50代から気をつける病気。予防・対策

知らないと危険! シニア世代が注意したい薬の飲み合わせ

50代から気をつける病気。予防・対策

複数の医師から薬の処方を受けている場合は、受診時に『お薬手帳』を持参して服用薬を知らせるようにしましょう。また、薬の飲み合わせによる有害事象を防ぐために、かかりつけ薬局を決めておくのもひとつの方法です。

【執筆者】中西 真理

頭痛や風邪など、ちょっとした体調変化に合わせて市販薬を利用することは、日常的によく経験することです。また、健康維持のためにサプリメントを飲んでいる、という方も多いでしょう。しかし、自己判断で複数の薬を服用すると、思わぬ副作用が生じることがあります。特に40才以降になると医療機関で処方される薬の数が増える傾向にあり、定期的に薬を服用している人は、市販薬やサプリメントを使用する際に注意が必要です。

なお、ひとりの患者がひとつの保険調剤薬局で1カ月間に受け取っている薬の数は、平成29年6月現在、以下のとおりです。

厚生労働省「平成29年社会医療診療行為別統計の概況|2薬剤の使用状況」を基に作図

そこで今回は、薬の飲み合わせに関するリスクを中心に、市販薬やサプリメントを使用する際の注意点、薬局などで飲み合わせをチェックしてもらう方法などを紹介します。

複数の薬を飲むとどのようなことが起こるのか

複数の薬を飲むと、薬の効き目が強くなりすぎたり、逆に効果が十分に現れなくなったりすることがあります。

薬の効き目が強くなるパターンとしては、主に以下が考えられます。

  • よく似た働きを持つ薬を複数飲む場合
  • 一方の薬が他方の薬の分解(解毒)を妨げる場合

「薬がよく効いていいじゃないか」と思われるかもしれませんが、薬の効き目が強くなりすぎると副作用が強く出ることがあります。たとえば、高血圧の薬が効きすぎると、血圧が低くなり意識を失うことがあります。また、胃腸や肝臓、腎臓などに大きな負担がかかることもあります。

薬の効き目が弱くなるパターンとしては、主に以下が考えられます。

  • 相反する効果を持つ薬を飲む場合
  • 薬の成分同士が結合して期待する効果が得られない場合

効き目が弱くなることで重大な副作用が問題となることはほとんどありませんが、病気や症状の改善が遅くなることがあります。また、処方薬が増量・追加されることもあるため、好ましい状況とはいえません。

特に薬の数や種類が増えると、副作用を発生する恐れがあります。また、飲み忘れや飲み間違い、重複投与(同様の効能・効果を有する薬を複数処方してしまうこと)のリスクも高まります。実際、高齢者においては6種類以上の薬を飲んでいると、薬による有害事象を経験する危険性が高くなるという報告もあります。

このようなリスクは、医療機関から処方される医薬品だけではなく、市販薬やサプリメントでも生じうるので注意が必要です。

注意すべき飲み合わせの実例

では、具体的に注意すべき飲み合わせの例を紹介します。

飲み合わせに注意が必要な薬の組み合わせの例

注意が必要な飲み合わせ

注意が必要な理由

解熱鎮痛薬

風邪薬

解熱鎮痛成分が含まれるため、薬が効きすぎたり副作用が生じたりすることがある。

利尿薬(むくみを取る薬・血圧を下げる薬)

むくみが生じ、利尿薬の効果が十分にあらわれないことがある。

アレルギーの薬

風邪薬・鼻炎薬・咳止め・乗り物酔い止め

副作用として眠気が強くなることがある。

睡眠導入剤など

風邪薬・鼻炎薬・乗り物酔い止め

副作用として眠気が強くなることがある。

抗菌薬(ニューキノロン系に分類されるもの)

胃腸薬(酸を中和するタイプのもの)

胃の中の酸性度が変わるため、抗菌薬の効果が弱くなることがある。

血圧を下げる薬(β遮断薬に分類されるもの)

喘息薬(ベータ刺激薬に分類されるもの)

相反する効果を持つ薬のため、双方の効果が十分に現れないことがある。

漢方薬

漢方薬

成分が重複して、思わぬ副作用が生じることがある。

血栓予防薬

風邪薬・解熱鎮痛薬

解熱鎮痛成分で、血栓予防薬の効果が強くなることがある。

便秘薬(腸で溶けるタイプのもの)

胃腸薬(酸を中和するタイプのもの)

