50代から気をつける病気。予防・対策

どうしても治したい不快な口臭 もしかして歯周病が原因かもしれません

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ピロリ菌が関与する病気やその症状について説明し、ピロリ菌の除菌方法、そして除菌後の注意点などについて解説します。

この記事の監修

中西 真理

医薬品卸にて一般の方や医療従事者向けの情報作成に従事。その後、調剤薬局に勤務。現在は、フリーライターとして主に病気や薬に関する記事を執筆。

口臭は、年齢性別を問わずだれにでも多少はあるものです。また、自分の口臭を気にしている人は非常に多く、50代以降の男女の5割以上が、「とても気になる」「気になる」「少し気になる」と答えています。

株式会社プラネット「意識調査『Fromプラネット』」の情報を基に作図

このように多くの人が気にしている口臭ですが、原因により大きく以下の5つに分類することができます。

  • 起床時や空腹時などに発生する「生理的口臭」
  • においの強い食品やアルコール・タバコなどの摂取が原因で生じる「外因的口臭」
  • 口臭があるわけではないのに口臭があると思いこんでしまう「心因的口臭」
  • 緊張などが原因で唾液の分泌量が少なくなり口の中がくさくなる「ストレスによる口臭」
  • 病気が原因で生じる「病的口臭」

生理的口臭は歯みがきや食事などでにおいが気にならなくなり、外因的口臭は時間の経過とともににおいが弱まってきます。また、心因的口臭はそもそも強いにおいがあるわけではありません。そしてストレスによる口臭は、リラックスして唾液の分泌量がもとに戻ればにおわなくなります。

しかし、病的口臭は、においのもととなっている病気を治療しなければ、口臭を抑えることができません。そして、病的口臭の90%以上は、口の中ににおいの原因があるといわれています。

そこで今回は、病的口臭の代表的な原因のひとつである歯周病(歯槽膿漏)について、口臭との関係や治療方法について解説します。

口臭の原因物質は、歯周病の原因菌だった

口臭の主な原因は、口の中にいる嫌気性菌(酸素のない環境で生活する細菌)が作り出す「揮発性硫黄化合物(VSC: Volatile Sulfur Compounds)」という物質です。

VSCは、硫化水素(卵が腐ったようなにおい)、メチルメルカプタン(野菜の腐ったようなにおい)、ジメチルサルファイド(ゴミのようなにおい)などが混ざっているため、強烈な悪臭を発します。そして、歯周病の原因菌の多くはVSCを作る嫌気性菌です。そのため、歯周病になると口臭が強くなるのです。

歯周病は、初期の段階では痛みや歯のグラつきなど自覚しやすい症状があまりないため、「気がついたときにはかなり症状が進んでいた」ということも珍しくありません。早期発見のためには、定期的に歯科健診を受けることが理想ですが、特に症状がないにもかかわらず歯科を受診することに抵抗がある人も少なくないでしょう。ただ、歯ぐきに腫れがある、歯ぐきがやせてきたなどの違和感や歯ブラシに血が付くなど、普段と違う症状を感じた場合は、歯周病が進行している可能性があるので、早めに歯科を受診するようにしましょう。
特段気になる部分が無い場合であっても、1年に1回は歯科検診を受けると歯周病の早期発見・早期治療につながります。

継続的な歯周病ケアで口臭を予防

歯周病の治療で大切なことは、正しい歯みがきを欠かさないことです。 軽い歯周病であれば、歯石を取り除いて歯の表面をきれいにしたあと、正しい歯みがきを毎日行うだけで症状が回復することもあります。逆に、歯科受診する回数が多くても、正しい歯みがきをしなければ歯周病の進行を食い止めることはできません。しかし、歯並びやみがき方のクセは人それぞれです。自己流で歯をすみずみまできれいにみがくことは簡単ではありません。その点、歯科を受診すれば、その時の症状に応じたみがき方や、みがけていない部分を上手にみがく方法などをていねいに教えてもらうことができます。

また、歯科で歯石をとってもらうことも、歯周病予防には欠かせません。一度付いてしまった歯石は、自宅でのブラッシングで除去することは困難です。しかし、歯石を放置すると、歯石の中や周りに細菌が入りこんで歯周病が悪化する可能性があります。
お口の中の健康を維持し、清潔な状態を保つために、定期的に歯科受診をするようにしましょう。

なお、歯周病が進行している場合は、他の歯やあごの骨への悪影響を防ぐために、抜歯が必要になることもあります。また、骨や歯に余分な力がかからないようにかみ合わせを調節したり、詰め物や被せ物があっていない場合にはやり直したりすることもあります。歯周ポケット(歯と歯ぐきの間にできる病的な溝)が深い場合には、歯ぐきの手術(歯周外科処置)が検討されることもあります。

厚生労働省「生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット[情報提供] 歯周治療の流れ」を基に作図

歯周病の症状が良くなってくると口臭はだんだん気にならなくなりますが、治療中~治療終了後も歯みがきによるセルフケアは欠かせません。また、気になる症状がなくても定期的な歯科受診でお口の健康管理を行い、日常的なブラッシングでは落としきれない汚れや歯石を早めに取り除いてもらうことも大切です。

ちなみに、歯周病は細菌感染症の一種ですが、薬のみで完治させることはできないとされています。とはいえ、歯ぐきのはれや痛みがひどい場合には、一時的に化膿止めや痛み止めなどが処方されることもあります。そのような場合であっても、「はれや痛みが治まったから」といって自己判断で服薬を中止してしまうと、症状が再発したり、薬が効きにくい「耐性菌」ができてしまったりする可能性があります。薬が処方された場合には、副作用などの問題がない限り、医師の指示通り服用するようにしましょう。

全身に影響を与える歯周病。早期治療で口臭も他の病気も予防しよう

歯周病は、口臭の原因のひとつです。しかしそれだけではなく、歯周病菌や菌から発生する成分が、糖尿病や心疾患、脳血管障害、肺炎など他の病気の原因になることもわかってきています。

たしかに口臭自体は命に関わるものではありません。しかし、口臭の原因を解決することは、全身の健康を害する他の大きな病気を予防することにもつながります。「いつも口臭が気になる」「何をしても消えない口臭がある」という場合には、積極的に歯科などを受診して、根本的な治療を目指しましょう。