50代から気をつける病気。予防・対策

薬局で薬をもらうのは面倒? 処方せんで薬をもらうときのポイントを紹介

50代から気をつける病気。予防・対策

調剤薬局を単なる「薬の受け渡し所」ではなく、「健康相談に活用できる場」ととらえれば、その存在意義も違ってきます。上手に利用して、健康の維持・向上を目指しましょう。

【執筆者】中西 真理

病院や診療所では、薬を処方する際に院外処方せんを発行するところが数多くあります。しかし、薬をもらうためにわざわざ調剤薬局へ出向くのは面倒なものです。そのように感じてしまうのは、調剤薬局で薬をもらうメリットを実感する機会が少ないからでしょう。

内閣府が2015年に行った調査によると、医薬分業(医師と薬剤師がそれぞれの専門性を活かすために分かれて業務を行うこと)の必要性を、4割以上の人が「どちらともいえない・分からない」と答えています。

医薬分業の必要性

必要だと思う

31.6

必要と思わない

25.6

どちらともいえない、分からない

42.9

内閣府資料「医薬分業における規制の見直し」の情報を基に作図

しかし、薬は誤った使い方をすれば、生命・身体を害するおそれがあるものです。
そこで今回は、自分自身のからだを守り、健康を維持するために、調剤薬局で薬をもらうメリットを活かす方法を紹介します。

保険調剤薬局で薬を受け取るメリット

まず、意外と知られていない院外処方せんで薬を受け取るメリットをいくつか紹介します。

薬の受け取りは家族など代理人でも良い

薬の受け取りは、代理人でも可能です。症状の重い方やインフルエンザなど感染力の高い病気にかかっている方などは、いったん自宅に帰った後、家族などに薬の受け取りを頼むこともできます。
一方、院内処方では、薬が用意できるまでほかの患者さんと一緒に待たなくてはならないことが多く、そのあいだに調子が悪くなってしまうこともあります。

処方薬の一括管理ができる

院内処方では、ほかの医療機関で処方された薬との重複チェックや飲み合わせの確認が難しいことがあります。しかし、かかりつけ薬局を決めておけば、薬の一括管理ができます。また、かかりつけ薬局がない場合であっても、「お薬手帳」に記録を残しておけば飲み合わせなどの確認が容易にできます。

剤型変更の提案

「粉だとむせてしまう」「水分制限があるので水なしで飲める薬が良い」といったニーズに応じて、薬剤師が医師に処方変更の提案をすることができます。また、飲みやすく改良されたジェネリック医薬品への変更が可能な場合もあります。
院内処方では、原則として院内にある薬しか処方できません。そのため、処方できる薬に制限があり、細かな患者さんの希望にこたえることが難しくなります。

処方変更の提案

同じ薬であっても、飲み方を変えるだけで効き方や副作用のあらわれ方が違うことがあります。また、飲むタイミングを変更することで、ほかの薬との相互作用を防止できることもあります。そのような場合には、薬剤師から医師へ処方変更の提案をすることがあります。
院内処方では、薬剤師が患者さんの体調変化などをチェックできる機会が少ないのが現状です。そのため、さまざまな観点から薬の作用を確認できる医薬分業は有用なシステムといえます。

公益財団法人日本医療機能評価機構「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業 2018年 年報」の情報を基に筆者作成

飲み忘れ対策

飲み忘れが多い場合は、理由に応じて処方内容の変更や一包化(薬を1回分ずつパックすること)を薬剤師から医師へ提案することができます。一包化には時間がかかることが多いですが、院外処方で患者さんが分散すれば、院内で一包化する場合より待ち時間が短くなります。

市販薬やサプリメントに関する相談

医師に健康相談する場合には、受診が一般的です。しかし、薬局であれば予約がなくても気軽に訪れることができます。また、薬の履歴を確認しながら、市販薬やサプリメントとの飲み合わせのチェックにも対応できます。

