50代から気をつける病気。予防・対策

「要精密検査」は怖くない! 早期発見・治療に向けて健康診断を活かそう

50代から気をつける病気。予防・対策

健康診断の目的と種類、「要再検査」「要精密検査」の意味などについて紹介します。

【監修】浅野すずか

人生のなかで何度か受ける健康診断ですが、年齢とともに気になるのが結果です。健康診断後に受け取る結果表に「要再検査」「要精密検査」と書かれていると、ドキッとしますよね。精密検査を受けにいくよう言われても、「もし大きな病気が見つかったらどうしよう」と不安で、なかなか勇気がでないという人もいるかもしれません。しかし、要再検査や要精密検査と判定が出たからといって、必ずしも病気が隠れているわけではないのです。

そこで今回は、健康診断の目的と種類、「要再検査」「要精密検査」の意味、精密検査で病気が見つかる確率、そして病気の早期発見や治療についての重要性について紹介します。 せっかく受けた健康診断ですので、結果を活かしてより健康的に暮らしましょう。

健康診断の種類と目的

健康診断には、定期健康診断と特定健康診査があります。

・定期健康診断

労働安全衛生法第66条に基づき、事業者は労働者に対して医師による健康診断を実施しなければなりません。また、労働者は健康診断を受けなければならないと定められています。頻度は、1年ごとに1回です。

・特定健康診査

市町村が無料で実施しており、国民健康保険に加入している40~74才が対象です。「メタボ健診」とも呼ばれ、主にメタボリックシンドロームのリスクを調べるために行われます。
市町村ではその他にも、「がん検診」や「肝炎ウイルス検診」など特定の病気に対する検診も実施しています。これらは、加入している医療保険にかかわらず受けることができます。

健康診断の目的は、症状がない段階で病気を早期に発見することです。また、病気につながりそうなリスクを見つけて早期に対処し、病気の予防を目指します。

「要再検査」「要精密検査」の意味

健康診断が終わると、数値や結果が記載された結果票をもらいます。日本予防医学協会によると、「要再検査」「要精密検査」には、それぞれ以下の意味合いがあるようです。

  • 要再検査:基準範囲を超える所見・データを認めます。一時的な変動かどうか確認するため、再検査が必要です。
  • 要精密検査:基準範囲を大きく超える所見・データを認めます。診断を確かめるためには、詳しい検査が必要です。

要精密検査の方が、要再検査よりも緊迫性があります。しかし、どちらも病気だと断定しているわけではありません。診断をつけるために、もう1度検査を受けるよう勧めています。 なお、再検査に法的拘束力はありません。そのため受けなくても問題ありませんが、会社によっては規則で決まっている場合もあるので確認しましょう。

厚生労働省が行った平成24年度の調査によると、過去1年間に定期健康診断を実施した事業所における常用労働者のうち、定期健康診断を受診した労働者の割合(受診率)は81.5%で、そのうち有所見者の割合(有所見率)は41.7%でした。

また、「所見ありと通知された」労働者のうち「要再検査または要治療の指摘があった」労働者は75.0%で、「再検査または治療を受けた」労働者は 48.3%となっています。
つまり、約半数の人は再検査を受けていないのです。

厚生労働省 「平成24年度 労働安全衛生特別調査(労働者健康状況調査)の概況」を基に作図

再検査を受けない理由として、「深刻な病気と診断されるのが怖い」「仕事が忙しくて時間がとれない」「病院に行くのが億劫」などさまざま考えられますが、再検査の重要性が理解されていない可能性があります。

要精密検査のうち、病気が見つかる確率はどのくらい?