胃の中の酸性度が変わる影響で便秘薬が早く溶けてしまい、効果が現れなかったり、吐き気などの副作用が生じたりすることがある。

鼻炎薬

胃腸薬(痛みを抑えるタイプのもの)

共通の副作用である口の乾きや便秘などが生じやすくなる。

 

薬との併用に注意すべきサプリメントやハーブの例

注意すべき成分

左成分を含む代表的なもの

注意が必要な理由

カルシウムやマグネシウムなどミネラルを含むもの

サプリメント・ミネラルウォーター(硬水)など

薬の成分と結合して、薬の効果を弱めることがある。

食物繊維を含むもの

お腹の調子を整えることを目的とした商品など

薬の吸収を妨げ、薬の効果を弱めることがある。

セイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)を含むもの

ハーブティー・サプリメントなど

薬の代謝や分解を促進して、薬の効果を弱めることがある。

うつ病治療薬などと一緒に飲むと、効果が強く現れることがある。

カフェインを含むもの

ドリンク剤など

カフェインを含む風邪薬や頭痛薬などと一緒に飲むと、吐き気などを起こすことがある。

ビタミンKを含むもの

クロレラ・青汁・ミドリムシなど

血栓予防薬の効果が弱くなることがある。

イチョウ葉エキス・ノコギリヤシ・EPA・DHAなど

「血液サラサラ」をうたっているもの

出血しやすくなることがある。

メラトニンを含むもの

時差ボケ予防・睡眠改善のサプリメントなど

うつ病治療薬などと一緒に飲むと、効き目や副作用が強く現れることがある。

これらの他にも、飲み合わせに注意が必要な組み合わせはあります。
なお、飲み合わせにより必ず有害事象が生じるわけではありません。また、飲み合わせに不安がある場合は自己判断で薬を中止するのではなく、医師・薬剤師に必ず相談してください。

飲み合わせに不安がある場合は『お薬手帳』を持って薬局へ行こう

かかりつけの医師がいて、ひとつの診療科ですべての薬が処方されている場合は、処方薬のチェックが容易であるため飲み合わせのリスクは回避しやすくなります。しかし、複数の医療機関を受診していたり、複数の診療科にかかっていたりすると、薬のチェックが難しくなってきます。これに加え、市販薬やサプリメントの利用があると、予想外の副作用が生じることもあります。

複数の医師から薬の処方を受けている場合は、受診時に『お薬手帳』を持参して服用薬を知らせるようにしましょう。特に症状の変化や処方薬の変更があった場合は、要注意です。症状の変化が、薬の相互作用や副作用によるものだと判断された場合には、薬が中止、または変更される可能性があります。また、処方薬の変更にともない、働きがよく似ている薬が新たに処方されているような場合には、薬の中止が検討されることもあります。

このような薬の飲み合わせによる有害事象を防ぐために、かかりつけ薬局を決めておくのもひとつの方法です。しかし、複数の医療機関を受診している場合は、薬が院内処方であったり、医療機関と薬局の距離が離れていたりして、一本化することが難しいこともあります。そのような場合であっても、『お薬手帳』や医療機関から発行される薬の説明書を持参すれば、薬の飲み合わせのチェックが容易になります。

薬局でも薬の変更や体調変化があった場合には、薬剤師に知らせましょう。薬剤師は、薬の飲み合わせを確認するだけではなく、薬の変更から患者さんの健康状態を把握します。また、体調変化から副作用の有無をチェックします。薬の飲み合わせが悪い場合や、副作用が疑われる場合には、医師に処方内容の確認を行うこともあります。

ドラッグストアなどでサプリメントや市販薬を購入する際にも、『お薬手帳』を活用すると飲み合わせの確認ができます。また、定期的に飲んでいる薬との併用が不安な場合は、かかりつけの薬局で使用の可否を相談しましょう。通信販売などで購入したサプリメントなども、有効成分の内容が記載されたものを持参すると、飲み合わせの確認がスムーズに進みます。

体調に合わせてセルフケアを行うことは、医療費削減の観点からも好ましいことです。しかし、年齢とともに体の機能は衰えてくるものなので、薬の飲み合わせや副作用に対してよりいっそうの注意が必要です。不安がある場合は、薬剤師など医療従事者に相談して、有害事象を防ぐようにしましょう。

執筆者

中西 真理

公立大学薬学部卒。薬学修士。

医薬品卸にて一般の方や医療従事者向けの情報作成に従事。その後、調剤薬局に勤務。現在は、フリーライターとして主に病気や薬に関する記事を執筆。