50代から気をつける病気。予防・対策

肺気腫は治らない? タバコとの関係と予防に向けた対策

50代から気をつける病気。予防・対策

肺気腫は治癒しない病気ではありますが、早期に治療すれば症状を緩和できます。少しでも長く健康に過ごすため、現在タバコを吸っている人は禁煙するようにしましょう。難しければ、禁煙外来を利用するのも1つの方法です。

【ライタープロフィール】浅野すずか

タバコはさまざまな病気の原因になりますが、そのなかのひとつが「肺気腫」です。息苦しさや咳などの症状があり、肺気腫そのものを完治させる治療法はありません。
家族のなかにヘビースモーカーの人がいると、「このままタバコを吸い続けたら肺気腫になるのではないか」「肺気腫になったら助からないのではないか」と心配になりますよね。

そこで今回は、肺気腫とはどのような病気なのかをはじめ、その原因と症状、治療法や予後について、予防に向けた対策と家族の関わり方についてまとめました。

肺気腫は命に関わる病気ですが、予防に向けた対策法もあります。健康的な生活をできるだけ長く続けるために、肺気腫について理解を深めましょう。

肺気腫とはどんな病気?

肺気腫は、肺の組織が壊れて呼吸機能が低下する病気です。私たちが吸った空気は、気管、気管支、細気管支、肺胞の順番を通ってからだに取り入れられます。肺気腫になると、酸素と二酸化炭素の交換を行う「肺胞」が壊れるので、息苦しくなります。

肺気腫は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)のひとつです。厚生労働省が推進する「健康日本21(第二次)」では、がんや糖尿病などとともに、重点的に対策が必要な疾患としてCOPDを定めています。

健康寿命をのばそう!Smart Life Project「COPD(慢性閉塞性肺疾患)

厚生労働省の平成29年(2017年)10月のデータ(※1)によると、COPDの総患者数は全国で22万人にのぼり、その内訳は、男性15万4,000人、女性6万6,000人。年齢が高くなればなるほど、患者数は多くなっていく傾向にあります。

肺気腫の原因

肺気腫の主な原因はタバコです。肺の機能は年齢が高くなるにつれて徐々に低下しますが、タバコによってさらにダメージを受けます。そのため、年齢とともに患者数が増える傾向があります。なお、COPD患者の90%が喫煙者といわれています(※2)。喫煙以外の原因として、受動喫煙、大気汚染、職業での塵埃(じんあい)などが挙げられます。

肺気腫の症状

肺気腫の代表的な症状は、「動作時の息切れ(特に、階段をのぼるときに起こるという訴えがあります)」「咳」「痰」の3つです。

初期は無症状のことが多く、ゆっくり進行するので、肺気腫に気づかない人もいます。どの症状も肺気腫特有のものではなく、風邪や疲れなど軽度の不調であると勘違いしやすいことも、診断が遅れる原因のひとつです。なかには、体力が低下し、体重が減る人もいます。息苦しいとエネルギーの消費が多くなるため、痩せやすくなります。
また、肺気腫は肺のみならず、全身に影響をおよぼすと指摘されています。心疾患や糖尿病などを併発している人も多いため、呼吸機能以外のチェックも必要です。

肺気腫の治療と予後

肺気腫の怖いところは、発症したら治らないことです。肺の組織は、1度壊れたら元には戻りません。しかし、病状の悪化を防いだり、遅らせたりすることはできます。ここでは、発症後の治療法や予後について解説します。

治療法

禁煙が基本です。薬で症状を緩和する治療が行われ、気管支拡張薬やステロイドの吸入薬などで呼吸を楽にし、痰を出しやすくします。また、並行してリハビリテーションを行われ、そこでは呼吸が楽になる方法を学びます。呼吸で使う筋肉を鍛えることで息切れしにくくなり、日常生活が楽になります。
重症の場合は、在宅酸素療法を導入します。在宅酸素療法とは、鼻に管(カニューレ)を装着し、酸素を吸入する治療法で、日常生活を送りながらできます。在宅酸素療法によって低酸素状態が緩和されるので、呼吸が楽になり病状の悪化を防ぎます。