では、要精密検査と判定された人のうち、どのくらいの割合で病気が見つかるのでしょうか?ここでは、日本で最も亡くなる人の多いがん(悪性新生物)のなかでも罹患数が最も多いとされる大腸がん(※1)を例に、データをみていきましょう。

厚生労働省の資料によると、大腸がん検診の要精密検査者は、がん検診受診者全体に対して6.19%、そのなかから実際にがんの診断を受けた人は2.77%です。(※2)
このように、一番罹患数が多い大腸がんでも要精密検査者は3%足らず。がんではない確率の方が圧倒的に高いのです。

データから見る早期発見・治療の重要性

病気は早期に発見し、治療することが大切といわれますが、実際にはどのくらい有効なのでしょうか。

厚生労働省によると、日本におけるがん検診の有効性(死亡率減少効果)は高いというデータがあります。具体的な数値は、以下の通りです。(※3)

  • 胃がん検診:40~60%
  • 子宮頸がん検診:80%程度
  • 大腸がん検診:60%
  • 肺がん検診:その効果は小さいと言われているものの、地域によっては40~60%におよぶ

がん検診の受診率が高い自治体では、胃がん、子宮がんの死亡率の減少が顕著でした。また、乳がん、肺がん、大腸がんの死亡率は、低受診率の自治体では増え続けている一方で、高受診率の自治体では横ばいまたは減少しています。(※3)

これらの結果から、もしも検診でがんが見つかったとしても命の危険性があるのではなく、早期発見により死亡率が減少していることが分かります。

ここで、治りやすいがんのひとつとして知られる胃がんを例に、がんの進行と生存率をみていきます。
国立がん研究センターによると、胃がんの臨床病期別5年生存率は、初期のステージⅠで81.3%、末期のステージⅣで7.9%と明らかな差があり、検診で早期に発見されれば治る可能性が高いことが分かります。

胃がんの臨床病期別5年生存率

臨床病期(ステージ)

生存率

81.3%

58.6%

40.0%

7.9%

国立がん研究センター がん登録・統計のデータを基に作表

 

また、生活習慣病も命に関わる重大な病気で、その原因のひとつが高血圧です。高血圧は、脳梗塞やくも膜下出血といった脳卒中の最大危険因子といわれています。血圧が高くなるほど、発症率も高くなると言われています。

収縮期血圧(上の血圧)を10~20mmHg下げると、脳卒中の発症率が50%下がることが分かっています。(※4)
高血圧は、自覚症状がほとんどないことから「サイレントキラー」とも呼ばれています。だからこそ、健康診断で指摘されたら再検査を受け、必要に応じて治療を受けることが大切です。

再検査・精密検査を受けて病気の早期発見につなげよう

健康診断を受けることで、症状がなくても病気の早期発見ができます。全ての項目が「正常」であることが望ましいですが、もし「要再検査」や「要精密検査」だったとしても、必要以上に怖がらないようにしましょう。

再検査や精密検査を受けるメリットは、異常の原因を突き止め、治療を早期に始めることで治る可能性が高まることです。また、病気でなかったとしても生活習慣を見直すきっかけになり、その結果病気の予防につながります。

再検査や精密検査を受けてこそ、健康診断の意味があります。結果を見た瞬間は戸惑ってしまうかもしれませんが、本当に怖いのは精密検査を受けずに放置し、治るはずの病気が手遅れになることです。ぜひ時間を確保して、精密検査を受けるようにしましょう。

まとめ

「要再検査」や「要精密検査」の結果に不安を感じるかもしれませんが、漠然と不安に思っていても解決しません。今のからだの状態や異常の原因を知り、治療の道筋を立てることが大切です。「早めに異常が分かってよかった」と受け止め、健康で豊かな生活につなげましょう。

(※1)国立がん研究センターがん情報サービス 「最新がん統計」
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

(※2)厚生労働省 「平成29年度地域保健・健康増進事業報告の概況 健康増進編」p15
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/c-hoken/17/dl/kekka2.pdf

(※3)厚生労働省 「健康日本21 がん」
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b9.html

(※4)国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス 「[36]脳卒中予防の秘けつ(改訂版)」
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/brain/pamph36.html

監修

浅野すずか

フリーライター

看護師として病院や介護の現場で勤務後、子育てをきっかけにライターに転身。看護師の経験を活かし、主に医療や介護の分野において根拠に基づいた分かりやすい記事を執筆。