50代から気をつける病気。予防・対策

働き盛りの子どもの睡眠不足が心配! シニア世代ができるアドバイスとは?

50代から気をつける病気。予防・対策

睡眠にはいくつかの役割がありますが、最も実感しやすいのは心身の疲労回復です。小さな生活習慣の積み重ねが質の良い睡眠につながります。

【ライタープロフィール】浅野すずか

忙しいと、つい削ってしまうのが睡眠時間です。
働き盛りの息子さん娘さんから「仕事が忙しくて睡眠不足だ」「寝ても疲れがとれない」と聞くと、親としては心配になってしまいますよね。しかし、お子さんも睡眠不足はよくないと分かっていながらもそうせざるを得ない状況なのかもしれません。このようなとき、親としてどのようにアドバイスしたらよいのでしょうか?

そこで今回は、睡眠の役割、睡眠不足になる原因をはじめ、睡眠不足が引き起こす弊害や病気、間違った睡眠不足解消法、そして質の良い睡眠をとるためのポイントについてまとめました。
睡眠の大切さを理解し、具体的な行動につながれば幸いです。

なぜ睡眠不足はいけないのか? 睡眠の役割とは

睡眠にはいくつかの役割がありますが、最も実感しやすいのは心身の疲労回復です。夜にぐっすり眠ることで1日の疲れを癒し、次の日に再び活動できます。そのほかにも免疫力アップ、記憶の定着など、日々の生活に欠かせない大切な役割があります。

厚生労働省の調査によると、1日の平均睡眠時間は男女ともに「6時間以上7時間未満」が最多です。

厚生労働省「平成 30 年 国民健康・栄養調査結果の概要」の情報を基に作図

しかし、1日の平均時間が6時間未満の人は、緩やかながら年々増加していることが分かります。何らかの事情により、短時間睡眠の人が増えているようです。

厚生労働省 「平成27年 国民健康・栄養調査結果の概要」の情報を基に作図

その人によって適正な睡眠時間は違いますが、一定の睡眠時間は必要です。厚生労働省がまとめた「健康づくりのための睡眠指針2014」(※)によると、必要な睡眠時間は、「6時間以上8時間未満」が妥当と考えられています。

では、いまの睡眠時間が適正かどうかは、どこで判断したらよいのでしょうか? ひとつの目安は、日中の眠気です。日中に強い眠気があり、仕事や家事に支障をきたす場合は、睡眠不足と考えられる場合があります。

睡眠不足になる原因とは? もしかすると病気の可能性も

睡眠不足を引き起こす原因には、以下のようなものがあります。

  • ストレス
  • 環境(音、光、温度)
  • 交代勤務(夜勤)
  • カフェイン
  • 喫煙:ニコチンには覚醒作用があります。
  • 薬:降圧剤や抗がん剤などの副作用により、睡眠不足になることがあります。

こうしてみると、「睡眠は、ささいなことに影響を受けやすい」ことが分かります。 また、以下のような病気が原因で睡眠不足になる人もいます。

  • 不眠症
  • うつ病
  • 睡眠時無呼吸症候群:寝ているときに呼吸が止まる病気。肥満やアルコールなどによって気道が狭くなるので苦しくなり、結果、睡眠が浅くなる
  • 睡眠時随伴症:寝言や歯ぎしりなど睡眠中の異常な行動を指す。これらの症状により、ぐっすり眠れなくなる

このように、睡眠不足を引き起こす原因はさまざまあります。

睡眠不足がもたらす弊害とは?

  • 集中力の低下
  • ストレスの増大
  • 免疫力の低下
  • 認知機能の低下
  • 血圧上昇
  • ホルモンバランスの乱れ
  • 体重増加:食欲を抑えるホルモンが低下し、食欲が増加するホルモンが増加することによって、体重が増加しやすくなる

その他、高血圧、心臓病、糖尿病といった生活習慣病も睡眠不足が一因と考えられています。上記にもある、血圧上昇やホルモンバランスの乱れなどが、これらの病気を引き起こす原因になりうるためです。また、うつ病と睡眠不足の関係も指摘されています。睡眠不足によってストレスが増大し、不安や憂うつな気分に陥りやすくなります。このように、睡眠不足は心身ともにあらゆる影響を与えます。

