実家は親が暮らす家です。親が安心・安全・健康に暮らせる空間を目指して片付けをします。
しかし玄関からリビング、寝室など"家"といってもいろいろな場所があります。親と一緒に上手に、効率よく片付けるには、実際どの場所から始めたらよいのでしょう。
そこで、実家片づけアドバイザーの渡部亜矢さんにお話を伺いました。
親の思い入れが少ない場所から始めましょう
実家の片付けは、親の思い入れが少ない物から始めるとスムーズです。衣類や写真、書類など親の思い入れが多いものは捨てることを躊躇したりついつい見返したりして時間がかかってしまいます。最初に時こういった物が多い場所から始めてしまうと行き詰ってしまうので、そういった場所は片付けに慣れてきた最後のほうでするのがおすすめです。
例えば、親の思い入れがある物を後回しにして、以下の順に進めてみてはいかがでしょう。この順番は、「防災」とリンクしやすいところが利点です。「放火されるといけないから庭を片づけよう」「天災の時にすぐに避難できるように玄関をきれいにしよう」と親に切り出すタイミングがつくれます。
価値観の異なる親とスムーズに片付けを進めるために、家の各所の片付け方をコツとともにお伝えします。先にご紹介した5つの鉄則を念頭に、「3の法則(いる・いらない・一時保管)」や「わく枠大作戦」を活用して片付けを始めましょう。
・片付け順の一例
1. 外玄関・庭・内玄関
2. 廊下、階段、トイレ
3. 低いところ(各部屋の床)
4. 高いところ(食器棚やタンスの上など)
5. 健康に関するもの
6. キッチン
7. リビング
8. 寝室
9. クローゼット、押し入れ、納戸
10.書斎・趣味の部屋
11.書類・貴重品
12.思い出の品
※例えば......「1外玄関・庭・内玄関」に思い出の品が置いてある場合は、最後に改めて考えましょう。

今回は、「外玄関・庭・内玄関」と「廊下、階段、トイレ」の方付けのポイントを紹介いたします。
外玄関・庭・ベランダ
外玄関や庭は人目に付きやすく、だれが見てもきれいにしておいたほうが良いため、親に片付けを促しやすい場所です。
- 壊れた植木鉢、使わない自転車など不要な物を撤去する。
- 道路や隣家にはみ出た木々の枝切りや草むしりなどを行う。
玄関の外に物をたくさん置いている方がいらっしゃいますが、玄関の外は一番ひと目につきやすい場所です。その上、外に物が置いてあると放火や台風の際に強風で飛ばされたものが窓を突き破る危険があります。防災面からも普段からきれいにしておくとよいでしょう。
また、木々が近隣にはみ出しているとご近所さんとのトラブルの元にもなりかねません。そういった心配も一緒に取り除きましょう。庭の草むしりや枝切りは重労働なので、お庭のお手入れ専門業者にお願いするのも一つの方法です。また、孫が遊びに来ると親は喜び、やる気も上がるので、ご自身の子どもを連れていきお子様にも手伝ってもらうのもよいです。
ベランダは避難ばしごの上や隣家との敷居の前に物を置いていないか、排水溝に落ち葉などのゴミが詰まっていないかなども防犯のためチェックしましょう。
内玄関
内玄関のスペースはそれほど広くないので、片付けの達成感が得やすい場所です。 玄関は、災害で逃げる場合にも玄関には余分なものがない方が安全です。
- 履かない靴を処分する。
- 外に出しておく靴は一人一足にする。
- 靴箱の上や飾り棚の細かい物は片付ける。
- カギは専用のカゴなどを置いて、探しやすく。
靴箱に入りきらないほどの靴があるようでしたら、土間に出ている靴こそが親が普段履いている靴です。靴箱の中にしまってある靴を出して、土間に出ている靴をしまいましょう。靴箱から出した現在履いていない靴は、親の同意を得て処分しましょう。余分な靴を親が捨てたくないと言った場合は無理に処分せず、後回しに。片付けがもっと進んで物を捨てることに慣れてきたころにもう一度聞いてみましょう。どうしても捨てたくない場合は一時保管へ。
古くなった引き戸型の靴箱は、ゆがみなどで扉が開きにくくなっているケースもあります。扉を開けるのに力が必要になるので、その場合は扉を取ってしまったほうが高齢者には使いやすくなります。布を張るなど目隠しをすれば見た目も気になりません。
靴を整理したら、普段履いている靴を一足だけ出しておきます。地震や火災など緊急時にすぐに履いて逃げられるようにするためです。
靴箱の上や飾り棚には細かなものが置かれがちです。カギをそこに置く習慣がある場合はカギ専用の小さなカゴなどを置いて、探しやすくしましょう。
目に見えて片付けの達成感が得られると、やる気が向上します。また手が付けやすい場所から片づけることで、親も子も片付けのスキルが上がっていき、クローゼットなど難しい場所の片付けも上手に行えるようになります。片付けを進めながら親が大切にしている物、好きなものなどを、徐々に知っていきましょう。
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