50代女性の転職・再就職を考える "天職"の見つけ方と考え方

夫婦・家族

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50代女性が転職を成功させるには、「現在の自分には何ができるのか」を把握しつつ、家庭の事情なども考慮しながらマッチする企業を選ぶことが大切です。

この記事の監修

矢口ミカ

複数のメディアで執筆中です。宅建の資格を活かし、家族が所有する投資用不動産の入居者管理もしています。住まいに関する資格である整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級も取得済みです。趣味は整理収納と料理。

まだまだ元気に働ける50代女性は、日本にとって貴重な労働力です。とはいえ、何の工夫もなしに仕事を探しても、体力面をはじめ、年々変化するITスキルやビジネス慣習への適応力など、若年世代と比べて苦戦をしいられることも考えられます。

この記事では、50代女性が就いている職種や業種、平均賃金などの実情から、無理なく仕事を続けるためのコツを探ってみたいと思います。

50代女性の就業の現実

一般的に女性は、40歳以上から「正社員」より「パート」の割合が高くなります。男性は正社員として安定した雇用を保っていますが、女性は20代後半をピークに、年齢を経るにつれ正社員の割合が低くなるのが特徴です。

総務省統計局「平成27年 国勢調査|P9 図Ⅲ-1 従業上の地位,年齢(5歳階級),男女別 15 歳以上就業者の割合-全国(平成 27 年)」をもとに作図

日本では、「家事や子育ては女性がするもの」と長く考えられていた影響がいまだ根強く、夫が家事や子育ての役割を担う量は多くはありません。子どものいる女性が"ワンオペ育児"を余儀なくされることは少なくなく、仕事と生活に追われて疲弊しているという現状があります。その結果、勤務先から「いまは仕事にしっかり打ち込んでもらえそうにない」とみられ、自分の意思とはうらはらに昇進などの機会が得られにくいキャリアコースに乗ってしまう「マミートラック」に直面する女性も多く、頑張って正社員を続けても先が見えないのなら、子どもが小さいうちは無理のない範囲で働けるパートタイムの仕事に移ろうと考えてしまうのは、致し方ないことなのかもしれません。

このようにして子どもが小さいうちは、家庭とのバランスを取って働いていた女性も、子育てが一段落しはじめる40~50代の年齢になって再び就職を考える機会が訪れます。「子どもの進学費用をねん出したい」「退職前のキャリアに再び挑戦したい」など、その動機はさまざまでしょう。

独立行政法人 労働政策研究・研修機構の調査によると、45歳以降に転職・再就職した女性が就く仕事としてもっとも多いのは「事務職」であり、45~59歳のセグメントでは、約3割にあたります。きめ細やかな気配りやサポート力を発揮できる事務作業は、女性特有の能力を活かせる仕事のひとつといえるでしょう。営業のサポート役として機転を利かせることも求められるため、人生の酸いも甘いも噛み分けた50代女性には、適した仕事のひとつといえそうです。体力的な負担も少なく、定年まで無理なく働けるのも良い点です。

独立行政法人 労働政策研究・研修機構「中高年齢者の転職・再就職調査|P8 図表 2-1-5 就業者における仕事の種類」を基に作表

次に多いのは「専門的・技術的な仕事」です。内訳をさらに細かくみてみる(※1)と、「医療・福祉」の分野が最多になっています。
看護師、歯科衛生士、薬剤師、さらには介護職やヘルパー職など、専門的なキャリアを持って働く女性は数多く存在します。日々さまざまな人と直に接することが多いので、子育てなどで臨機応変スキルが身に付いている方、初対面の人とのコミュニケーションを得意とする方には適した職種といえるでしょう。また、これらはせっかく取得した資格を存分に活かせる職種でもあり、子育てが一段落した後に同じ職種で再就職する女性も多いのではないか、と推測できます。

賃金や労働条件に折り合いが必要な場合も

転職・再就職にあたっては、収入面も気になるところです。独立行政法人 労働政策研究・研修機構が行った調査では、45~59歳女性の転職後の月給は「10万円未満」が最多で43.6%を占めています。

独立行政法人 労働政策研究・研修機構「中高年齢者の転職・再就職調査|P43 図表 2-2-31 転職・再就職後の月の賃金額」を基に作図

年間収入が130万円未満であれば、社会保険料を負担しなくてもよいことから、夫の扶養内で働きたいと考える女性が多いのかもしれません。なお、「20万円以上」の給与をもらっている層では、転職や再就職によって前職の賃金額を下回るケースが多く(※2)、大幅な賃金アップを見込んでの転職のハードルは高そうです。

