50代から気をつける病気。予防・対策

男性に多い「痛風」ってどんな病気?

50代から気をつける病気。予防・対策

痛風は、尿酸が関節内に固まって結晶化することによって起こる関節炎を主な症状とする疾患です。 健康診断で尿酸値をチェックし、規則正しい生活習慣を送りながら尿酸値をコントロールすることが痛風予防の第一歩です。

【ライタープロフィール】遠藤愛

「風が吹くだけで痛む」と言われる痛風は、一昔前までは別名「ぜいたく病」と呼ばれ、ごく限られた人の病気でした。ところが、生活が豊かになった現代ではお金持ちだけの病気ではなくなり、今や痛風患者は推定100万人、予備軍に至っては1000万人に上るとも言われています。

痛風とはどのような病気で、どうすれば予防できるのでしょうか? また、すでに痛風と診断されている方は、悪化を防ぐためにどのようなことに注意すべきでしょうか? 今回は、痛風の原因・症状・対策について具体的に解説します。

痛風の原因と症状

明治以前の日本には、痛風患者はいなかったと言われていますが、飽食の時代となった現代では、じつに100万人もの人が痛風を患っています。
さらに驚くのが痛風患者の99%は男性です。これほど男女差がはっきりした病気も珍しいと言えるでしょう。

厚生労働省「国民生活基礎調査」より、大規模調査年の統計を基に作図

まずは、痛風という病気について正しく理解しましょう。
健康診断で尿酸値が高いと、「まさか痛風?」と不安になる方もいると思いますが、尿酸値が高い=痛風というわけではありません。痛風は、尿酸が関節内に固まって結晶化することによって起こる関節炎を主な症状とする疾患です。

痛風は「突然の激痛」で発症しますが、その前段階として尿酸値の上昇(高尿酸血症)があります。高尿酸血症は自覚症状がないため、尿酸値の上昇に気づかなかったり、健康診断で指摘されても「症状がないから」と放置したりする方が少なくありません。

高尿酸血症がそのまま続くと、血液中から溢れ出した尿酸が結晶となって関節内に溜まり、関節炎となって激痛を生じるのが痛風発作です。
関節炎にともなう患部の腫れや痛みは、からだに備わっている免疫システム(白血球)が尿酸の結晶を「異物」と見なし、排除しようとするために起こる反応で、いわばからだが発する警告サインと言えます。

尿酸の結晶は血流の悪い部位に溜まりやすく、特に足の親指の付け根は痛風が発症しやすい部位です。また、発作を繰り返すと足首や膝にも痛みが生じることもあります。

ここで、「尿酸」について触れておきましょう。
尿酸とは、細胞の新陳代謝やエネルギーの消費によってできる老廃物です。尿酸と関連しているのが、痛風の原因として知られるプリン体です。「プリン体を取りすぎると痛風になる」と言われるのも、痛風の原因となる尿酸が元はプリン体であることに由来します。

敬遠されがちなプリン体ですが、実は私たちの細胞内にある遺伝子の構成要素であり、生命活動にとって欠かせない成分です。その証拠に、私たちが生きるために必要なプリン体のほとんどは体内で作られ、食べ物から摂取するのはほんの一部だと言われています。

不要になったプリン体は尿酸となり、一定量を超えないように尿として排出されます。
しかし、何らかの原因で尿酸が必要以上に作られたり、排泄が滞ってしまったりすると尿酸値が上昇し、高尿酸血症から痛風を引き起こすのです。

実は怖い! 痛風の合併症と予後

「歩くこともできないほどの激痛」と言われる痛風発作ですが、症状は1週間〜10日ほどで何事もなかったように消失します。そのため、病院に行かずそのまま放置したり、服薬を中断したりすることで再発したり、重症化したりする人が少なくありません。

痛風の怖いところは、発作がなければ無症状のため油断しやすく、知らないうちに病状が進行してしまうことです。そして再び痛風発作が起き、発作を繰り返しながら重症化します。特に、腎臓に尿酸が蓄積されると腎不全を引き起こし、重篤な状態を招くため注意が必要です。

