50代から気をつける病気。予防・対策

動脈硬化に心筋梗塞......怖い病気を予防するために大事な「血管年齢」の考え方とは

50代から気をつける病気。予防・対策

血管年齢とは、簡単にいうと「血管のしなやかさ・軟らかさ」のことです。血管年齢が高いと、脳や心臓の病気で命を落としたり、からだの自由が利かなくなったりします。生活習慣病や喫煙などに対する対策をして血管年齢を若く保ちましょう。

【執筆者】中西 真理

人は、だれでも年齢を重ねれば老いるもの。しかし、からだのおとろえは、日々の食事の内容や運動習慣、また持病などによって変わります。同じことが「血管」にもいえます。

血管も年齢とともに老化しますが、血管の状態は食習慣や運動などの影響を大きく受けます。実年齢が若くても、生活習慣病などにかかっていて血管の健康状態が悪い人は、心疾患や脳血管障害を発症するリスクが高くなります。一方、高齢であっても血管に悪影響を与える持病のない人は、その後も長く健康的な人生を楽しむことができます。

ここで着目すべきは、実年齢ではなく「血管年齢」です。血管年齢とは、動脈硬化の進行度を推測する指標の1つですが、簡単にいうと「血管のしなやかさ・軟らかさ」のことです。血管年齢を測定する方法はいろいろありますが、血管年齢が高いと動脈硬化の進行が早いといわれています。

▼血管年齢を測定する方法

血圧から計算

  • 平均血圧(=拡張期血圧+(収縮期血圧-拡張期血圧)/3)が90以上の場合は細い血管が硬め
  • 脈圧(収縮期血圧-拡張期血圧)が60以上の場合は太い血管が硬め

脈波(心臓の拍動で血管が振動して発生する波)や血圧などから測定

上腕と足首の血圧や脈波から解析する方法、指先の脈波から解析する方法などがある

頸動脈の超音波(エコー)検査を利用

頸動脈の状態(厚さ・硬さ・詰まり具合など)をエコーで調べる

今回は、血管年齢が高いことで生じうる問題と、血管年齢が高くなる原因、そして血管年齢の若さを維持するための生活習慣などを紹介します。

血管年齢が高いと何が問題なのか

前述のように、血管年齢は血管のしなやかさ・軟らかさを表すものです。逆にいえば、「血管年齢が高い」ということは、血管が硬くぼろぼろになっている状態といえます。

老化した血管の内側にキズなど何らかの障害が生じると、その部分に悪玉コレステロールが入り込み、脂肪でできた軟らかいこぶのようなもの(プラーク)を形成します。このプラークが大きくなると血管の内径が小さくなるため、血流が滞るおそれも。プラークが壊れて血管に詰まってしまうと、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすことがあります。また、脳などにある細い血管が硬くもろくなってしまうと高い血圧に耐えられなくなり、血管が破裂する脳出血を起こすリスクが高まります。
つまり、血管年齢が高いと、脳や心臓の病気で命を落としたり、からだの自由が利かなくなったりする怖さがあるのです。

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血管年齢が高くなる原因

血管年齢が高くなる原因として、加齢のほか、糖尿病や高血圧、脂質異常症などが挙げられます。これらは、いわゆる生活習慣病と呼ばれるもの。メタボリックシンドロームとも深く関係するものです。

糖尿病になり、血糖値の高い状態が続くと、細い血管に障害が生じて血流が悪くなります。また、太い血管の血管壁がどんどん厚く硬くなり、血管の内側にプラークができることも。高血圧では、血管にかかる圧力が増大するため、血管に対する負荷が大きくなります。さらに脂質異常症では、血液中に増えた悪玉コレステロールがプラークを形成し、血液の流れを妨げます。

このほか、喫煙やストレスなども血管の健康状態を悪化させます。喫煙には血圧を上昇させる作用だけではなく、善玉コレステロールを減らす、血管の内側を傷つける、血栓を作りやすくするなどの作用があります。
ストレスにも注意を払いましょう。ストレスは血圧を上昇させ、血管への負担を増大させます。そして、肥満もまた、血圧を上昇させる因子といえます。

▼血管の老化に関与する因子

危険因子

血管の老化に与える影響

糖尿病

血管内部に障害を与える、血管が厚く硬くなる、プラークができる、生活習慣病を合併しやすい など

高血圧

血管にかかる負荷が大きくなる、血管が厚く硬くなる など

脂質異常症

プラークができる など

喫煙

血圧が上がる、血管内部に障害を与える、血栓ができやすくなる など

ストレス

血圧が上がる、血栓ができやすくなる など

肥満

血圧が上がる、生活習慣病を合併しやすい など

いま現在、血管年齢が若い人でも、生活習慣病や喫煙、ストレスなど血管の老化にかかわる因子が重なると、数年後には血管年齢が実年齢以上になってしまうおそれがあります。また、血管年齢が若くても、測定方法によってはプラークの存在まで、正確に予測できない可能性があります。

血管年齢が実年齢よりも若くても油断せず、血管の老化を早める因子をできるだけ取り除くようにしましょう。

血管年齢を若く保つ方法

血管年齢を若く保つには、危険因子である生活習慣病や喫煙などに対する対策が必要です。そのためには、食事の内容や運動習慣などを見直すことが有効です。

食事では、野菜をたっぷり食べて食物繊維を積極的に摂取しましょう。食物繊維は、白米を玄米にする、パンは全粒粉パンを選ぶようにする、といった方法でも摂取量を増やすことができます。食物繊維を摂取すると、糖や脂質の吸収が穏やかになり、食べすぎを防ぐ効果も期待できます。
また、タンパク質は脂肪の少ない赤身の肉や魚、大豆製品などで補うようにしましょう。特にイワシやサバなどの青魚は、血圧の上昇やコレステロールなどの増加をおさえる成分を豊富に含むのでおすすめです。
このほか、血圧上昇との関係が指摘されている食塩の摂取量を減らすこと、アルコールの過剰摂取を避けることも大切です。

運動は、動脈硬化の進行をおさえるだけではなく、肥満の解消や体力の維持にも効果的です。おすすめは、ウォーキングや水泳などの有酸素運動です。運動をする時間がとれない場合は、通勤時にひと駅前で降りて歩く、昼食時に少し離れたコンビニに買い物へ行く、スーパーマーケットでの買い物ではカートを使わないようにする、などの工夫で運動量を増やすことができます。

喫煙習慣のある人は禁煙を目指しましょう。喫煙者では、心臓や脳、首などの血管の硬化、つまり血管の老化が進みやすいことが知られています。その一方で、禁煙すると狭心症や心筋梗塞、脳梗塞のリスクを減らすことができます。喫煙は、呼吸器疾患や肺がんなどに罹患するリスクも高めます。

なお、すでに糖尿病や高血圧、脂質異常症などに対する薬物治療を開始している人でも、食事・運動・生活習慣の改善は必要です。薬は治療を助けるものであって、不健康な生活を維持するためのものではありません。

すでに生活習慣病にかかっている人でも、血管の老化を防ぐことは可能です。できるだけリスクを減らし、血管年齢を若く保つようにしましょう。

執筆者

中西 真理

公立大学薬学部卒。薬学修士。

医薬品卸にて一般の方や医療従事者向けの情報作成に従事。その後、調剤薬局に勤務。現在は、フリーライターとして主に病気や薬に関する記事を執筆。