日常生活での注意点

呼吸状態の悪化を防ぐため、感染症に注意が必要です。インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンを接種し、予防します。体重減少を防ぐため、バランスの良い食事をとりエネルギーを十分に補給することが大切です。
息切れがあると、動作が億劫になってしまいます。しかし、過度の安静は筋力低下につながり、より症状が悪化します。症状を薬でコントロールしたうえで適度な運動を行い、呼吸機能を強化します。

予後

肺気腫は、重症化による呼吸不全やインフルエンザなどの感染症をきっかけに亡くなることもあります。下のグラフをみると、死亡者数は徐々に増えていることが分かります。

厚生労働省「人口動態調査 結果の概要|各年 死因簡単分類別にみた性別死亡数・死亡率(人口10万対)」の情報を基に作図

できるだけ防ぎたい! 肺気腫の対策と家族の関わりかた

肺気腫は、発症すると元のように治ることはありません。そのため、できるだけ予防することと、発症したら早期に治療することがポイントです。具体的な対策と、家族の関わり方をまとめました。

できるだけ早く禁煙する

なによりも肺気腫の一番の原因であるタバコをやめることが大切です。少しずつ減らすより、一気にやめたほうが成功しやすいといわれています。しかし、本人の力だけで禁煙するのは大変です。家族も協力しましょう。
気を紛らわせるためにガムやコーヒーを用意する、気分転換に外出に誘うなど、タバコ以外に意識が向けられるようにしてみてください。そして、禁煙が1日でも長く続いたら褒めてあげましょう。家族からの応援が自信につながります。早く禁煙すればするほど、呼吸機能の低下を遅らせることができます。

禁煙外来を受診する

禁煙にチャレンジしたものの、うまくいかないことがあるかもしれません。その場合は、禁煙外来を受診しましょう。医師の診察に基づいて禁煙補助薬が処方されるので、イライラや頭痛などの離脱症状を和らげながら禁煙できます。
また、一定の条件を満たした人であれば、基準を満たした施設で健康保険を使い治療が受けられます。自己流での禁煙が難しいようであれば、家族から禁煙外来の受診を提案してみるのも禁煙に向けた1つの方法です。

早期発見に努める

肺気腫の進行をゆるやかにするため、早い段階で症状に気づくことが大切です。しかし、動作時の息切れや痰などは「たまたまだろう」と放置しやすく、受診が遅れる原因になります。喫煙歴があり、症状がある場合は、肺気腫を疑って早めに病院を受診しましょう。本人がなかなか受診したがらない場合は、早期発見の重要性を家族から伝えてみてください。
また、「COPD検診」を実施している自治体や健診センターがあります。可能であれば検診を受け、肺気腫の早期発見に努めましょう。

まとめ

肺気腫は治癒しない病気ではありますが、早期に治療すれば症状を緩和できます。少しでも長く健康に過ごすため、現在タバコを吸っている人は禁煙するようにしましょう。
難しければ、禁煙外来を利用するのも1つの方法です。
家族もタバコの影響や肺気腫について理解を深め、禁煙と早期発見に協力していきましょう。

【参照サイト】

※1 厚生労働省「平成29年(2017)患者調査の概況 5 主な傷病の総患者数」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/17/dl/05.pdf

※2 健康寿命をのばそう!「Smart Life Project「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」
https://www.smartlife.mhlw.go.jp/disease/copd/

ライタープロフィール

浅野すずか

フリーライター

看護師として病院や介護の現場で勤務後、子育てをきっかけにライターに転身。看護師の経験を活かし、主に医療や介護の分野において根拠に基づいた分かりやすい記事を執筆。