50代から気をつける病気。予防・対策

朝までぐっすり寝たい! 夜間頻尿の原因と対策

50代から気をつける病気。予防・対策

夜間頻尿は年齢とともに発症しやすいですが、生活習慣を見直すことで改善することもあります。また、病気が原因の場合もあるので、放置しないことが大切です。

【ライタープロフィール】浅野すずか

夜間トイレに行くために起きる夜間頻尿は、良質な睡眠を妨げる原因になります。朝スッキリ起きられないのはつらく、日中の活動にも悪影響を及ぼします。不安要素はそれだけではありません。夜間のトイレは、移動中に転倒し、骨折する可能性も高くなります。

とはいえ、「夜トイレに起きるのは年齢のせい」と諦め、仕方なく受け入れている人も多いのではないでしょうか。夜間頻尿の原因は年齢以外にもさまざまあり、治療すれば治る可能性があります。

そこで今回は、夜間頻尿の概要や夜間頻尿を引き起こす病気の説明をはじめ、1日の適正な水分量の目安や夜間頻尿の対策法を紹介します。夜間頻尿で悩んでいる方の参考になれば、幸いです。

夜間頻尿とは?

日本泌尿器科学会によると、夜間頻尿とは「夜間、排尿のために起きなければならない症状」と定義されています。夜間に1回以上起きれば夜間頻尿とされていますが、病院によって2回以上としているところも多くなっています。
40歳以上の男女の約4,500万人が、夜間に1回以上トイレのために起きているというデータもあり、多くの人が夜間頻尿を患っています。

国立長寿医療研究センターによると、年齢が高くなるほど夜間頻尿の割合が高く、トイレに起きる回数も多いことが分かっています。

国立長寿医療研究センターウェブサイト「No.14 夜間のトイレ 何回行きますか」を基に作図

夜間頻尿は、加齢により「抗利尿ホルモン」(バソプレシン)が減少し、尿量が増加することで起こります。
抗利尿ホルモンは、文字通り尿量を減らすホルモンで、夜間に多く分泌されます。年齢とともに抗利尿ホルモンの分泌バランスがくずれ、1日の排尿量は変化がなくても夜間の排尿量が多くなり、夜間頻尿になります。30代の昼間排尿量(8時~20時)は夜間排尿量(20時~8時)の約2倍ですが、65歳以上になるとほぼ同量となり、逆転することもあります。

また、内服薬の作用が原因の場合もあります。なかでも、高血圧の治療薬には尿量を増やすものがあり、夜間頻尿の原因のひとつと考えられています。その他には、飲水量や飲酒量の増加もありますが、原因不明な場合もあります。

夜間頻尿の原因は病気の可能性もアリ!

先述したもの以外にも、夜間頻尿の原因はあります。大きく分けると、「夜間多尿」「膀胱容量の減少」「睡眠障害」の3つです。なかには、病気が隠れていることもあります。

夜間多尿とは、夜間の尿量が1日の尿量の3分の1以上と多くなり、その結果トイレに起きてしまう状態をいいます。糖尿病、高血圧、うっ血性心不全、腎機能障害などが原因として挙げられます。
また、一見関係なさそうですが、「睡眠時無呼吸症候群を」発症していることもあります。睡眠時無呼吸症候群になると眠りが浅くなり、抗利尿ホルモンが分泌されにくくなります。さらに、膀胱内圧が高まり尿を十分に溜めることができず、頻尿になるのです。

膀胱容量の減少は、文字通り、膀胱内に溜められる尿量が少なくなることを言います。そのため、トイレの回数が多くなります。過活動膀胱、前立腺炎、膀胱炎により起こります。過活動膀胱は、脳卒中、パーキンソン病、前立腺肥大なども原因となります。

睡眠障害になると、眠りが浅くなり気になってトイレに行ってしまいます。そして、抗利尿ホルモンの分泌量低下にもつながります。
睡眠障害は、夜間頻尿の原因と結果のどちらにもなりうるものです。

安易な水分制限に注意!

