから落ちた

政府広報オンライン「暮らしに役立つ情報>どんな場合に、どう呼べばいいの?もしものときの救急車の利用法」を基に筆者作成

救急車をすぐに呼ぶべき症状・状態【子どもの場合】

  • 頭をひどく痛がり、けいれんがある
  • 頭を強くぶつけて出血が止まらない、意識がない、けいれんがある

顔面

  • 唇が紫色になっている
  • 顔色が明らかに悪い

  • 激しい咳、「ぜーぜー」と聞こえる呼吸で苦しそう
  • 呼吸が弱い

おなか

  • 激しい下痢・嘔吐で水分がとれず、食欲がなく、意識がはっきりしない
  • 激しい腹痛で苦痛を訴える
  • 嘔吐が止まらない

便

  • 便に血が混ざる

手足

  • 手足が硬直している

意識の状態

  • 意識がない、呼び掛けても返事がない
  • 意識がもうろうとしている

けいれん

  • けいれんが続いている
  • けいれんが治まっても、意識が戻らない

飲み込み

  • 物がのどに詰まり呼吸が苦しい、意識がない

じんましん

  • 虫に刺され全身にじんましんが出て、顔色が悪い

ケガ・やけど

  • 大量の出血をともなうケガ
  • 範囲の広いやけど・痛みのひどいやけど

事故

  • 強い衝撃をともなう交通事故
  • 水に溺れている
  • 高いところから落ちた

3カ月未満の乳児

  • 様子がいつもと明らかに違う

政府広報オンライン「暮らしに役立つ情報>どんな場合に、どう呼べばいいの?もしものときの救急車の利用法」を基に筆者作成

救急車を呼ぶべきか判断に迷う場合

救急車を呼ぶべきか判断に迷う場合は、消防庁提供の全国版救急受診アプリ「Q助(きゅーすけ)」を利用しましょう。あてはまる症状を選択していくと、緊急度に応じた対応が表示されます。そして緊急性が高い場合は、アプリから119番に電話できます。

口頭で症状の相談をしたい場合は、救急安心センター事業「♯7119」を利用しましょう。ただし、「♯7119」を利用できる地域は限られています。

政府広報オンライン「暮らしに役立つ情報>どんな場合に、どう呼べばいいの?もしものときの救急車の利用法|「#7119」を設置している地域(令和2年10月現在)」からの転載

「♯7119」を利用できない地域では、代わりとなる医療相談窓口が自治体に設けられていることもあるので、あらかじめチェックしておくことをおすすめします。

なお、夜間や休日の子どもの急病などは、こども医療電話相談「♯8000」をご利用ください。こちらは全国共通番号です。

「♯8000」に電話すると各都道府県の相談窓口に転送され、小児科医や看護師によるアドバイスが受けられます*3。

▼全国版救急受診アプリ「Q助(きゅーすけ)

▼救急安心センター事業(一部地域のみ)
電話番号:♯7119

▼こども医療電話相談(全国統一番号・ただし対応時間は自治体により異なる)
電話番号:♯8000

救急車を呼んでから搬送されるまでの流れ

救急車を呼んでから搬送されるまでの流れについても知っておきましょう。

119番に電話したときに聞かれること

119番に電話すると、指令員が必要なことを順番に確認します。あわてず、わかる範囲で正確に伝えましょう。

これらのほか、持病やかかりつけ病院などを聞かれることもあります。万が一に備え、家族や身近な人同士で情報を共有しておくようにしましょう。

救急車到着までに用意するもの

救急車を呼んだら、以下のものを用意しましょう。

  • 保険証
  • 診察券(あれば)
  • お金
  • 普段飲んでいる薬
  • お薬手帳
  • 靴(帰宅時に必要)

乳幼児の場合は、以下のものも用意しましょう。

  • 母子健康手帳(母子手帳)
  • (必要に応じ)紙おむつや哺乳瓶
  • タオル

到着した救急隊員に伝えること

救急隊員が到着したら、スムーズな搬送のために以下のことを伝えましょう。

  • 事故の状況や具合が悪くなった経緯
  • 119番に電話してから救急車が到着するまでの変化
  • 応急手当の内容(手当てをした場合)
  • 救急搬送される方の情報(持病の有無・かかりつけ医療機関・普段飲んでいる薬・医師の指示など)

持病やかかりつけの医療機関、普段飲んでいる薬、医師の指示などは、あらかじめメモを作成していつでも持ち出せるようにしておきましょう。お薬手帳に書き込んでおくのも方法のひとつです。このような情報は、地震などの災害時にも大いに役立ちます。

救える命を救うために! 救急車の適正利用を心がけましょう

消防庁の発表によると、救急車で搬送される人の半数近くが入院の必要のない軽症患者です。

▼傷病程度別の搬送人員数構成比

政府広報オンライン「暮らしに役立つ情報>どんな場合に、どう呼べばいいの?もしものときの救急車の利用法|傷病程度別の搬送人員数構成比」からの転載

なお、「軽症」のなかには、自分で病院へ行くことはできないものの入院は必要でないと判断された骨折なども含まれます。そのため、"軽症=不要不急"と断じることはできません。しかし、救急車の不適切な利用は、本当に救急医療が必要な人の命を奪うことにもなりかねません。その救急医療を必要とする人が、あなた自身だったら、あるいはあなたにとってかけがえのない人だったら......どうしますか。

救急車を呼ぶべき場合をしっかり理解し、大切な人の命を守れる社会を作っていきましょう。