いくつになっても働き続けたい方必見 自治体が運営「シルバー人材センター」の仕組みをご紹介

夫婦・家族

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「老後、バリバリと働くつもりはないものの、時間ができるなら誰かの役に立ちながら日々を過ごしたい」と考える人の受け皿になっているのがシルバー人材センターです。また、高齢になると「居場所」を確保するのは非常に大切なことであり、そのひとつの方法として活用してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修

矢口ミカ

複数のメディアで執筆中です。宅建の資格を活かし、家族が所有する投資用不動産の入居者管理もしています。住まいに関する資格である整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級も取得済みです。趣味は整理収納と料理。

定年退職後、忙しく働くほどでなくても「地域活動やボランティアで生きがいを得たい」という方の活動の窓口になっているのが「シルバー人材センター」です。
ちょっとした人助けや、自分のこれまでの技能を生かした仕事があり、安定した収入というよりは社会活動を通して地域と関わり続けることを目的としています。

この記事では、「シルバー人材センター」が、どんな活動をしているのか、どのようにすれば利用できるかご紹介します。

70歳以上の半数が何らかの仕事や地域活動に従事

令和3年の高齢社会白書によると、60歳〜69歳では7割が、70歳以上では約半数の人が、仕事をしていたり、ボランティアなどの地域活動、あるいは趣味や習い事などの社会活動をしたりしています(※1)。
現在は定年を60歳以上に引き上げている企業もありますが、定年を過ぎ、体力に変化を感じる70歳以上でも多くの人がなんらかの形で社会との関わりを持っているということでもあります。
「老後、バリバリと働くつもりはないものの、時間ができるなら誰かの役に立ちながら日々を過ごしたい」と考える人の受け皿になっているのがシルバー人材センターです。

シルバー人材センターの活動内容

シルバー人材センターは、2018年3月現在、各市町村に約1800の施設があります(※2)。センターには地域居住者からの要望が集まり、登録者はこれらを仕事として頼まれる、あるいは割り振られるという仕組みです。
気になるのが、「具体的にどのような仕事があるのか」です。地域にもよりますが、一例として下記が挙げられます。(※3)

①技術分野:家庭教師や学習教室の講師、翻訳・通訳、自動車の運転など

②技能分野:庭木などの剪定、障子・ふすま・網戸の張り替え、刃物研ぎ、門松・しめ縄づくりなど

③事務分野:一般事務、パソコン入力、筆耕・宛名書きなど

④管理分野:マンションや施設、駐車場などの管理

⑤折衝外交分野:店番、配達、集金、検針など

⑥一般作業分野:草刈り、清掃、農作業、エアコンの清掃など

⑦サービス分野:家事サービス、福祉サービス、育児サービス

地域によっては自分のやりたい仕事が常にあるとは限りませんが、幅広い仕事があることがわかります。そして、特に資格を持たなくてもできる仕事が多くあります。仕事によっては、企業への派遣という形で行われるものもありますが、地域住民に密接に関わる内容が多いのもまた特徴といえるでしょう。

入会条件や収入はどうなっている?

シルバー人材センターで仕事をするには入会が必要です。その条件は以下のようになっています。

  • 原則60歳以上の健康で働く意欲のある方
  • シルバー人材センターの趣旨に賛同していただいた方
  • 入会説明を受け、入会申込書を提出した方(理事会の入会承認が必要です)
  • 定められた会費を納入していただける方

引用:「入会を希望される方は」全国シルバー人材センター事業協会

そして収入ですが、月に8~10日稼働した場合、全国平均で月に3~5万円が得られるようです(※3)。
なお、入会者は「働く」以外にも、ボランティアやサークル活動に参加することもでき、地域での人間関係を広げる場として活用されています。また、入会者には指定宿泊施設の割引特典があるなど、さまざまなインセンティブが用意されています。

センターによっては仕事を請け負うだけでなく、地域の特産品を商品化したり、手作りの手芸小物などを生産・販売したりといった事業を独自に展開しているところもあります。(※4)

筆者の住んでいる地域の福祉公社にも、シルバー人材センター経由で高齢者や障害者の家事手伝いをする人がいます。そのなかのおひとりは、ご本人も高齢でありながらも生き生きと活動されていて、スケジュール帳に趣味も含めてびっしりと予定が書きこまれていたことが印象的でした。なお、その福祉公社では、高齢者には危険とされる「電球の取り替え」「高所作業」といったことにも応じています。困ったことがあれば、地域住民で助け合おうという考えです。
自分の得意なことで困っている人の助けになる、ということに充実感があるようです。

老後に必要な「居場所作り」のためにも

老後も可能な限りバリバリと働く、もちろんそれも生きがいややりがいを感じるひとつの方法です。ただ、時間に余裕がある場合に、こうした地域活動を行うことは自分自身の「老後の居場所」を作る良いきっかけにもなります。
ひとつの例えとして、病院の待合室で高齢者が「仲間」のようになって会話している姿を見かけたことはありませんか。この会話をよく聞いていると、いつも顔を合わせていたのに最近は会わない人の話題が時々挙がっています。

このように、「地域で高齢者同士が仲間の様子を気にしあう」ことは、老後には必要なことと筆者は考えます。もちろん、それまでの会社人生でスキルや立場が高かった人の場合、最初はそのゆるやかさに違和感を覚えるかもしれません。ただ、誰にでも訪れる"第二の人生"を楽しく過ごす先輩がそこには多く参加しています。最初はためらいもあるかもしれませんが、人生について考え直し、それまでとの働き方と違う新しい発見もあることでしょう。

ある程度高齢になると、誰が手助けする側になり、誰が手助けされる側になるのかはわからないものです。
高齢になると「居場所」を確保するのは非常に大切なことであり、普段から地域活動に参加する機会を得られるのは大切なことといえます。そのひとつの方法としてシルバー人材センターを活用することは、人生の新たな示唆を得られるまたとない場になるのかもしれません。

※1 内閣府「令和3年版高齢社会白書|P39 図1 60歳以上の社会活動の状況

※2「シルバー人材センター」厚生労働省WAM NET

※3「入会を希望される方は」全国シルバー人材センター事業協会

※4「独自事業マルシェ」全国シルバー人材センター事業協会