なお、50代女性の転職が厳しいといわれる原因として、「応募できる求人がない」が挙げられます。労働政策研究・研修機構の調査では1位になっています。(※3)

体力的な問題や介護など家庭の事情から、働ける曜日や時間が制限される人も少なくありません。そうなると、条件に見合う求人を探すことが難しくなる側面もあり、働きたいけれども機会を得られないというサイクルに陥ってしまいます。

もしも早めの転職・再就職を考えているのなら、「土日休みにこだわらない」「自分にできそうな職種ならチャレンジしてみる」など、いまの自分の条件から少し幅を広げて考えてみるのもひとつの方法です。家族の協力を得たり、時間の使い方を改めてみたりなど、できそうな部分は調整してみるとよいでしょう。

50代女性は労働市場の担い手として注目

ここまで、50代女性の就職の実情を紹介してきました。
転職や再就職の道はなかなか厳しいと感じる方もいるかもしれませんが、キャリア市場にとって50代女性はまだまだ元気に働ける労働市場の担い手として期待されていることは事実です。少子高齢化社会が加速度的に進むなか、女性とシニアの活用は、国策としても掲げられています。

ここでは、50代女性のキャリアの考え方についてご紹介します。

1.転職・再就職をポジティブに捉えている人が多い

50代女性では、転職の結果に「満足」している人が過半数を占めています。(※4)
終身雇用制度がなくなりつつある昨今では、もはや「転職」「再就職」は珍しいことではなく、自分に合った働き方を選択しようと、性別・年齢に限らずたくさんの人が新しい環境に飛び込んでいます。理想の働き方や人生を実現するうえで、転職・再就職は有効な手段のひとつであり、ときにこれまでの人生で培った経験を役立てることもできるでしょう。

2.女性のキャリアは50代で再び開花する

繰り返しになりますが、女性は結婚や出産によってキャリアが中断された経験を持つ人も少なくありません。しかし、子どもに手がかからないようになれば、いままで眠らせていた能力を活かしてキャリアを再構築することができます。まだまだ身体も動く年齢ですから、新しいキャリアの模索も十分可能です。

50代女性が無理なく仕事を続けられる3つのコツ

ここでは、50代女性が心身ともに無理なく働き続けられる「3つのコツ」を紹介します。

1.家族をうまく巻き込む

ひとつ目は、夫や子どもなど自分の家族の力を借りることです。50代ともなると子どもは中学生以上のご家庭も多いでしょう。協力できることはなるべくやってもらうようにしましょう。たとえば、「毎日のお風呂掃除」「洗濯物をたたむ」など、ちょっと任せるだけでも家事負担はかなり軽くなります。
料理や掃除は苦手という夫には、これを機会に家事の一部を担ってもらいましょう。

2.多様な選択肢を持つ

家庭の事情や個人の考え方などによって適切な雇用形態や勤務形態は異なります。管理職など責任の重い立場で働くことに生きがいを見出す人は転職によってキャリアアップに励むのもよいでしょうし、チームの一員として働くことにやりがいを感じる方は、その気持ちを大切にすることが一番です。いずれにせよ、その時に置かれている状況に合わせて、自分にとって無理のない働き方を選びましょう。

3.無理なく家庭と仕事の両立をする

近年、20~30代の男性を中心に、家事や育児に積極的にかかわる人が増えています。ただし、もう少し上の世代の男性のなかには、残念ながら「家庭に関することは女性の仕事」という固定観念が根強く残っている人もいます。そのため、妻が働くことに対し、「家のこともしっかりやってくれるのなら」と条件を持ち出す夫もいるかもしれません。しかし、こうした葛藤やストレスを正面から受け止めていては、心身も疲弊するばかりです。
50代女性は、仕事にしても家庭にしても、夫に対しても、自分らしく向き合っていくことが大切です。その点、転職や再就職は、これまでに染みついた生活慣習を変えるチャンスになります。

まとめ

50代女性が転職を成功させるには、「現在の自分には何ができるのか」を把握しつつ、家庭の事情なども考慮しながらマッチする企業を選ぶことが大切です。賃金は大切ですが、職場環境や自分に合った雇用形態でなければ長く働くことはできません。自分にとって最良と考えられるワークライフバランスを実現できる会社を選びたいものです。

50代女性は、まだまだ社会で活躍できる存在です。ぜひ自分に自信を持ち、自分に適した仕事を選んで毎日を生き生きと過ごしましょう。