50代から気をつける病気。予防・対策

誰もがかかる白内障 老後のために今からできる予防法とは

50代から気をつける病気。予防・対策

白内障は、日本人の50代の3~5割強、80代のほぼ100%が患っていると言われるほど有病率の高い病気です。「高齢になったら白内障を避けては通れない」と考えて、予防や早期発見・早期治療を心がけることが大切です。

【ライタープロフィール】遠藤愛

中高年にさしかかり、老眼や白内障といった目のトラブルが気になる方も多いのではないでしょうか。
一方で、「目のかすみ」「ものがダブって見える」などの症状があっても、一時的だったり症状が軽かったりすると「目の疲れ」「年のせい」と見過ごしてしまいがちです。
ところが、このような目の違和感が「白内障」の初期症状で合った場合、治療が遅れることで病状が悪化し、日常生活に支障をきたす恐れもあります。
今回は、加齢とともにかかりやすくなる白内障の原因と症状、治療について解説します。

白内障は老化現象のひとつ

家族や周囲の方が、「白内障で毎日の目薬が欠かせない」「白内障手術を受けることになった」と言っているのを耳にしたことはないでしょうか?
じつは、白内障は、日本人の50代の3~5割強、80代のほぼ100%が患っている(※)と言われるほど有病率の高い病気です。

白内障は、文字通り「目の中が白くなる病気」として知られ、次のように定義されます。

目の水晶体を構成するたんぱく質が変性し、黄白色または白色に濁ることにより発症する病気です。

厚生労働省 e-ヘルスネットより

「白内障は水晶体が濁る病気」ということはわかりましたが、それによって目がかすんだり、ダブって見えたりするのはなぜでしょうか? 白内障についてさらに詳しく知るためには、水晶体の働きを理解する必要があります。

眼球の解剖図
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水晶体は「カメラのレンズ」に例えられ、目の表面にある角膜とともに外部から入った光を屈折させ、ピントを調整して網膜に映し出す働きがあります。

シンプルな目(水晶体と網膜と光)の断面図(正視、近視、遠視力)のイラスト、gif画像
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本来は無色透明で光をよく通しますが、白く濁ると光を十分に通すことができません。すると、目に映るものや景色がぼんやりとかすんで見えるようになります。また、水晶体の中心部分が濁って硬くなると、光の屈折が強くなり、網膜より前の位置で像を結ぶ「近視」となります。

シンプルな目(水晶体と網膜と光)の断面図(正視、近視、遠視力)のイラスト、gif画像
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さらに、ものがダブって見える「乱視」は、濁った水晶体が光を乱反射させることが原因です。
このように、ものを見るために重要な役割を担う水晶体が濁り、視力障害を起こすのが白内障の実態です。

白内障の原因には、生まれつき、ケガ、糖尿病などがありますが、ほとんどが加齢にともなう生理的な変化(老化現象)だと言われています。80歳を過ぎるとほぼ100%の方が白内障を患うことからもわかるように、「高齢になったら白内障を避けては通れない」と考えて、予防や早期発見・早期治療を心がけることが大切です。

白内障の症状

多くの病気がそうであるように、白内障もなるべく早期に発見し、適切な治療を受けることが大切です。そのためには、白内障の症状にいち早く気づく必要があります。
代表的な初期症状には、次のようなものがあります。

  • 目のかすみ
  • 光が異常に眩しく感じる
  • ものがダブって見える

病状の進行によって現れる症状もあります。

  • 明るい時間帯にものが見えにくい
  • 目を開けているのがつらい
  • 目の痛み、頭痛

多くの場合、症状が急激に進行することは珍しく、少しずつ悪化します。
そのため「普段の見え方」に慣れてしまい、病状の悪化に気づきにくいのが白内障の特徴です。初期の段階では外見的な変化(瞳の混濁)もないため、近くいる家族でさえ気づかないことも多いのです。

白内障は「ものが見えにくい」「字が読みにくい」といった日常生活の不便さだけでなく、それを起因とした引きこもりや転倒のリスクをはらんでいます。「以前のように本や新聞を読まなくなった」「日中の外出を拒むようになった」など、周囲の人が変化に気づくことで白内障の発見につながることもあります。「年のせいかな?」と楽観視せず、ある程度の年齢に差し掛かったら、一度眼科を受診されると良いでしょう。