「夜、なるべくトイレに行きたくない」と思い、水を飲む量を減らす人は少なくありません。しかし、極端に減らすのは要注意です。

特に夏場は熱中症のリスクが高まります。2019年の熱中症による救急搬送車数は、65歳以上が53.7%と半数以上を占めています。これは例年変わらない傾向にあり、水分制限が命にかかわるおそれのあることを、しっかり認識しておく必要があります。

消防庁 「令和元年度 消防庁における熱中症対策」のデータを基に作図

また、水分を減らすことで、心筋梗塞や脳梗塞のリスクも出てきます。しかし、飲みすぎも頻尿につながるので、適正な量を守る必要があります。

では、1日にどのくらいの水を飲めばよいのでしょうか?成人のからだの約60%は水です。からだに取り入れる水分量と、尿や汗として排出される量が同じ程度になれば、からだに十分な水分量がいきわたります。この「取り入れる」と「出す」のバランスを保つことが大切です。

厚生労働省 「「健康のため水を飲もう」推進運動」のデータを基に作図

水分は、普段の食事にも含まれているので、飲み水以外でも自然にとっています。そのため、飲水量のみを把握する必要があります。

1日の飲水量は、体重の2~2.5%で計算します。たとえば、体重60kgの人は1.2~1.5リットルとなります。ぜひご自分の体重で計算し、目安にしてください。また、どのくらい水分をとっているのかメモしてみましょう。
ただし、心臓や腎臓など循環器系の病気がある人は注意が必要です。飲水量が増えると血流量が増加し、内臓に負荷がかかる場合があります。そのため、飲水量が制限されている人の場合は医師の指示に従いましょう。

ぐっすり眠るために。夜間頻尿への対策

これまでの内容をふまえて、夜間頻尿への対策をまとめました。

1.自分自身でできる対策

生活リズムを整える

午前のうちに太陽を浴びて、掃除や趣味などでからだを動かしましょう。太陽の光を浴びるとからだのリズムを整えることができ、快眠につながります。
昼食をとると睡魔がおそってきますが、昼寝のし過ぎには注意が必要です。夜にぐっすり眠れなくなるので、30分以内で切り上げましょう。

適度な運動

運動をすることで、ほどよい疲労感を得ることができ、睡眠の質が高くなります。また、循環が良くなり汗をかくため、夜間頻尿に効果があるとされています。運動習慣がない人は、手軽に始められる散歩から取り入れてみましょう。

排尿量と排尿回数を把握する

いつどのくらいトイレに行き、尿が出ているのかというデータは、夜間頻尿の原因を突き止めるうえで重要な情報になります。それを把握するために有効なのが、「排尿日誌」です。
排尿時に、不要になった計量カップや自分でメモリを付けたカップを使い、尿量を測ります。外出しない日に行うことが理想ですが、難しい場合は飲水量とトイレの回数をメモしましょう。

京都医療センターのウェブサイト(※)によると、1日の尿量が2.8リットル以上の場合は「多尿」、1日尿量の33%が夜間に排泄される場合は「夜間多尿」として、いずれも治療の対象となります。

利尿作用がある飲み物に注意

コーヒーや緑茶には利尿作用があり、尿量が増えます。日中に適量飲むようにし、夕方以降は控えましょう。

2.病院を受診して行う対策

夜間頻尿の原因となる病気を治療する

心当たりのある人は、まず病院でしっかり治療を受けましょう。内服薬のなかには、作用のひとつとして頻尿になるものもあります。かかりつけ医に相談して、内服薬を見直してもらうのもひとつの方法です。

改善しない場合、泌尿器科を受診する

特に病気がなく、思い当たる原因がない場合は、泌尿器科を受診することをおすすめします。その際、排尿日誌があるとより正確な診断につながります。

まとめ

夜間頻尿は年齢とともに発症しやすいですが、生活習慣を見直すことで改善することもあります。自分にできそうな対策があれば、積極的に取り入れていきましょう。
また、病気が原因の場合もあるので、放置しないことが大切です。「年齢のせい」「恥ずかしい」と思わず病院を受診し、質の良い睡眠を手に入れましょう。

【参照サイト】

※京都医療センター 「泌尿器科」
https://kyoto.hosp.go.jp/html/guide/medicalinfo/urology/description01.html

ライタープロフィール

浅野すずか

フリーライター

看護師として病院や介護の現場で勤務後、子育てをきっかけにライターに転身。看護師の経験を活かし、主に医療や介護の分野において根拠に基づいた分かりやすい記事を執筆。