また、痛風は現代を代表する生活習慣病であり、病気に至る背景には食生活をはじめとする以下のような生活習慣が密接に関係しています。

  • 脂肪や糖分の多い食事(高カロリーの食事)
  • 多量のアルコール摂取
  • 過食や運動不足による肥満
  • 過剰なストレス

これらの生活習慣は尿酸の産生を促すだけでなく、動脈硬化のリスクを高め、心筋梗塞や脳卒中の促進因子にもなり得るのです。

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尿酸値が高めの方や、すでに痛風の診断を受けている方は、合併症である腎不全・心筋梗塞・脳卒中といった病気のリスクを常に念頭に置く必要があるでしょう。
痛風は単に「足が痛くなる病気」ではなく、命にかかわる病気が潜む「氷山の一角」と言っても過言ではありません。

痛風の発症・悪化を予防する生活習慣

痛風の初期治療は、激しい痛みと患部の炎症を抑えることですが、症状が落ち着いたからと言って油断はできません。痛風の根本的な原因である尿酸値の上昇を抑えなければ、その後も発作を繰り返し、痛風の悪化とともに重篤な合併症を引き起こす恐れがあります。

痛風の方はもちろん、尿酸値が気になる方、痛風になりやすい生活習慣(過食・お酒の飲み過ぎ・運動不足・ストレス)に心当たりのある方、肥満傾向の方は早めの対策を始めましょう。

そこでまず取りかかりたいのが、生活習慣の改善です。痛風は生活習慣病のひとつですから、食生活を中心とした生活習慣の見直しを行い、尿酸値が上昇しないようにコントロールする必要があります。さらに、その状態をキープしていくことも大切です。
具体的な対策を見ていきましょう。

食生活

プリン体の多い食品としてレバー・えび・魚介類・ビールが代表的ですが、「絶対にとってはいけない」ということではありません。むしろ食べていけないものはなく、バランスよく、美味しいものを少量ずつ、食べ過ぎないことが大切です。
痛風の予防には、プリン体の摂取を控えるだけでなく、脂肪分や糖分のとり過ぎに注意し、野菜や海藻類を積極的にとることが推奨されています。

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アルコールを控え、水分を多くとる

アルコールは尿酸の産生を増やすため、禁酒もしくは節酒を心がけます。逆に、水分は1日2リットル以上を目安に十分な量を飲みましょう。水分を多くとることで利尿作用が働き、尿酸の排出を促す効果があります。

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軽い運動

瞬発力を必要とする無酸素運動は、尿酸値を急激に上昇させます。逆に、ウォーキングや軽めのジョギング、水泳などの有酸素運動は肥満予防に効果があり、痛風予防や合併症対策に有効です。

ストレス対策

心理的ストレスは尿酸値を上昇させます。ストレスがきっかけで過食やお酒の飲み過ぎにつながることもあるため、日頃からストレスを溜めない生活を心がけましょう。
趣味やリラクゼーションなど、自分なりのストレス解消法を身につけることも大切です。

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治療を中断しない

痛風の治療において、まず優先すべきは「生活習慣の改善」ですが、それでも尿酸値のコントロールができない場合は尿酸値を抑える薬が処方されます。ただ、尿酸値が下がったからといって服薬を中断すると、痛風発作の再発や重症化を招くことになります。
痛風は、うまくコントロールすれば健康な人と同じような生活が可能です。医師の指示に従い、根気強く治療を続けるようにしましょう。

健康診断を受ける

痛風の前段階である高尿酸血症や発作がない時期の痛風は無症状です。ところが、この「無症状」が一番やっかいで、少しの油断が病状の悪化につながることもあります。
尿酸値の状況を把握し、適切な治療を受けるためにも定期的な健康診断を受けましょう。

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正しく治療すれば痛風はコントロールできる

痛風予防でもっとも重要なのは「生活習慣の見直し」です。すでに痛風の診断を受けている人も、適切な治療と生活習慣を維持することで、健康な人と変わらない生活を送ることができます。
健康診断で尿酸値をチェックし、規則正しい生活習慣を送りながら尿酸値をコントロールすることが痛風予防の第一歩であり、もっとも重要な治療法と言えるでしょう。

【写真】

写真1(リード写真):痛風

写真2:食べる女性

写真3:野菜

写真4:ミネラルウォーター

写真5:ストレス

写真6:健康診断  (すべてphotoAC ご利用ガイド

ライタープロフィール

遠藤愛

看護師として約13年間病院勤務。外科・内科病棟、地域連携室、介護老人保健施設、訪問看護に従事。現在は看護師の知識と経験を活かし、ライターとして活動中。