上記以外にも、ささいな体調変化から副作用の初期症状を発見したり、残薬の相談・調整などにも対応したりできるのが、院外処方で薬を受け取る際のメリットといえます。

薬剤師から有益な情報を引き出す方法

このように薬の院外処方にはさまざまな利点がありますが、薬剤師とのコミュニケーションがうまくいかなければメリットを活かすことができません。ここからは、調剤薬局の利用パターン別に、薬剤師に聞いておくべき内容を解説します。

初めての薬が処方された場合

初めての薬の場合は、どのような副作用が発生しやすいのかを聞きましょう。その場合、どのような症状があらわれたら副作用を疑って医療機関を受診すべきか、ということまで確認しておくと安心です。また、飲み忘れなどがあった場合の対応も薬によって異なる(「飲まなくてよい」「気がついた時に飲めばよい」など)ので、聞いておきましょう。

そのほか、薬の保管方法・日常生活で特別注意すべきこと(例:日光を避ける・避妊する・急に起き上がらないなど)も聞いておくと、副作用防止に役立ちます。

いつもと同じ薬が処方されている場合

いつもと同じ薬が処方されている場合は、「いつまで治療が必要か」「薬を減らしたり、止めたりするにはどうすればよいのか」を聞いてみましょう。以前聞いたことがある内容でも、再度確認のために聞くのは大切なことです。
また、飲みにくさで悩んでいる場合や飲み忘れがある場合などは、対応方法を相談してみましょう。

風邪薬など短期間服用する薬が処方された場合

服用期間の短い薬が処方された場合は、飲み切りが必要なのかどうかを確認しましょう。抗生物質や免疫力に影響を与える薬は、症状がなくても処方されたものを飲み切らなければならないことが多くなっています。症状の再発などをおさえるためにも、できるだけ確認しましょう。また、薬を飲み切っても症状が続く場合はどのようにすべきか聞いておきましょう。
なお、ほかに飲んでいる薬がある場合は、一時的に中止すべき薬があるかどうかをチェックしてもらいましょう。風邪薬や解熱剤には、痛み止めや睡眠導入剤と一緒に使わないほうが良いものもあります。どちらを優先すべきか分からない場合は、服用前に薬剤師に確認しましょう。

必要に応じて使う薬(痛み止め・便秘薬・下痢止め・吐き気止めなど)が処方された場合

頓服薬は、1回に使う量だけではなく、1日の使用回数・使用量の上限、使用間隔を聞いておきましょう。また、使用量を守って使っても効果が不十分な場合の対応も確認しておくとよいでしょう。使用頻度の低い薬の使用期限もその場で確認するようにしましょう。

ジェネリック医薬品を希望する場合

ジェネリック医薬品を希望する薬剤がある場合は、ジェネリック医薬品があるかどうかを聞いてみましょう。そして、変更した場合にどの程度差額が生じるのか、また、変更で生じうるメリットだけではなくデメリットについても、ていねいに説明を受けるようにしましょう。

これらのほか、会計の内容(保険の点数など)、検査値に関する質問、感染症(風邪・インフルエンザ・とびひ・水虫など)を家族にうつさない工夫、脱水症対策など、健康や病気に関することは、ほとんどの薬局・薬剤師で対応することが可能です。処方せん以外のことも積極的に相談しましょう

まとめ

相性のいい薬局や薬剤師を見つけたら、薬のことだけではなく、健康に関することを積極的に相談しましょう。会話する機会が増えれば、薬剤師も自然と患者さんを気にかけるようになります。「こんなことに困っている」「このような情報が欲しい」ということを伝えておけば、必要としている情報を聞く前にタイミングよく提供してもらえることもあります。

調剤薬局を単なる「薬の受け渡し所」ではなく、「健康相談に活用できる場」ととらえれば、その存在意義も違ってきます。上手に利用して、健康の維持・向上を目指しましょう。

執筆者

中西 真理

公立大学薬学部卒。薬学修士。

医薬品卸にて一般の方や医療従事者向けの情報作成に従事。その後、調剤薬局に勤務。現在は、フリーライターとして主に病気や薬に関する記事を執筆。