白内障の予防と治療法

多くの中高年層がかかる病気でありながら、発見しにくく、ゆっくりと悪化するのが白内障の特徴です。
目のトラブルは日常生活や人間関係に大きく影響するため、ほとんどの方が「できることなら白内障にはなりたくない」と考えることでしょう。

水晶体の濁りは加齢による生理的変化のひとつであるため、年を重ねれば誰もがいずれは白内障になります。
「では、白内障を予防することは無理なのか?」と言われるとそうでもなく、いくつかの心がけによって老化以外の要因を排除することで、発症を遅らせることは可能です。

白内障発症のリスクを高める危険因子として、喫煙、紫外線、活性酸素、アルコールなどがあります。特に喫煙は米国公衆衛生総監報告においても白内障を引き起こすと判定されています。

厚生労働省 e-ヘルスネットより

白内障を予防するためには、これらの要因をなるべく回避する必要があります。
そのなかでも、普段の生活でとくに注意してほしいポイントは次の2つです。

紫外線を予防する

強すぎる紫外線は、肌だけでなく目にもダメージを与えます。紫外線が強くなる初夏から真夏にかけてはもちろんのこと、1年を通して紫外線を予防することが大切です。
最近は屋外でサングラスを着用する方が増えてきましたが、それで十分とは言えません。紫外線はサングラスの隙間からも入ってくるため、つばの広い帽子で日差しを防ぐようにしましょう。

糖化・酸化ストレスを予防する

「糖化」「酸化」は、ともに老化因子として知られています。
糖化は血液中の糖がたんぱく質と結びつき、細胞を劣化させる現象です。また、糖化によって作られる「AGE」という物質がからだの酸化を促すこともわかっています。
私たちはエネルギーの大半を糖質に頼っているため、糖化を完全に防ぐことはできません。しかし、食生活に気をつけて糖化を抑制することは可能です。

一方、活性酸素によってからだの細胞が傷つくことを「酸化」と言い、別名"からだのサビ"とも呼ばれています。喫煙習慣や脂肪分の多い食事、糖化の産物である「AGE」が酸化を促すため、禁煙や食生活の改善が重要となります。

糖化や酸化を防ぎ、白内障を予防するためには、食生活の改善が必須です。
糖質・脂質を多く含む食品やアルコールの過剰摂取を避け、抗酸化作用のある食材(ビタミンやポリフェノールなどを多く含む野菜・果物)を積極的に取り入れるようにしましょう。
栄養バランスの整った食生活は、白内障だけでなくあらゆる病気の予防につながります。

ほかにも打撲やケガ、放射線・赤外線の被爆を防ぐなど、目の保護を意識することが大切です。

万が一白内障と診断された場合は、次のような治療法があります。

薬物療法

初期の白内障であれば、病状の進行を抑えるために薬物療法を行います。
1度濁った水晶体が元の状態に戻ることはないため、あくまでも進行・悪化を遅らせるための治療法です。
1日に複数回・毎日決まった時間帯に点眼をする必要があるため、慣れるまでは大変かもしれません。高齢で自己管理の難しい方は、他者のサポートが必要となります。

手術療法

薬物療法の効果がなく、日常生活に支障が出るほど病状が進行した場合は、手術療法を検討します。
局所麻酔下で濁った水晶体を取り除き、人工の眼内レンズを移植する方法で、手術自体は数十分で終了します。医療施設によっては日帰り手術が可能なこともあり、近年よく行われる治療法のひとつです。

普段の心がけで目のトラブルや病気を予防しましょう

将来の日本は、平均寿命のさらなる延長が予測されています。
健やかな老後を迎えるためには、平均寿命だけでなく健康寿命(病気や障害で日常生活が制限されることなく過ごせる期間)を延ばすことが必須であり、目のトラブル・病気の予防も大切な健康管理のひとつです。

白内障は、発症年齢や病状の程度に差があるとは言え、ほとんどの人が経験する病気です。普段から目をいたわる生活を心がけるとともに、少しでも目の症状で気になることがあれば早めに受診し、白内障の早期発見・早期治療につなげましょう。

【出典元】

※1:「科学的根拠(evidence)に基づく白内障診療ガイドラインの策定
https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0012/G0000028/0011

ライタープロフィール

遠藤愛

看護師として約13年間病院勤務。外科・内科病棟、地域連携室、介護老人保健施設、訪問看護に従事。現在は看護師の知識と経験を活かし、ライターとして活動中。