以下の図は、睡眠不足と病気の関連性を表したものです。睡眠不足と病気は、複雑な相互関係にあります。睡眠不足はあらゆる症状を引き起こし、またさまざまな原因から起きていることが改めて分かります。

厚生労働省 「e-ヘルスネット [情報提供] 健やかな眠りの意義」の情報を基に作図

これは逆効果! 間違った睡眠不足解消法

睡眠不足を解消しようと、自己流で対策をしたことがある人は多いと思います。ここでは、ついやってしまいがちな間違った睡眠不足解消法を紹介します。

寝る前のお酒

寝る前にお酒を飲むと、眠気が強くなってぐっすり眠れると思いがちです。しかし、実際には逆効果。お酒は入眠を一時的に促しますが、眠りが浅くなってしまいます。さらに寝る前のお酒は、「睡眠時無呼吸症候群」の原因となるため、結果として睡眠不足のリスクを上昇させます。

休日の寝だめ

仕事がある日の睡眠不足を解消するため、休日は昼頃まで寝るという人もいます。寝だめをすることで一時的に睡眠不足を解消できますが、その後の生活リズムが崩れます。結果、なかなか寝付けなくなってしまい、十分な睡眠がとれなくなります。

質の良い睡眠をとるためのポイント

これまでの内容をふまえながら、質の良い睡眠をとるためのポイントをまとめました。

体内時計を整える

仕事の日も休日も、同じ時間に起きることで体内時計が整います。また、起床後に朝日を浴びることも体内時計を整えるので、すっきりと目が覚めます。体内時計が整えば入眠時間も一定に近づくため、睡眠不足解消に一歩近づきます。

リラックスできる環境をつくる

夜は、なるべくリラックスできる環境を整えましょう。そうすることで、副交感神経が優位になり、自然と眠気が起きやすくなります。具体的には、ぬるめのお風呂に浸かる、寝ながらテレビやスマホを観ない、就寝前のカフェイン摂取と喫煙を避けるなどが挙げられます。
カフェインとニコチンには覚醒作用がありますし、カフェインによる利尿作用で寝ていてもトイレに行きたくなるなど中途覚醒の原因になります。カフェインの影響を避けるため、就寝前3~4時間はコーヒー、緑茶、栄養ドリンクなどは避けるようにしましょう。(※)

「眠ろう」と意識し過ぎない

「今日こそ早く寝よう」と意識するほどプレッシャーになり、眠れなくなります。自然と眠くなってから寝床に入るようにしましょう。
横になったあと眠気が覚めてしまったら、一度起きて気分転換するのがポイントです。その際、ストレッチや読書などリラックスできることを取り入れてみてください。

昼寝は短時間で済ませる

日中眠気が襲ってきたときは、無理せず昼寝をするとすっきりします。しかし、昼寝をする時間には注意が必要です。なるべく午後の早い時間に30分以内で済ませると、夜の睡眠への影響を最小限にできます。(※)

改善しない場合は病院を受診する

睡眠状態が1カ月以上改善されない場合は、「不眠症」の可能性があります。たかが睡眠と思わず、病院を受診しましょう。担当の診療科は、精神科や心療内科です。

以上、質の良い睡眠をとるためのポイントを5つ挙げましたが、これらすべてを1度に取り入れるのは難しいものです。できるものから、ひとつずつ取り入れていくようにしましょう。

まとめ

睡眠は、些細なことにも影響を受けやすく、誰でも睡眠不足になる可能性があります。反対にいえば、小さな生活習慣の積み重ねが快眠につながります。忙しくて余裕がない日は難しいかもしれませんが、健康的な生活を送るために少しずつ生活習慣を見直すことが大切です。

また、お子さんにアドバイスをするときは、押し付けるようにあれもこれも言うのはおすすめしません。本人も悩んでいると思うので、まずは話を聞き、改善できそうなものからアドバイスしましょう。その際、改善しない場合は、病院を受診することもひとつの方法だと伝えてください。早期に適切な対処をして、心身の健康を保ちましょう。

【参照サイト】

※ 厚生労働省 「健康づくりのための睡眠指針 2014」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf 

ライタープロフィール

浅野すずか

フリーライター

看護師として病院や介護の現場で勤務後、子育てをきっかけにライターに転身。看護師の経験を活かし、主に医療や介護の分野において根拠に基づいた分かりやすい記事を執筆。